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Creep

それは地元の小学校の体育館でのことだった
スーツ姿でその場にいた私は思いがけない光景を目にした
5000マイル彼方にいるはずの彼女が30メートル前方にいたのだ
私は声をかけようとした
だが彼女は隣の母とともに席を離れて去ってしまう
私は人込みをかき分けて後を追った
外に出たが二人の姿はなかった
それどころか人が一人も見当たらない
騒がしかった体育館の中も静まりかえっている
夢だったのか
私は失意の中で外を歩いた
快晴だった
暖かかった
心地よい風が吹いていた
でも切なくてやりきれない気持ちだった
気晴らしにかつて自分がいた教室をのぞいてみることにした
2年2組の教室には異様な光景が広がっていた
ロッカーの上に何か大きなものが置いてある
大きなものの上には白い布がかかっている
白い布には赤黒いシミができている
それが何なのかは察しがついた
でもそんなことはどうでもよかった
彼女は行ってしまったのだ
それに比べればどんなことだって些細なことだ
恋焦がれる思いが世界の色を淡くしていく
空が青から水色に水色から白に移り変わってゆく
世界が色を失ってゆく
そして春の夢は終わりを迎える








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