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アラフォーを前にして思う大学受験の勉強の本当のやり方【7教科対象】

私は地方の進学校出身です。
大学進学は現役で叶いましたが、満足がいく結果ではありませんでした。

もちろん進路選びには失敗しました。

しかしながら純粋な知的興味として「どうすれば大学受験でもっと点数が取れたのだろうか」ということは気になって自分で研究していました。

大学という教育機関を経て、その後それを生かすような状況になっていますが、その経験で「そもそも大学受験でこの問題がわからなかったのはここに問題があった」ということもわかってきました。

もちろん進路選びは重要です。進学する学部を間違うと将来もすべて間違います。レポートが書けるように中学入学時点辺りから真の国語力と思考力と研究のやり方を習得するのも大事です。

しかしながら結局はそれを身に付けた状態で「受験勉強」ができないと将来は開けません。特に大学に進学したいなら。

今回は大学入試を今ならこんな風に攻略するよな~という内容で書いていきます。
ただし毎回の話ですが、当記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
真似して失敗しても責任はとれませんのでご注意を。

暗記の方法

暗記という作業は全教科で必要です。これをどうやるかというのは受験勉強の大きなウェイトを占めます。まずは暗記科目をどうやるかというのを英語の勉強方法でご説明します。

暗記の方法【リトリーバル】

すべての暗記は「リトリーバル」ができているかどうかが全てと言ってしまってもいいでしょう。それくらいリトリーバルを適切に行うかどうかが成功か失敗かを分けます。

つまり、インプットの鍵はリトリーバル習慣をいかに取り込めるかということ。
〔……〕
こまめに【リトリーバル】ができるように意識さえすれば、自分好みのインプット法をより効果的なものにバージョンアップさせることができるのです。

星友啓, スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術, 株式会社あさ出版, 2024年

リトリーバルというのは「何も見ずに頭だけで覚えようとしたことを思い出すこと」です。

例えば英文法を覚えるとします。その時問題集の解答を先に読んで、必要なことを頭に入れる。そのうえで問題を解いて訳を見る。それを数問繰り返す。

そしてここからが肝心なのですが、それが終わってから今回解いた問題の訳を問題集を閉じた状態ですべて暗唱できるか、少なくても今暗唱しているところのキーポイントを暗唱できるか試します。

できなかったらテキストで再び頭に入れて、またテキストを閉じて暗唱できるかやってみる。全部暗唱できれば終了です。

そしてさらなるポイントとして次の日に同じ科目の別の問題を解く前に、リトリーバルで前回暗唱したことが時間がたった今同じレベルで暗唱できるか確認します。暗唱できなければ新しい問題を解く前に再び頭に入れます。再び頭に入れたらリトリーバルはお休みです。このとき再び頭に入れた内容は次の日の勉強前のリトリーバルで暗唱できるか確認すればいいです。

そして新しい問題を解いたらまたリトリーバルで確認作業をします。

3日目。1日目と2日目と3日目のリトリーバル。
4日目。1日目と2日目と3日目と4日目のリトリーバル。
5日目。1日目と2日目と3日目と4日目と5日目のリトリーバル。

6日目。1日目はもう覚えた感じがするのでやめて2日目と3日目と4日目と5日目と6日目のリトリーバル。

14日目。1日目のリトリーバル。できなければまたテキストで確認。当然11日、12日、13日、14日の分のリトリーバルも行う。
15日目。1日目のリトリーバルと2日目のリトリーバル。当然12日、13日、14日と15日のリトリーバルも行う。

とツラツラ書きましたが、要するに覚えるまでリトリーバルを繰り返して、覚えても定期的に1週間とか1か月くらいの間隔で最初に戻ってリトリーバルをするということです。

これはいわゆる「忘却曲線」とリトリーバルを組み合わせた手法となります。
暗記の最適なタイミングっていうのがありますよね。これを守ったペースで暗記していきます。そのときリトリーバルという手段で覚えているか確認します。
つまり上のやり方では6日目で「もう覚えたな」みたいな感じになったので中断して1週間後に投げましたけど、覚えていないなという状態なら7日目はインプットの量を減らして過去の問題の覚えきれていなかった知識のリトリーバルに当てます。
大事なのは「忘れているものは再び覚えないと覚えない」という原理を自覚するということです。

