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羅生門(うろ覚えバージョン)
下人は羅生門で雨宿りしていたと思う。何か仕事が無くなってヤバなったんでどうしようか?と思ってたら急に雨に降られた?そんなん。
(何かキモいわココ…盗賊に盗られるモンも無いけど危険やな)
下人は戦乱や流行り病で都に屍人が溢れている事を普通と思っていた。
皆今日を生きる食糧も無く、念仏も助けにはならない。
赤黒い鴉は肥え太るがそれを狩る体力もやる気もない。
やる気が無いのはもう生きる気がないのだろうと思うがそれすらどうでも良い気がした。
門は中に入れたような気がする。いや、だから話続くんやけど、後何やったっけ?
ババアが居た。
暗闇で動くヤツにビビったらババアが死体の髪の毛抜いてたのよ。
(アカンしキモッ!)って思ったが勇気を出して話しかけた。
「…おい!ババア!」
下人の声が暗闇に響く、それは少しでもこの不気味さを払拭したい無意識のものがさせたのかも知れない。
「あ〜ん?」暗闇の中に突如の雷鳴か?轟音とババアがミラクルコラボしたゴン太顔で振り向いたのだ。
下人は恐怖のあまりに漏らしたが辺りの死骸からの腐敗臭と雷鳴の雄叫びの為にババアには聞こえていない様だ。
ビビっている事を隠して下人は強い言葉で言った「ババア!髪の毛なんか抜いてどうするんだよ?さすがにアカンヤツやろ?」下人はババアに詰め寄った。
「常識の話かい?これだけお上の都合で人が死んでるんだ、常識の物差しはぶっ壊れてる。」
汚れた指を立てババアは
「この髪の毛をどうするか教えてやろうか?」
下人は唾を飲んだ。
聞けば恐らくはもとに戻れない。
知った事を知り直す事は出来ないのだ。
下人は少し考えたが好奇心に負け頷く。
「ケケケ…カツラにして貴族に売ると大金が貰えるのよ、女装しての歌詠みなど遊びの為にな」
なんと!お上は度重なる戦や流行り病、不作の現状を知っての行為か?我等下人に生きる価値は無いとでもいうのか?
ゴゴゴゴゴゴゴ…
怒りでババアに問う。
「…その金を何に使うのだ?」
下人は怒っていた。
本当の事を言えば貴族に怒るのと違っていた、意識できなかったのだ。
自分が搾取されていると。
そしてそれをわからなくさせていた何かに怒っていた。
ババアは答えた。
「…世直し一択よ!」よくみればババアの瞳には正義の魂を感じる!
「おんどれが遊んだ金で天誅くらうなんて最高だろうよ?」
「…ふん!」死骸の脇に落ちていた刀を抜いた。
錆びついた刀身に映る下人は笑顔だった。
「ババア!幕府転覆といくか!」
後の一休さん危機一髪の前夜の物語。