東京ドームでなびくドレッドヘア
ヤングフレッシュU-24に入賞した作品です!
是非ご覧ください!
2022年シーズン、プロ野球は開幕してから、60試合を過ぎようとしている。
毎日、我が巨人軍の結果を見ては一喜一憂を繰り返している。
ペナントの結果を左右するとも言われる交流戦の最中、私はある一人の選手の活躍に目を奪われている。その名も”アダム・ウォーカー”
今シーズンから巨人に入団した助っ人である。ドレッドヘアにヘアバンドという強烈な見た目とパワフルなバッティングを合わせ持つ。
今シーズン開幕戦、ジャイアンツのレフトを守るのは昨シーズンから活躍を続けるウィーラーであった。チームにおいてのムードメーカーであり、今年も活躍を楽しみにしていた。
ところが、4月中旬、ふとテレビをつけると、ウィーラーの姿はなく、レフトには初めて見る外国人の姿があった。そうウォーカーである。
まずはお手並み拝見といったところ、なんとなくテレビを眺めていた。
レフトに打球は飛んだ。
ウォーカーが捕る、内野に返球する
すると送球はツーバウンド、、スリーバウンド、、、
坂本が走り回っているではないか、、、!!
これを見たとき私は思った。5月には彼の姿を見ることはないだろうと。
ところがGW、東京ドームに足を運ぶと、レフトには彼の姿があった。いなくなるどころか、立派にジャイアンツの中軸を担っている。
スコアボードを見ると、
打率292 ホームラン3
今季、入団した元メジャーリーガー、ポランコに引きを取らない数字である。
気づいたときには、年俸2億5000万の元メジャーリーガーではなく、年俸3400万の元独立リーガーの姿に目を奪われていた。
その日以降、スポナビを開いてはまずウォーカーの結果をチェックするようになっていた。
ある日はタイムリ―を放ち、またある日はホームランを放つ、と思ったら守備ではスリーベースを許している。
なんともいえないこの姿を憎めず、また次の日も彼の活躍をチェックする。
そして、交流戦も始まった5月下旬、再び東京ドームに足を運ぶと、彼は2番を打っていた。
怪我で離脱中のキャプテンの穴を見事に埋めている。
凡打でも一塁まで全力で走り、塁に出ては果敢に次の塁を狙う、今までにこんな外国人いただろうかと感動してしまっている自分がいる。
すると試合中、ふとこんなことを期待している自分に気づいた。
レフトに打球飛ばないかな、、?
そう、彼の送球を見たくなってしまっている自分がいたのだ。
長嶋茂雄の空振り、クルーンのフォアボール、村田のゲッツー、何度も球場を沸かせてきたそれらに匹敵するものを私は感じた。
悔しくも?、レフトに打球が飛ぶことはなく、試合終盤には彼の姿はレフトにはない。
ただ間違いなく、攻守でファンを沸かしていた。
その試合、4番岡本和真が全5打点を叩き出す活躍で見事にジャイアンツは勝利した。ただ帰りの総武線、私の頭の中はウォーカーでいっぱいである。
ドレッドヘアをなびかせながら、一生懸命に野球をする彼の姿が脳裏に焼き付いている。もう彼のファンである。
オールスターのファン投票の欄に彼の名がないことに怒りを感じるほどである。
ただし、振り返ってみると我々ジャイアンツファンは、今までたくさんの外国人野手に頭を悩ませてきた。
セペダに始まり、フランシスコ、テームズ、スモーク、良い思い出を抱くジャイアンツファンは少ないだろう。
ただし、我々ファンが抱く外国人野手へのアレルギーをウォーカーはきっと払拭してくれると私は信じている。
これから夏に入り、高校野球が始まる。
毎年、神宮へと母校の試合を観に行くが、高校生の成長とは凄まじいもので、頼もしくなった後輩達の姿に驚かされる。
もっと言えば、試合を追うにつれ、夏の大会中に成長を遂げる選手も少なくない。高校野球とは不思議なものである。
もしかしたら高校野球が終わった9月、見れるかもしれない。
優勝争いをする神宮で、レフトから放たれた矢のような送球を