よくやりがちなのは「授業の進度・ペースが決まっているので自分は授業に付いていくので精いっぱい。だから復習しないで今度やる授業の予習をしよう」とやって、「新しい知識を頭に入れたそばから古い知識を忘れていく」というやり方。
これだと「勉強したという経験」は増えますけど、覚える作業(要するにリトリーバルによる複数回の復習)をしていないので結局テスト前に一夜漬けした量くらいしか大学受験のテスト前に暗記できません。

長期記憶でいつでも思い出せなければ大学受験で必要な暗記量を暗記できません。当然大学受験で暗記する量はテスト前の一夜漬け量よりはるかに多いのです。

そこで授業のペースが自分のキャパシティを超えている場合授業に付いていって先生から怒られない立場を買うのも大事ですが、自分のキャパシティに目を向けましょう。ちゃんと復習しないのに予習をしてこなかったから授業で吊るし上げてダメなやつと先生が見せしめにするのはなぜなのか考えましょう。先生はあなたがちゃんと暗記ができているかよりも「私の要求を飲まなければ(つまり成績が下がったら)どうなるかわかっているよな」と成績上位の人にメッセージを送っているのかもしれませんし、クラス全体の統治に重点を置いている可能性も考慮したほうが良いと思いますよ。まあ予習を頑張って一時的に怒られなくても最終的に「お前暗記できてないじゃないか」と言われて結局ターゲットにされるというオチになりそうですけど。まあ私の経験を書いているわけで現代の高校の授業がそれと同じとも思いたくないですけど。

ちなみにもう少し私の話をすると、高校の先生たちは「忘れてもいいんだよ、予習が大事。暗記は受験前の何ヶ月かで暗記すればいいんだよ」と言っていましたね。当然ながら受験前の数カ月では全然足りなかったわけですがね。知識に触れた段階で確実に復習を重ねて長期記憶に入れていかないと間に合わないんですよね〜。ハァ、騙されたなぁ…。結局授業を早く進めたいから予習してもらわないと授業進度が遅れちゃうから授業という劇場を崩壊させないようにしたかっただけじゃん、と今なら思いますね。覚えさせる劇場じゃなくて、教えたという建前を作るためだけの椅子を温めるだけの時間でした。結局暗記適性が平均くらいしかない私みたいな生徒は授業という建前を作るだけの劇場を運営するための肥やしだったんでしょうね。高校は義務教育じゃないから平均くらいの頭の生徒には興味がありません、ってところでしょうね。

リトリーバルが成功する内容が要するに自分が覚えている量なので、覚えた感覚が無いなら最初の部分を何回も繰り返して、新しいインプットを減らすというのが合理的な方法です。先に進むのは最初の部分が「時間が経っても簡単に思い出せるぞ」という感覚になってからです。

時間が経っても思い出せる知識が増えれば次の復習は2週間後とか1か月後でいいわけです。その間暇になるので新しいことをインプット・リトリーバルします。もちろん人によって毎日20問頭に入れられる人もいれば、毎日5問くらいしか頭に入らない人もいます。私は後者です…。

長期記憶はこうやって何度も復習して頭に入れないとテスト前の一夜漬け量を超えることができません。

他の科目でも原理は同じ

数学なら「~定理」を暗記するのに上の方法が使えます。歴史などでもやり方は同じです。
暗記するなら自分のキャパシティを守って何回も復習する。リトリーバルで。
ここをリトリーバルせずに、教科書を何回も読み直すだけとかだと、暗唱ができているかわからないのでテストで思い出せるかが自分で確認できません。ようするに「やった気になっているだけで本当は覚えていない」状態になりやすいのです。

