高校生。やりたいことがわからない。なら焦らずまず時間を確保しよう
あくまで筆者個人の見解です。今回の記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
高校の進路選びを失敗すると大学でも失敗する
私は高校生の時、地域の進学校に通っていました。
文系理系に分かれるときは理系を選択し、理系の大学に合格しました。
しかし大学へ行ってもうまくいきませんでした。
ゼミの難解な研究の内容がわからず質問できない。自分の発表でも、質問されたときちゃんと答えられない。いわゆる「問題児」でした。
自業自得なわけですが、私が言いたいのは
「なぜこうなったのか」
ということ。
これはすべて
「高校のときの進路選び」
に失敗したことを起源としているという話をしたいのです。
高校卒業のとき担任の先生から言われたこと
大学合格が決まって浮かれた私は、お世話になった先生にお礼の電話をしました。
そこで二人の先生から印象的な言葉を授かりました。
一人目は担任の先生。
「お前、その大学に行くのか?」
二人目は受験指導を受けていた先生。
「お前は、順序が逆な気がする」
一人目の先生の言葉の意味はこうです。
「やりたいことも定まっていない状態で大学に行っても、後悔するなよ」
二人目の先生の言葉の意味はこうです。
「やりたいことを見つけてから大学へ行くのが正しい順番。君はやりたいことがないのに大学へ行こうとしている。大学へ行ってからやりたいことを見つけようとするのは順序が逆。だから後悔するなよ」
間違った順番で大学へ行くと大変
先生方の言葉を解説する前に、間違った順番で大学へ行くとどうなるのか、という話をします。
間違った順番で大学を選ぶと、大学を選ぶ基準は
「偏差値の高い大学」
「潰しがきく学部」
を選びがちです。
私はそうでした。
偏差値の高い大学は周りが喜びます。
ある意味受験競争に勝つという成果が得られるので自分も満足します。
誰だってA判定の誰でも入れる大学より、C判定のより成績の良い人が入れる大学の方がいいわけです。
高校の先生も成績が良ければ褒めます。褒めた成果を一番発揮できるのが偏差値の高い大学への入学です。
親も親戚も
「わあ、あの難しい大学に合格してすごい!」
と喜びます。
つまり偏差値の良い大学へ入るのは「良いこと」で、「良いこと」をするんだから、私は「良いこと」をしている。こういう思考になります。
しかしながらそういう動機で大学へ行くと大変です。
まず
「専門教育に興味がない」
という現象が起きます。
私は工学系の学部に進みました。
高校の担任の先生に
「やりたいことがわからないなら、色々な進路が選べる学部がいい」
とアドバイスされたからです。確かに日本はモノ作りの国なので、工学を学べば就職できる企業は多いでしょう。
それでいざ大学へ行ったら
「自動車のエンジンに興味がない奴は人間じゃない」
「ガンダムが好きじゃないと人間じゃない」
という価値観。周りの学生も教授もそんな感じ。
そしてモノづくりを学ぶために
「切削加工」
の理論とか
「CADの練習」
とかをひたすらするわけです。
やってみてわかりました。
「これは自分には興味がない」
もちろん興味がある生徒が大半です。
でも自分には合わなかった。
でも後戻りできません。
興味が無いので勉強も苦痛です。
そうすると当然成績も悪く、ゼミの「問題児」一直線でした。
高校の先生の言葉の意味
この辺りで
「ああ、高校の先生が言っていたことはこういうことだったんだ」
とわかります。
大学の学部はたくさんあります。
その中で自分に合っている学部は一握りでしょう。
それを適当に選ぶと、当選確率が数百、数千分の一の
「ガチャ」
を
「その後の人生全て」
を資金に一回だけ引く。
こういう「ヤバい」賭け事をしていることになります。
私は考えてみたら当然の「外れ」を引いたわけです。
大学は時間があるようでない
「大学は時間あるでしょ。その間に別のこと勉強すればいいんじゃないの?」
と考えがちですが、そんな時間はありません。
大学の勉強は難しいです。
かゆいところに手が届かないわかりにくい教科書。
テストができるようには教えない講義。
学生の時間を限界まで使うカリキュラム。
学生には時間がある。じゃあその時間を大学の勉強に使おうと大学が考えるのは当然です。大学は専門教育を施すことが目的です。逆に学生を放置して大学の卒業証書だけ与える大学は、それはそれでまずいのは当たり前ですね。
時間があると考えていた放課後はレポートとテスト勉強と宿題の演習で消えます。
そうするとバイトする時間も、サークル活動をする時間もありません。
やりたことと、選択した学部が一致していれば、それでもいいでしょう。その道をただ進んでいくだけですから。
しかし一致していないと、それにプラスして自分探しの時間を取らなければいけないので、時間が足りなくなります。
やりたいことの見つけ方
よく
「過去に自分が熱中したことを参考にしよう」
と高校生向けにアドバイスする話を聞きます。
大学は大変な勉強をするのだから
「辛くても、熱中できることなら頑張れる」
という理屈は一見正しいように見えます。
しかし高校生程度の人生経験で世の中のどれほどの体験をしてきたのでしょうか。仕事の中身に触れるような機会はどれほどあったのでしょうか。
物心がついた5, 6歳の頃から十年弱の17歳。
この人生経験で、やりたいことが見つからないのは当然なのです。
やりたいこと、楽しかったことってほとんど趣味的な内容じゃないですかね。
ゲーム、マンガ、釣り、キャンプ。
熱中したことで仕事に直接関わるようなことってないんじゃないでしょうか。
学校の勉強も仕事に直結する内容ではありません。
中学、高校の勉強は
「抽象的な勉強」
をします。
大学の勉強の時に必要な基礎的な勉強を高校まで続けるのです。
大学の勉強でようやく世の中の仕事に直接関わりのある
「具体的な勉強」
が始まります。
学校のシステムが提示する勉強だけやって高校まで過ごすと、高校の期間までずっと具体的な勉強をせずに卒業を迎えます。
そして高校の先生のあの言葉です。
「お前は順番が逆」
ではどうすればいいのでしょうか?
