あいつらの酒場
メロスは激怒した。
元来怒りっぽいから親友のセリヌンティウスに「ティファールちゃうねんから」とツッコまれたりもしていたがその理由はこういった事だった。〝シラクス新聞〟
【教科書よりごんぎつねを削除】
(…何故だ?Z世代には結末がアカンのか?)
メロスは怒りのあまりに語彙がアレになった。
「せやかてメロスよ、時代はかわるやん」と
クラムボンはカプカプ笑った。
「何笑とんねん!時代を超えるから名作っちゅーんちゃうんか?」メロスはシラクス新聞を引き裂いた。そういうところがティファールだ。
「アンタ最後フリちんやん、それが今の社会規範に合ってないしすぐ怒るのもアレやでなんとかハラスメントやで知らんけど」と山椒魚は言った。
「ワシなんて序盤のイジメでもうアカンのやで最後の見せ場もさっぱりわやや」と黒いスイミーはタバコをふかす。
メロスは考えた。
「誰も傷つかない物語なら良いのか?大きなカブみたいな」
スイミーは
「アレは共産圏の話やん?コルホーズとかソフホーズ的なみんなで頑張るとええでってやつやん多分」とハイボールを空ける。
「日本は違う。兵十がごんを撃ち殺した後のセリフの虚無感や言わない何かを知ってて当たり前って言う空気と村社会の掟、そういう刷り込みがアカンと気づいたのかもしれん」
さすがは多くの軍勢を率いた猛将スイミーだ。
「…カプカプ…なら戦争とか悲しい話はダメやね、道徳の教科書何かアウトやん何か表紙怖いし」クラムボンはやまなしを食いながら言った。
「大体お前は何食ってるかわからんし意味わからんから落選やな、自分何か宮沢賢治やからイケるみたいなとこチョイチョイムカつくで、いくら自然のサイクルでもヨタカや蠍みたいに自分が犠牲とか子供にアカンのちゃうの?」メロスは酔っていた。
「何やと!クラムボンしたろか?カプカプしたろか?イーハトーブ勢ナメとったら山猫カチ込んでイテまうぞ!コラッ!」
「ま〜ま〜そないに怒らんと、メロスはんも言い過ぎですわ〜」巨大な肉球がクラムボンを制した。山月記の虎だ。
「スーホも言っとりましたわ白い馬死んだりしたらマイナスって。
くじらくもはんやモチモチの木の感じで勝負せなアカンって」
わかりやすくてハラスメントも無く可愛い楽しい作品しか無いと考えた一同は答えを出した。
「プリキュアしかないな…」