復習で再びテキストや問題集を振り返ってもいいのですが、ちゃんとリトリーバルを間に挟むと「本当に長期的に覚える」という本当に必要な暗記ができる可能性が高いです。

科目別勉強法【英語】

上で文法の話をしたのですが英語は文法と単語と長文読解と英作文ができないとクリアできません。
まず私が失敗した勉強方法をお話しします。

私は単語と文法を覚える時間が足りなくて授業で先生から怒られない立場を予習で買うことばかりやっていたので、どうやってこの問題を解決しようか考えました。
そして思いついたのが「長文読解やれば単語も文法も勉強できるから一石二鳥、三鳥でしょ」という方法。

確かに長文読解は総合力なので、それを勉強する過程で色々な知識に触れることはできます。
しかしながら「体系的」に勉強しているかというといささか疑問です。
大学から離れてから検討しましたが、結局長文読解で出てきたポイントをその都度暗記するより、英単語と英文法の全体を勉強した状態で長文読解と英作文を行うというのが効率がよさそうだという結論です。

結局英語のシャワーで必要なことを体で覚えるというのがベストですが、基礎となる文法と単語がわかっていないと辞書を引く回数ばかり増えて長文読解が全然進みません。超非効率になります。

単語と文法を頭に入れてから長文読解と英作文を勉強したほうがゴールまでの道のりは速いです。単語と文法をリトリーバルします。

単語と文法を覚えてから長文読解と英作文をやるのが大事です。
また自分のレベルに合った問題集をやるのも大事。基本ができていないのに目指す大学のレベルが高いからとレベルの高い問題集に手を出すのは愚策です。
レベルの高い問題集は初級は当然できている人向けの問題集です。時間がないからと、できもしないのに高いレベルの問題集に手を出しても基礎がわかっていないので実力が付きません。

また長文読解であろうとも英作文であろうともリトリーバルは続けます。ポイントだけでも。リトリーバルできる内容があなたが覚えている量です。長文読解の問題を解いたあとに「ふーん、ポイントはこれか」と気づいても忘却曲線とリトリーバルの組み合わせをしないと、テスト前の一夜漬け暗記量を超えられません。覚えたそばから忘れていきます。

また英作文ですが、これは結局「外国版国語」なので、正直相当量英語の文章を読んで、正しい文章を解読してインプットしないと「今自分が書いている文章は正しいのか」がわからないので、できれば外国人と話すような機会を作ってその都度添削してもらうとか、たくさんの英語長文をとにかく頭に入れるとかくらいしか本当にできるようにはならないと思います。
ただ、問題集をポイントを暗記しながら解いていくだけでも全く勉強しなかった状態よりは前に進むので問題集は解いてみることをお勧めします。

リスニングですが、これもどれだけ聞いて確認したかです。ただし単語と文法がわかっていないと「聞こえてこない」ので単語と文法をまずやったほうがよいでしょう。

正直英語がちゃんとできるようになるには何千時間もかかりますが、一歩一歩やるしかないでしょう。

科目別勉強法【国語】

国語は問題集で身に付く知識やポイントは正直「やった気になっているだけ」というのが私の感想です。

本当に国語で点数が取りたいなら「文字情報から必要な情報を手に入れる」能力を養わないといけません。国語で問うているのは結局その能力がどの程度あるかという点です。

結局「読み」と「書き」ができることが最低限必要です。問題集でポイントはコレと言われても、それは「読み書きができるようになっている」前提でミスしてしまった人に対して多少アドバイスしているだけであって、読み書きができない人がポイントを暗記しても前提スキルが無いので、次の問題が解けません。次の問題もその次の問題も上の前提スキルが必須だからです。それをベースに適切に文章が読めているかを問われます。

というわけでたくさん本を読んで、たくさん書いてそれを添削しましょう。要するに読みと書きを鍛えましょう。

科目別勉強法【数学】

数学で重要なのは「~定理」をどれだけ暗記しているかが最初のレベルです。
最近は文章問題で考える過程を評価するというのが流行りですが、結局「~定理」をテストのときに何も見ずに暗唱できないとその入り口にも立てません。「~定理」が必要な文章問題を解きたいのにその定理が思い出せないでは0点です。

