石垣
霧のかかる早朝
家の裏にある排水路に降りる
西に50mほど歩いて
道路の真下に入る
そこで小石を拾う
それを使って壁に名前を刻む
知りうる限りのすべての可哀そうな女性の名前を
終わったら息を殺し耳を澄ませる
物音が聞こえなければ
そっと道路の下から出て
あたりを警戒しながら
来た道をたどる
やがて日が昇る
私は日常に戻る
石垣は違う
今や秘密を抱えている
他の誰かに見つかるのを待っているのだ
道の下の
影の中で
霧のかかる早朝
家の裏にある排水路に降りる
西に50mほど歩いて
道路の真下に入る
そこで小石を拾う
それを使って壁に名前を刻む
知りうる限りのすべての可哀そうな女性の名前を
終わったら息を殺し耳を澄ませる
物音が聞こえなければ
そっと道路の下から出て
あたりを警戒しながら
来た道をたどる
やがて日が昇る
私は日常に戻る
石垣は違う
今や秘密を抱えている
他の誰かに見つかるのを待っているのだ
道の下の
影の中で