一家代(いっけだい)ってなに?会津の言葉?【葬式のこと】
一家代(いっけだい)という言葉をご存知だろうか?
私にとっては、葬儀の前後でよく耳にする言葉だが
どうやら、会津(福島県西部)特有の表現らしい。
少し紹介したい。
一家代の意味
一家代とは、喪主(葬儀の主宰者)のサポート役にまわり、
葬儀の実務を取りはからう人のこと。
喪主は、大抵故人の親族であるため、
死の悲しみに暮れて葬式の準備など手につけない。
葬儀の事務を執り行い、遺族を助けるのが一家代の役割だ。
一般的には、「世話人」「世話役」「寺係」などと呼ばれる。
具体的な葬儀の実務については
葬儀会社のサイトの方が詳しく書いてあるので
そっちを見た方がいいだろう。
一般的な世話役と違いはあるのか?
先に述べたように、一家代は「世話役」と意味は変わらない。
(最近の葬式では世話役がいないことも多いようだ。)
しかし、故人の友人や同僚などから選ばれる「世話役」に対し、
一家代は、同じ村や部落の人、近所付き合いの中で選ばれることが多い。
村や一族の繋がりが残っている地域で、使われる言葉のようだ。
なぜ一家代というのか?会津特有の表現?
なぜ一家代なのか?
そもそも「一家代」という表記が正しいのか定かではないようだ。
おそらく、「一家」(いっか)の「代表」が担う役だったから
そう呼ばれたと考えられる。
少し前に会津の方が書いたブログには
本家・分家の関係性がある一族では、人が亡くなった際、
本家の当主が葬儀を取り仕切っていたようだ。
だから「一家の代表」→「一家代」と呼ばれるようになったとか。
また「いっけだい」だけでなく、
「いけだい」「いけでえ」と発音する人もいるらしい。
確かに、うちのお檀家さまもそのように言っていたような気がする。
発音は各地域で変化しているようだ。
一家代は消滅する?
いろんな葬儀会社のサイトを調べていると、
昨今は葬式で世話役を頼むことは、かなり減っているようだ。
おそらくコロナ禍の影響が拍車をかけたに違いない。
核家族が当たり前の社会で
本家分家の関係性や、一族の連帯感というものは薄れている。
家族が亡くなった時、葬式の準備を誰かに協力してもらう発想すら
浮かばない人が、今は多いのではないか。
これからは、「一家代」や「世話役」は消滅するかもしれない。
それでも、私が思うこと。
私は寺育ちだが、家は核家族だ。
お檀家さまとの関係性はあっても、親戚は皆遠くに住んでいる。
一家の代表?本家の当主?と言われても、正直ピンとこない。
それでも、私が一丁前に人の死に際して思うのは
この「一家代」のシステムはいいな、ということだ。
どんな死に際であれ、身近で大切な人が亡くなるのは寂しい。
「見送る」というのは簡単なことではない。
そんな時、一緒に悲しむのではなく
動いてくれる人がいると心強いだろう。
村の人がせっせと働いている葬式は
悲しくても温かみを感じられ、なんかいいな、と思う。
現代は人間関係が軽薄になってると言われている。
誰かに手伝いをお願いすることが煩わしくても、
一家代のようなポジションは消えないでいてほしい。