自分の心にある「内向き」を「外向き」に変えて、目標を達成する①
①「他責」がスゴい…
後輩に指導をしたい気持ちが強すぎて、指導を失敗した挙句、自分の仕事まで失敗してしまった社員がいます。
自社の育成・指導のレベルの拙さもあり、何をしてあげたらいいのか分からなかったのだろうと、話を聞き、原因を探していきました。
結果として、要領の悪い後輩に対して自分の知っているところ、見せたいところだけを見せ、手伝わせたいところだけを付き合わせるために連れ回し、後輩の時間を大きく浪費していました。
また、その際に「見せたい自分」を演じてしまい、いつも通りの仕事ができずに成績まで落としてしまったと分かりました。
ところがこの分析を伝えると、「なるほど、後輩のせいですね!」と他責全開の理解をし、「あの後輩はこんなにできない!」と嬉しそうに話し始めたのでビックリでした。
②「他責」を生み出す「内向き」思考
その後輩は特にできないわけではありません。
その社員に指導を受けるまでは普通にできていたので、「君の指導にはこういう問題がある」「君の仕事の失敗は自分からやり方を変えたから」、だから「自分のせいだよ」と伝えたのですが、「でも後輩がこんなにできないから…」と言い張り、埒があきません。
ところが後輩のことを指導したいし、面倒を見てあげたいという気持ちは強いので、更に訳が分かりません。
そこで一度時間を置き、よく考えてみると大変なことに気が付きました。
「目標が『後輩の指導する』だけなんだ!」ということです。
つまり目的が自分のためなので、後輩がどうなるかが関係ない。
それを外部を無視した「内向き」と名付けました。
③「内向き」と「外向き」の違い
「外向き」はあえて言うと「普通」の考え方です。
「後輩を指導する」なら、当然「後輩を成長させる」のが目標であり、目的です。
これは自分から相手に向かっているベクトルの意識なので「外向き」であると名付けることができ、やはり「普通」の考え方です。
ところが「内向き」になると、「自分が後輩を指導する」ことが目的になっているため、後輩の成長に興味がありません。
成長しないのは「後輩」の都合で関係ないのです。
④「内向き」の「他責」思考
この社員は不満も言わず黙々と仕事をするタイプだったので感心していたのですが、ミスしても全く謝罪しないことが気になっていました。
話してみると「自分はやれることはやってるからそのくらいいいじゃないか」と考えていました。
つまり「自分的には十分やっているから、結果は自分のせいではない」と自分勝手に合格ラインを引いた「他責」です。
「他責」すら結果と向き合い、そこから生まれるのに、「内向き」+「他責」になると、結果すら無視します。
道理で不満も感じないし、謝罪もしないはずです。
まさに無敵です。
⑤「内向き」な相手にはどうすればいいのか?
本人に何とか気付かせようと、再び後輩が成長していない「結果」と「他責」に向き合わせる努力をしました。
しかし、本人は自分のことを「他責」であるとは全く思っておらず、ダメな後輩を熱心に指導するいい先輩であると思っているので、話は全くかみ合いませんでした。
そこで、しょうがないのでひとまず時間を置き、後輩社員の指導担当から外すことにしました。
「自分から離れた後輩が成長した」という現実の結果に向き合わせるためです。
当然のように後輩社員はすぐに調子を取り戻し、無事に成長できるようになりました。
そして、少しずつ「内向き」社員は「自分がおかしいのか?」と考え始めて、いろいろな質問をして来たり、少しずつ謝罪するようになり始めています。
まだまだ理解できていませんが、大事な一歩だと思います。
②に続きます。