見出し画像

車の運転が下手な話(ミルクボーイ風)

「ど〜も〜!なんのはなしボーイです、あっ!今会場から失敗したホチキスの玉とセミの抜け殻頂きました、こんなん何個あってもいいですからね〜」

「あんな〜オカンがどうしても思い出せない人がおるんやって」
「ふ〜ん、ならその人の特徴を教えてくれる?」 

「え〜とな、その人はエロくて眼鏡かけてるらしいんですよ〜」
「それはマイトンさんだわ!ヨッシャマンさんはノーメガネやからね、マヨで洗顔の可能性もあるけど…」

「オカンが言うには貧乏だからパスポートすら持ってないらしいのよ」
「…う〜んじゃあマイトンさんちがうか〜マイトンさんはこないだロンドン行ってたしな〜、マヨで洗顔で決まりやな!」

「それがな、オカンが言うには運転が上手いらしいのよ」
「…う〜ん、ならマヨで洗顔ちゃうか〜?あのオッサン3回くらい車やトラック擦ったり単独事故しとるからなぁ〜。一回2トントラックで人の家にバックアタックしとるしなぁ〜」

「オカンが言うにはマヨネーズ好きで納豆とシーチキンとを混ぜてご飯にかけて食べるらしいのよ。」
「マヨで洗顔やないかい!」

ミルクボーイ風に自己紹介始まりましたが、過去の恥を晒すという目的もあるので真実を伝えています。
琵琶湖でイカを見たのも真実です。
きっと根性あるヤツだったのでしょう、タコと違って1本筋の入ったイカれた烏賊w
あるいは進化の最前線を見たのだと結論づけていますが。

私は若い頃家電製品配達の仕事をしていました。パチカスでヤニカスで酒カスで財布の金は全部使って良いと生きていました。
当然周りの人間もカスいのは当然、
朱に交われば赤くなると言うより
類は友を呼ぶでした。仕事の出来る良い人達でしたが、自身の未来を誰かに何となく託していて、しかもそれに気づかない底辺な事を理解出来にくい環境に居ました。
もちろん私も。

みんな同じなので疑問は無く、博打で取った金は散財、だからいつも金欠だった。
だけども犯罪行為をするものはいなかった。
いい年こいてるのに親にタバコ代貰ったりその程度。
それなりに楽しく仕事していた。

助手の中でもヒエラルキーがあり、力が強いとか組み立てが早いとかお客さんとの喋りが軽快だとクレームが付きにくいので、運転手は好きな助手を選ぶ。
私は手先が割に器用なんで1番仕事の早くて運転の上手いKさんと組む事が多かった。
しばらく会ってないが今でも仲間だ。

1日20件程配達があり、完全歩合制の契約をしているKさんはスゴかった。
400リットルの冷蔵庫を1人で担いで階段上がったりする。
しかもスキンヘッドだw
ピンポン鳴らしてスキンヘッドと私が居て
「きゃ〜!」と若い奥様に叫ばれた事がある。
まあ私も人相は悪い。
少し傷つくw

キャバクラ嬢の寮で長時間組み立て家具を組んだ時は凄く楽しかった。
Kさんが他の配達する間2人きりなのだ。
頼んでないのに手伝ってくれる。
何か肩とか太腿に触れながら…谷間をガン見していたが凄くカッコいい顔で見てたからバレてないだろう。
(誘われてるんじゃね〜の?)と思ったがキャバクラの練習だろうと割り切った。
インパクトドライバーの音がもう卑猥な大人のおもちゃにしか聞こえないが耐えきった。

1人で洗濯機交換に行った時も排水管を左右変える為に
「お客さん、ちょっと抑えて下さい」と若奥様に頼むと「あっ、はい!」と何を考えたのか洗濯機を斜めに押さえる私の手に手を添えた。

いや天然かっ?手を離さないと排水管取れんw
しかもこの奥様の使っていた洗濯機の裏からどえらい紐の様なパンツが出てきたので捨てる訳にもいかず何か変な気持ちで作業していた矢先だ。

楽しい事もあったが怖い思いもした。
ヤクザの事務所の近所に駐車して作業していると外から怒号があり、まさかと思いそっと戻るとフロントガラスに張り紙がしてありました。
(ちゃんと停めていいとこに停めたけど…)
見ると
〝ここに停められなかった黒猫の兄ちゃんがヤクザに殴られてました〟と書いていた。書いたん誰?そんなん知らんやん!と思った。

件数が多いと私も運転していた。その時に助手だったのはEさんで私より少し年上だけど少し頼りないパチカス代表だった。
「ごめん!タバコ貰っていい?」とみんなにたかるので1段低く見られていた。
とても良い人なのだが…
その日私はバックで人の家の玄関の表札埋まっている石に荷台をぶつけてしまった。
結構な音がした。
(…やってもうた)と思ったがしょうがない、しかし足が出ない、怒られるのは誰も嫌だ。

するとEさんが出てきた家人に丁寧に頭を下げて対応している。
こちらが全面的に悪いのだが既に金にしようと被害者モードで何処もかしこも新しくしたい意識がみえる。
Eさんカッコいい。
会社の保険で何とかなり怒られる事も無かったが
Eさんを見る目が変わった。
気付いてないのは私の方だったのだ。

胃が弱くて少食のEさん、元気だろうか…。

いいなと思ったら応援しよう!