上で「具体的な勉強」が仕事につながると述べました。
なら具体的な勉強をするしかありません。
具体的な勉強の方法は大きく二つです。
一つ目が
「大学の勉強を先取りすること」
二つ目が
「株式投資初心者程度の企業研究をすること」
です。
大学の勉強を先取りする
大学のパンフレットには
「~に関する研究でこんな成果がありました」
と書かれています。
でも実際に大学でその研究をする期間は短いです。
良くて卒業研究で関連する研究室に潜り込めたらちょっとだけ1年間関われるかな、くらいの話。
それ以外の3年間はずっと
「~学入門」「~演習」という地味な勉強が続きます。
そしてこの地味な勉強こそ、それに関連する仕事で必要な知識なのです。その知識で仕事をすることになります。
つまりその地味な勉強こそが大学の学部の中身です。
そしてこれは大学のホームページで公開されています。
大学の時間割であるカリキュラムはすべての大学ではありませんが、公開している大学があります。
そういう大学のカリキュラムを見れば、何年生でこの科目の授業がある、というのがわかるので、それに関連する教科書を買いましょう。
私はAmazonの中古がベターかなと思います。
ちょっと古いような教科書でいいです。
それで学問である「~学入門」の中身はだいたいわかります。
この時に
「これは全然楽しくない」
ということがわかれば、その学部に行かなければいいだけです。
「これはなんだか興味があるぞ」
ということがわかれば、その学部を候補にします。
進路を選ぶための手札は公開されています。
あとは手札を集めて、吟味して、自分に合いそうな手札を使えばいいのです。
なんの調査もせずに、具体的なことは一切学ばない高校という空間で、良い手札が降ってこないかな、と待ちの姿勢でいる必要はありません。
偶然の出会いに期待せず、自分から知りに行く姿勢が大切です。
たぶん恋愛よりは簡単です。相手の同意が不要で、入試の点数さえよければ入学できるのですから。しかも偏差値が低くても、偏差値が高い大学と同じようなことが学べる大学はたくさんあります。
酷なことかもしれませんが、偏差値が高い大学に行ったから特別なことを学ぶ、特別なことができるようになる、というわけではありません。
学ぶ内容な同じで、偏差値の高い大学に行く人は、詰め込める知識量が多いので、相対的に優秀と判定されるだけです。
偏差値の高い大学でも私のように興味がなく、成績が悪い学生はいます。
それよりは、入りやすい大学に行って、興味のある学問を主体的にどんどん学習している人の方が優秀になるでしょうね。
株式投資初心者程度の企業研究
企業でやる仕事がわかれば、それは仕事に直結する知識です。
企業でこんな新商品を開発した。それは「~大学との共同研究で開発した」。
こんなニュースはよく聞きますよね。
そうすると株価は上がります。
逆に
「株価が上がったから何かがあったな」
というきっかけで企業について調べてみたら、こういうニュースに行きついた、ということもあります。
これって、株式投資初心者が企業研究する内容です。
このくらいができれば「仕事の中身」がわかります。
それ自体を「やってみたいこと」としてもいいですし、
「それに関連する学問を勉強してみたい」
となったら上の大学の勉強の先取りの方法で、調べてみてもいいわけです。
そして色々な企業でそれをやって、手札をそろえて、その中から選べば、「やりたいこと」に相当するものを選ぶことができるでしょう。
企業研究に関してはこちらもご覧ください。
お金と時間のポートフォリオを改善しよう
やり方はわかっているのに、なぜ高校生の大部分がこれをやらないのか。
それは
「時間がない」
からです。
高校の勉強はその学校のレベルで平均かそのちょっと上くらいが付いていけるように授業が組まれています。
しかも平均レベルくらいの生徒が毎日「自分探しをせずに」宿題と問題演習に夜の時間をほとんど費やして授業に付いていけるような配分です。
これではほとんどの生徒は「自分探し」「企業研究」「大学の勉強の先取り」はできません。
「そういうことは自主的にやっておいてね」
と指導するわりには、そういうことができるように授業を組んでいないのです。
だから「ポートフォリオ」を組みなおしましょう。
ポートフォリオとは、投資をするときに、自分がどの資産のどういう銘柄に投資するのか、その配分を記した表です。
債券10%、投資信託20%、株式70%(~銘柄30%、~銘柄20%、…)という具合に自分の資金をどう分配するかということを示しています。