次のレベルが問題集を解いて、ポイントをリトリーバルすること。
やはりある程度「~定理」はこう使うみたいな知識と経験があったほうが問題を解くときに解きやすいでしょう。
初級レベルの問題集から解いて、徐々に問題集のレベルを上げていきます。リトリーバルをしながら。

思考力について

なおお気づきかもしれませんが、「あらゆる問題が解ける」という便利な方法はありません。みんなできるだけ自分が解ける引き出しを問題演習で増やしてそれがテストにたまたま出てきた時だけ点数がもらえる「運ゲー」をやっています。
勉強した内容がテストに出ない、勉強しなかった内容がテストに出るとがっかりするだけでなく、自分の引き出しを増やして当選確率を上げて、でも最後は結局運ゲーという心構えが大事です。

思考力を問う問題も出題されますが、思考力というのは色々なものの見方を一つの「思考力」と表現しているだけで、その実態はどれだけ引き出しが多いか、どれだけ学んだ内容を使いこなせるかです。単純にこの通りトレーニングしたからあらゆる問題が解ける魔法の力ではなく、様々な多様な能力を身につけた状態を「思考力」という言葉にまとめて言っているだけです。
問題演習しない、では学んだことは使えるようにはなりませんし、引き出しも増えません。

私は昔「文章問題」が苦手でした。しかし大学で実際に「〜定理」を使って証明とか式の導出とか要するに「実際に本当に使っている現場」を経験することでその定理の使い方がなんとなくわかってきました。問題演習では意味不明で何の役に立つか分からないパズルを解くだけだったのですが、「なるほどこうやって使うと役に立つのか」と知ることで多少使えるようになりました。
やったことは教科書の定義を何度も読みながらその問題にどう適用するか何度も考えたという経験です。
正直このレベルにならないとおそらく「文章問題」は解けるようになりません。
この状態を試験で維持するには「〜定理」をまず頭で完璧に思い出せないと入り口に立てません。また使った経験からの類似性で新しい問題を解くしかないので問題演習は必要です。
とはいえ雑多な情報の中から出題問題の中で使えそうな定理を選択する必要があるので、日ごろからその定理はどういうところで使えるのか考えて自分で研究するような取り組みも必要かもしれません。
その定理は「どこまで使うことが許されているのか」。それは問題演習という狭い世界ではなく、もっと現実でどう応用されているかという広い世界を知ることでしか本当には身に付かないような気もします。現実よりも抽象度の高い問題演習という閉じた世界では抽象で抽象を考えるので、そのベースとなる具体の不足で解けないんじゃないかな、と思います。

また「思考力」という能力が「筋力」とか「柔軟性」とか単純に筋トレとストレッチなどで伸びるような能力だと誤解すると厳しい。
「思考力」というのは脳の発達段階も関係しますし、どれだけ色々な経験を積んだかという手持ちの視点の多さみたいな能力です。
一番近いのは「国語力」です。たくさん本を読んでたくさん書いてそれを自分でブラッシュアップする経験の多さがなんとなく相関する「単純な暗記ではない能力」です。
だから注意しないといけないのが「学校のお勉強」は脳をあまり発達させないということ。教科書以外の本を読むとか、世の中のことを自分なりに考えるとか、そういう自主的な取り組みや何らかのチャレンジがないと、学校の科目という非常に狭い世界の答えを暗記するだけになってしまい、脳が発達しません。あんまり学校の勉強に全てを捧げるだけにしないほうがいいんじゃないかなと愚考します。
私は大学に入ってから理系なのに昔から何とかしたかったという動機で一念発起して文章力を磨いて、本を読んだり考えをまとめる経験をすることで初めて大学で「高校生の頭になれた」と感じました。つまり「頭の発達は大学の自由時間で取り戻そう」と脳の発達を大学に先送りするという手が今の大学入試では使えなくなりました。

