れんげ荘
群 ようこ 📖
「れんけ荘」
45才で長年勤めた広告代理店を辞め、家賃3万円のアパートで一人暮らしを始めたキョウコのお話
トイレとシャワー室は共同
蚊はブンブン入ってくるし、ミミズも這ってくる
湿気ムンムンの部屋
雪が降る日も、天気が良いと外の方が暖かい
隙間風は入ってくるし、雨露をしのぐだけの部屋
窓を開けると真っ青な空と緑の葉っぱが見える
毎日何もしないで過ごしながら
好きで住み始めたのに
「ここに住んでいる意味はあるのか」と考える
「体がだらだらしているつもりでも、気持ちがだらだらしていない
勤めていた時と頭が変わらないからだ
望んだとおりに気楽に無職でいればいいじゃないの」
と、キョウコは友人に言われる
なるほどと読みながら考えた
状況が変われば、気持ちや生活も変わるのが自然
頭を切り替えるのが第一なんだと
ただ、現実的ではないと思いながら読んだ
そんなに簡単な事ではない
寒さは凌げても、この夏のような酷暑が続けば命も危うい
高齢者がひとりで住んでいると、幽霊かと思われるかもしれない
ただ、木の匂いとぬくもり、窓を開けると空と緑の葉っぱには憧れる
と思いながら本を閉じた