今回「やりたいことを探す」ために投資するのはあなたの「時間」です。
一番「学校と親戚に都合がいい」のが
学校の勉強100%です。
すべての時間を学校のテストの点数を上げるために投資します。
次に考えるのが
学校の勉強60%、「やりたいことを探す」ために40%。
これなら学校の成績は平均点くらいになるかもしれませんが、大学に入ってから、私のようになる確率が減らせます。
まあ「息抜きも必要だ」と考えるなら
学校の勉強50%、「やりたいことを探す」30%、「趣味やゲームなどの楽しみ」に20%とかでもいいでしょう。
もう少し攻めると
学校の勉強40%、「やりたいことを探す」ために60%。
これだと成績はギリギリかもしれませんが、将来で失敗する確率はより減らせます。
私が高校のときに周りにいた運動部はこの理屈で部活をやっていましたね。
まあ彼らは「やりたいことを探す」ための時間をすべて「部活」に突っ込んでいましたが。浪人前提で部活という体験をしていたようです。まあお金があれば、進学校に来るくらい頭の良い人たちなので、高校卒業後に予備校で一年みっちり勉強すれば取り返せるのでしょう。
高校の先生たちもそれを容認していましたね。そんなもんなんですよ。テストの成績が良ければ「良い子」で褒められる。かといって勉強しなくてもめちゃくちゃ責められる、ということはないんです。まあ上で書いたように、「高校生までは」ですけどね。
ポートフォリオはリスクヘッジのために組まれます。
つまり外国の新興企業の株式に手持ちのお金をすべて突っ込めばリターンが最大になる可能性は一番高まりますけど、失敗する確率も一番高まります。
だからなるべく失敗するリスクを減らすために色々なことに分散して投資するのです。
一番勇気が必要なのは
「リターンを我慢して、リターンが少ないことにも投資すること」
学校で、成績が自分にできる最大になるために危険な賭けに出る。そうならないようにぐっと我慢してそれ以外の活動に投資する。
それをやってみるのが大事なことではないでしょうか。
お金のポートフォリオ
上では時間のポートフォリオを述べました。
もう一つ大事なのがお金のポートフォリオです。
上の大学の勉強の先取りにはお金がかかります。
大学の中古の教科書も、安くても1500円くらいかかります。
それを色々な学問でやれば、それだけ教科書の数も増えて、結構お金がかかります。
教科書の内容をある程度知るために斜め読みしたとして、ひと月に読めるのは数冊、良くて5冊くらいでしょう。
すると単純計算で月5000円くらい、理想的には月に1万円くらいあればうまく機能すると思います。
月5000円なら高校生のお小遣いでなんとかなる人が多いのではないでしょうか。
これも一番楽しいのは
「マンガ、ゲーム」に100%突っ込むことです。
でも「やりたいことがわからないのに大学へ行く」という私のようになる確率が最大になります。
次に提案するのが
「マンガ、ゲーム」30%、「やりたいこと探し」に70%。
将来の大学選び、仕事選びに対してリスクヘッジします。
もう少し攻めるなら
「マンガ、ゲーム」10%、「読書」30%、「やりたいこと探し」60%。
読書は「読んで書く力」の源泉です。これがあると大学でのレポート作成から卒業研究までがかなり楽になります。
そのために「小説やビジネス書」に「読書」枠で投資します。
詳しくはこちらもご覧ください。
経験上「ライトノベル」でも効果があります。これなら「ゲーム、マンガ」枠のように使えつつ、「読書」枠も満たせるのでお得ですね。まあビジネス書も読まないと色々偏ると思いますが。
お金のポートフォリオも、時間のポートフォリオ同様
「いかに楽しいことに投資する金額を、他のことに回せるか」
という勇気と、根性が大切です。
趣味のマンガは何を買っているか親に申請したくないでしょうから、定額をお小遣いとしてもらうのが一番でしょうけど、大学選びのために教科書を買うという理由なら、親に申請すれば買ってもらえる人も多いのではないでしょうか。
無理なら図書館に行きましょう。
図書館の「本のお取り寄せサービス」や「国立国会図書館のデジタル化資料送信サービス」などもあります。そういうサービスを利用してもいいですね。
まとめ
今回は高校生活で
「やりたいことがわからない」
という問題に対して、対策しないとどうなるか、対策として何があるかという話をしました。
お金と時間のポートフォリオを改善しましょう。
そうすれば人生はもっと良い方向にいく!