つまり大学入試の「応用問題」というのは暗記ができるのは当たり前で、それに加えて脳が発達しているか、暗記以外の能力を伸ばしているかということが考慮されており、昔に比べて相当高度で難易度の高いことを問われていると自覚することが必要です。

もう少し書いておくとあなたが応用問題を解けないのは「ひらめき力」が足りないからでも教え方が悪かったわけでもありません。ひらめく人はもっと深いレベルでその定理を理解している、使っている、あるいは使いこなせる塾の先生がたまたま作った問題を暗記していて使いこなせなくても答えを知っているかのどっちかです。
後者は深い多様な知識をすっ飛ばしていきなり解答に必要な条件を書きます。まさしく運ゲーです。前者は相当時間をかけないと到達できません。
つまり普通にやっている人は大抵応用問題は解けません。できないのはおそらくあなただけではないことを忘れずに。
また特定の領域だけでも深く自分で研究して、全部を百点にはできないけど他人にできないことが少しでもある、という優位性を少しづつ積み上げたほうがベターだと思うんですけどどう思います?

ここまでの話は数学中心だったので、「じゃあ社会の科目はどうやるのよ?」という声が聞こえてきそうなのでその話もしておきます。

結局「~」と「…」という情報があったとき、あなたならどういうことが言えると考えますか?ということを問うているわけです。

ヒントは「考えますか?」の部分。これって要するに「論文の考察」に相当します。
問題演習で「答えはこれでした」と問題集の解答とその筋道を暗記しても、正直「国語」と同じでたぶん次の問題は解けません。

結局どれだけ「考察」した経験があるかを問うているわけです。

要するに「その科目の関連論文」の「考察」部分を研究するといいんじゃないかと思います。関ヶ原の戦いなら「Google Scholar」とか「CiNii」で「関ヶ原の戦い」と調べてみると「関ヶ原の戦いの研究のテーマはこれ」「そこで調査したのはこれ」「調査結果からこう考える」というのがわかるはずです。
論文は「実験とか調査でこんな結果が出た」という結論の後に「考察」が述べられています。それは結果という情報から導き出された「つまりこういうことが言える」というプロのまとめです。
これって構造的に「~」と「…」という情報があったとき、あなたならどういうことが言えると考えますか?と同じですよね。
得られた情報から何が導き出せるかという内容です。

こういう論文を自分が興味を持ったテーマでいくつか読んでみて「考察」をよく理解するように鍛錬するような経験がたくさんあれば、「プロならこう考える」という思考回路が多少作られて有利になるんじゃないかと思うんですけどどうでしょう?

理系の論文検索同様、歴史や社会現象に関しても「Google Scholar」とか「CiNii」とかの検索サービスで色々論文が出てくると思いますよ。

なんか今の大学入試って本当に入学時点から「大学の研究」の下地が多少あるかを問うているような印象ですね。
高校の授業を受けているだけではなく、大学の学問で何をやっているか、つまりそれは結局論文作成である、だから論文を読んだこともないのに大学に入ろうとするのはどうなのよ?論文とまでは言わないからミニ論文であるレポート作成くらいやったことないの?と言われているような気がします。

数学の話の続き

話を戻します。

次のレベルが大学レベルの教科書の内容を自分で証明すること。正直相当上を目指す時だけ必要なことだと思いますが。
普通に上の問題集を解く辺りのレベルで十分な場合も多いのですが、より「~定理」を使えるようになりたいのなら大学レベルの理系の教科書などをあたるというのも勉強になります。

例えば特に数学のAとBとCあたりの「確率」とか「数列」とかは情報系(要するにIT関係の学部学科)の「アルゴリズム論」とか「グラフ理論」辺りの「~アルゴリズム」がうまくいくという証明をするときに非常に使います。
アルゴリズム論なんかは直接「情報」の科目に役立つのでこういう大学の教科書の内容を自分で証明してみる訓練をすると「確率」とか「数列」とか「背理法」とかの訓練になって、受験勉強にもなるし大学に入ってから大変な目に合う確率が下がるのでおすすめです。
大学の勉強の先取りは進路選びにも役立つのでちょっと自分がそろえた大学の教科書を眺めてみるといいかもしれません。

