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疒(やまいだれ)に寺

マヨさん(私)は若い時(21才)倉敷で働いておりました。
朝からブラックバスを釣り 仕事に行き また釣りをし、夜は盛り場でギターを弾き語り浴びる程の酒を飲んで若いエネルギーを持て余しておりました。
生まれた大阪で学生からやっていたバンドメンバーと上手くいかずに空中分解したので、わかりやすく不貞腐れていたのです。

今ならわかります。

もっともな意見や音楽性の差異などほざいたかもしれませんが ただ拗ねていたガキンチョだったのです。

若くてもオッサンでも逃げ道は酒だった。

めっちゃ飲んでいた。

給料は全部釣り道具と呑み代だ。
1年半程ムチャな生活を続けた。
まぁ大阪でも同じだったけど。

するとある変化が下の方に起こった。
仕事中、しゃがんで作業しているとツレが
「…!マヨさん?ケツヤバいですよ!」

あん?何言っとるねん?と立ち上がると

ツ〜っと内腿を流れる暖かい何か…
(ヤバいっ!ええ年こいてやってもうたか?)
と焦って見ると何と!
見事な鮮血が作業着を染めてました。

とりあえずおばちゃんにナプキン貰って病院に連れて行かれたのだった。出血量はオタマ1杯はあったので軽く貧血になったみたいでぼんやりしていた。

結果、内痔核×2と外痔核×1のコンボ炸裂で即入院手術となった。

幸いその病院は岡山でも痔で有名な良い先生が居る痔専門の病院だった。
恥ずかしかったがしょうがない、意を決して両脚を開きおっぴろげアタックを先生にかます。
「あっマヨさん、横向きでええよ」と先生はスルーしていた。
部屋には先生の他にマヨより若いだろう看護師さんが2人いた。
観てもらいたいタイプなんで若干ふっくら炊きあがって(米が)立っていそうだったが、やはり、イボ痔認定は恥ずかしかったので六分ざきで事なきを得た。

翌日だったかその次だったか忘れたが手術だ。前後も4人部屋で過ごす。
みんな若く(1人はオッサン)すぐに仲良くなった。だってみんな同じ病気ですし(痔)

「人体の正中線を切るのはスゴい痛い」若い2人のどっちかがそんな事を言うのだ。

肛門、THE真ん中!

オッサンが病室のTVに繋いでいるセガサターンのヴァンパイアで対戦しながらもみんな恐れおののいていたに違いない。

小学生の頃に遊びでカンチョーをし合った経験が誰しもあるだろう。
指であのツーンとした激痛だ、仕掛けてきたのが親友でもリキラリアット必至の激痛!

それを〝切る〟なんて正気か?

ちなみに女子でカンチョーされた人は詳しい感想をお願いします。

そして誰しも死刑囚の気持ちで待っている病室に来た先生は言った。
「マヨさん先切ろか?すぐ終わるし」
いやいや、先生!人の肛門やと思って軽すぎやん?それに下剤でうんぴす(諸事情により可愛くラッピングされています)一掃しなくていいのか?
「あ〜それは大丈夫やで〜」
かくしてマヨさんはうつ伏せで手術室へ連行されたのだ。

局所麻酔何でトークは丸聞こえだ。
「キャ〜!すご〜い!」若い看護師達はうんぴす吸い取りマシン?で出てきたブツに驚いている様だった。
(シバいたろかこのブス!)と思ったがこっちはまな板の鯉、むしろそういうプレイだと割り切ると気にはならなかった。変態で良かった。

「これか中のヤツ、ちっさいのが外やで」と手術後半に摘出した痔の本体を見せてくれた。
梅干の種かホルモンみたいだった。
夏侯惇なら「両親に貰った大切な身体!」と言って食べたかも知れない。

簡単に手術は済んだが麻酔が効いているのでもちろん立てない。なのに迫る尿意。夜だった。
そういえば尿カテーテル無かったなぁ、30年程前だからかな?
マヨさんはナースコールを連打した。
だってトイレ行きたいし。

「あまり動いたら頭に麻酔が行って気分悪くなりますよ」と言われたが尿瓶も置いてないなら行くしかないやんけ!とダブルナースの肩を借り排尿行為と相成った。足は軟体動物の様にグニャグニャだ。
病衣を下ろし便座にパイルダーオンしたマヨさんは驚いたのだった!

何と!そこには3分の1に縮んでしまったリトルマヨが恥じらっているのか、全身お隠れになっておられたのです。
「…いやっ!えっ?違うねん!いっつもはもっとアレやねん!気さくなビッグボーイやで?」と何故か理由のわからん言い訳をしているマヨだった。

麻酔が切れた後の激痛は言うまでもない。

先生は「痔になりやすい場所は血管の位置で大体決まってるから、マヨさんはもう内痔核はなりにくいで」と話されました。
実際その後は痔にはならずしばらくは快調でした。
それにうんぴす吸い取りマシンで宿便?(憩室内の便?)的なモノまでキレイにしたからか、お肌の調子も良かったと思う。

今、介護士になって沢山の人のお尻をみるが、大体の人に外痔核があるのに気がついた。
特に経産婦の方は多く、恥ずかしいから病院に行かないのだろうと思われる。
しかし痔なら笑えるが最悪な場合ガンだってあり得るのだ。
日頃のうんぴすの状態で気付けるから病院には絶対に行くべきだと強く言っておきます。

私の父方の家系は親父が大腸がんでラパックという袋を腹につけてます。
伯父さん2人は同じような状態で亡くなりました。
私は〝痔〟及び腸弱々のエリートなんです。

だから声を大にして言いたい、
「恥ずかしいのは最初だけだからヤバいと思った病院へ!」

「早く!私の肛門はいいから!ここは私の肛門に任してくれ!」

「…後で遅れて必ず行くから待ってな!」

そんな気持ちです。
マヨさんカッコイイ!w


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