きつねの窓
30年ほど昔のことでしたか
角川文庫の安房直子さんの
短編集を手に
梅雨時の、体育の授業明けの、
六時間目の授業に入りました。
わたしはちょっと変わった
高校生物の教師でしたが、
時折、生徒たちに昼寝させ
短編を朗読しました。
きつねの窓は、
若い猟師が主人公。
子ぎつねが染物屋の小僧に化けて
猟師に持ち物を何か染めさせろと言います。
猟師は化かされまいと断るのですが
小僧が自分の指を染めて
その指で窓を作って
猟師にのぞかせるのです。
窓の向こうに、子狐と母狐が見えました。
30年経っても、忘れないお話です。
あのクラスに誰か、覚えていてくれる子がいるかな~