証明の方法はたいてい大学が公開している授業のスライドなどで公開されているので、「なぜそうなるのか」を考えるといいですね。無から証明しようとすると詰みます。そもそもそれが普通の人にはできないから論文になっているわけですし。みんなが苦労するところが論文になっています。論文ひとつ書くのに専門家が数か月から数年かけるわけで、自分でそれと同じ労力をかけていたら受験勉強どころではなくなってしまいます。
まあ証明はネットに公開されていない場合もあり、論文になっている場合もあるので、高い本を買うかGoogle Scholarで文献調査を延々とやらないと見つからないかもしれませんが…。そういうものには手を出さないほうがいいかもしれません。
あくまで「物事を証明するにはどうすればいいか」が体験できればいいわけですし。そういう経験をとにかく積むのが大切です。

数学Ⅲ系の勉強がしたいなら、大学の「伝熱」とか「流体力学」系の勉強をすると微分積分の嵐なので勉強になるでしょう。もちろん大学でやる「ベクトル解析」とか「線形代数」とか「微分方程式」とかの科目ができないと進まないんですけどね。これ、できたら理系の大学院の修士に入学出来ちゃいます…。まあ大学にいた外国から来た超有能な留学生は高校時点でマスターしてましたけど…。

科目別勉強法【物理】

正直私は物理が苦手だったので何とも言いづらいのですが、一つ言えることは「物理とは種々の理論の境界条件を見つける作業である」という点。

まず当然ながら数学同様「~理論・法則」の暗記は必要です。それを数学同様問題集のレベルを徐々に上げていきます。リトリーバルでポイントを拾いながら。
そして余裕があるなら大学の物理学に手を出す。

これだけでもうまくいくと思いますが、より深淵に触れたいのなら「色々な理論の境界条件」を見つける訓練をするとよいでしょう。

大学の物理でやっていることは世の中を「~理論・法則」でとらえて、そこで「境界条件」を見つけて解くという作業です。

境界条件というのは定理を解くときに必要な未知な条件の個数みたいなものです。
ma=F
という運動方程式はaが加速度なので正確には時間の二階微分です。このとき未知数の積分定数が2個なので、境界条件が同様に2個無いと解けません。
「ここは初速度が何m/sだから一つ目の条件はコレ」「初期位置が何mの地点だから二つ目の条件はコレ」みたいに、実際の現象をよく見て、「その問題固有の条件は何か」という境界条件を必要数見つけることができれば「~定理・理論」の式に代入して数Ⅲの微分積分と数Ⅱの三角関数辺りができれば解くことができると思われます。

つまり問題を見て「境界条件」を見抜くことができるように色々な問題を解けば多少は解けるようになるでしょう。というわけで問題集を頂点まで理解してしまったら大学の工学系の基礎科目の数式の証明辺りを自分で勉強してみて「なぜそうなるのか」を考えてみると物理の理解が深まると思われます。

また世の中の物理現象に対して学んだ定理や法則を当てはめて計算してみるというのも理解を深めるでしょう。それこそレポート作成ですよ。

「~現象を数値計算するためにはこういう考え方で数式を当てはめてみるといいと思う」「だから実際に当てはめて計算してみた。実際に実験してみた」「結果理論通りだった・理論と外れた。うまくいったなら理論が正しかった。外れたならどこかが間違っていた、やり直し」。レポート作成の「課題発見」「実験結果」「考察」です。科学の数式当てはめというのは結局当てはめ方があっていたかどうかは実験で確かめるしかなく、そうやってうまくいった考え方が「物理学」とかの学問に吸収されていくという繰り返しです。
本当に物理が勉強したいならこういう高校の部活動の物理部みたいなところがやってることも必要かもしれません。

ただし色々ごちゃごちゃ書きましたけど「大学入試はいかにして目的の到達度以外の高校生を振るい落とすか」という視点で問題が作られるという点も重要なポイントです。

例えば上の運動方程式に関しては外力が作用する点である重心がわからないとどこに外力が働くかわからず問題が解けません。
重心を求めるには数Ⅲの定積分が必要です。
問題製作者の立場になって考えると、この運動方程式周りの問題は非常に学生の振るい分けがしやすい。

問題を重心が求められないと解けないような条件にして、ちょっと直感ではわからないような場所に重心を設定する。
こうすれば「大学の物理を勉強して定積分が使いこなせる優秀な学生」か「なんか複雑なパズルが得意で直感で重心が見抜ける特別な才能のある人物」だけをテストで吸い上げることができる。
高校の物理で数Ⅲの勉強はやりません。物理で数Ⅲを教えると学習指導要領外の学習になってしまって、先生が上司に怒られます。
すると授業外でそういうものに縛られない塾で教えられた生徒か、自分で大学物理まで学習している優秀な人物だけが上の大学へ進学でき、高校の授業で手一杯という学生を振るい落とすことができる。
下手に普通の高校生に重心の求め方を教えてしまえば、大学入試の振るい分けがうまく機能しないから振るい落とされる高校生をあえて作る。…みたいなことが問題製作の時点で行われていなければいいですね。

つまり何が言いたいかというと、大学入試は「優秀」と思われる学生を吸い上げてそうでない学生を振るい落とすシステムなので基本的に授業を受けた全員を合格させる高校の定期テストと問題が作られる動機が異なります。
私は色々な資格試験を受けたことがありますが、そこでたまに目にしたのが「確率で正解するかどうか決まる」系の問題。
要するに初級資格の試験なのに超上級資格の知識がないと解けない問題を出題して、でもそれだと点数がうまくばらつかないから「思考過程でこの4択のどれかが正解だけど正直サイコロで決めるくらいしか手掛かりがない」みたいな問題を作る。するとうまく25%くらいの合格率になる。点数調整がしやすいな~。みたいな問題。
大学入試でも結局そのパターンはあり得るので、だからどんなに優秀な海外の学生でも滑り止めで何校か受験するのですよ。4択くらいなら4校くらい受ければそのうち一校くらい合格できるでしょ、みたいな。
もちろん「解ける問題を増やす」努力は必要です。でも4択ギャンブル問題みたいなものもあるという意識も必要です。

科目別勉強法【化学】

化学はどちらかというと化学式をどれだけ暗記しているか、その化学式が成立する裏の理論が理解できているかというのが問われます。

mol数をごちゃごちゃ計算するとか溶液の平衡が移ったときの濃度を求めるなら数学がちょっと得意という必要があるかもしれませんが、結局「これにこれを反応させるとどうなりますか」ということを延々とやっているわけです。

それを解くには化学反応式をリトリーバルで暗記するしかないでしょう。
あとは問題集を初級から解いていく。
それである程度行けると思います。

そもそも化学反応を「~の数式ですべて予測できる」なんてことはありません。あるかもしれませんが超高度です。もしそれができるならシミュレーションの分野で原子と反応温度を入力してスイッチを押せばどんな化学反応が起きるかシミュレートできてしまうことになり、そうなるともっと狙った化合物は作りやすいはずで、医薬品とかの研究スピードはもっと上がっているはずです。仮説を立てて実験してみないと反応結果がわからないから実験をして確かめているわけで、すべてに共通する定理とか数式があるわけではないと思われます。

それにも飽きてしまったら、河川とか海とかの世界では化学反応のオンパレードですから、そういう分野の文献を自分で調査するといいんじゃないでしょうか。

Google Scholarとかで「海 化学平衡」とかで調べれば化学が世の中でどう使われているかわかっておもしろいですよ。

科目別勉強法【生物】

正直私は高校で生物を選択しなかったので実際にどうやるかははっきりしないんですけど、大人になってから生物を学ぶ必要が出てきた動機としては「農業」とか「水産業」で生物の知識が必要だったからです。

キーワードのリトリーバルと段階的にレベルを上げていく問題演習をして、それでも足りなかったら、大学レベルで生物が生かされている「~学」を勉強してみるといいかもしれません。

科目別勉強法【地学】

すいません。地学全く普段使わないので、リトリーバルと段階別問題集でなんとかしてください。私は勉強方法わかりません。

科目別勉強法【地理・歴史・公民】

これも私は理系だったのでこれらが暗記科目であるくらいしかわかりません。
リトリーバルと段階別問題集でなんとかしてください。

科目別勉強法【情報】

高校の情報の到達点は「基本情報技術者」という国家資格レベルのIT知識があるかどうかです。あくまで私の予想ですが。

おそらく大学で研究室配属される3年から4年生くらいに「ちょっとプログラム作ってよ」ということをやりたいのに、大学からプログラミングを始めると間に合わないし、大学でちょっと教えたくらいでは身に付かないから「大学入学時点で大学の研究室でプログラミングができる」人材を大学入試の時点で選別していると思われます。あくまで私の予想ですが。それが基本情報技術者のレベルです。

基本情報技術者の資格試験で一番差がつくのが「午後試験」と呼ばれる応用問題が解けるかどうか。

これは「大学の情報系」でやる「グラフ理論」とか「アルゴリズム論」ができるのが前提でその知識をどれだけ実社会に応用できるかを問われます。

つまりなんとか及第点を目指すなら「基本情報技術者」試験の問題集をすべてこなして暗記項目を暗記し、キーワードに関する「~学」の教科書の練習問題が解けるくらいにするのが必要と思われます。もちろん午後試験の問題集もやります。ただし大学の「~学」は余裕があったらやるくらいで、とにかく基本情報技術者の午後試験の問題集を解くのを先にやりましょう。そのほうが点数が取りやすいでしょうから。

そしてさらにプログラミング関係の問題を解くなら自分で「アルゴリズム論」で出てくるプログラムを百行くらいで自分でプログラミングができるくらいまで作れる経験がものを言います。
もちろんその「~アルゴリズム」を証明できるとさらによい。あとは「コードを読む力」をたくさん自分でプログラミングをして習得するしかないでしょう。

要するに基本情報技術者の「アルゴリズム」という科目の勉強をしておきましょうということです。

もし基本情報技術者のアルゴリズムが難易度高すぎて意味不明となったらサーティファイというところがやっている民間資格の「Java™プログラミング能力認定試験」の3級辺りからプログラミングの問題の練習をするといいかもしれません。かなり難易度が入門者向けです。

またもし暗記項目に関して基本情報技術者が難しいと感じたら一つ下のグレードの「ITパスポート」辺りから始めましょう。

あとは統計も出ると思われるので統計検定の3級から2級くらいを勉強するといいでしょう。もちろん4級のレベルから始めます。ただし2級の内容はおそらく大学の情報系レベルです。満点を取りたいなら手を出すくらいの話です。

まとめ【ごちゃごちゃ書きましたが…】

これまでの話をまとめると以下となります。

  • 暗記科目は自分のキャパシティに合った進度を調整しながらの複数回のリトリーバル

  • 問題集を段階的にレベルを徐々に上げながら取り組む。キーポイントの内容は暗記科目と同様の方法で複数回のリトリーバル

  • 国語はたくさん本を読んでたくさん書いてそれを自分で添削する訓練の量がものをいう

  • それぞれの科目の先にある大学レベルの「~学」を先取り

  • 情報は「基本情報技術者」くらいのレベルを要求される

  • 運ゲー要素もあるにはある

まあ真面目にやろうとすると「高校3年間で全部やるのは私のキャパシティでは無理じゃん?」となるかもしれませんが、今もう一度大学入試を私がやるならこんな感じで攻略しますね、という内容でした。

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