Suchmosが音楽シーンに与えた影響について本気出して考察してみた

2024年10月7日(月)、ベーシストのHSUの命日にあたるこの日にSuchmosの公式Xが投稿し、2025年6月21日(土)に横浜アリーナでライブを開催することが発表され、事実上の活動再開が報告された。
2021年に無期限の活動休止に入り、その約半年後にベーシストのHSUが死去するという悲しい知らせもあって今後活動再開する可能性はかなり低いのではないかと思われていた中での今回のニュースにSNS上ではトレンドに上がるほどの大きな反響があった。
個人的にもSuchmosは当時かなりハマって聴き込んでいたこともあり非常に思い入れのあるバンドだったので今回のニュースは心躍るものがあった。
そこで今回はSuchmosのこれまでを振り返りつつSuchmosが当時の音楽シーンに与えた影響について考察してみようと思う。

デビューから大ブレイクに至るまで


Suchmosは2013年に結成、2015年に1stEP「Essence」でインディーズデビューを果たした。
Suchmosはデビュー当時からその高い音楽性を評価されており、ラジオではJ-WAVEを中心に頻繁に取り上げられたり、数多くの著名人(アジカン後藤カンニング竹山・葉加瀬太郎など)がSNSで反応するなどコアな音楽ファンからは注目される存在になっていた。
そうしてデビューからじわじわと知名度を上げていき2016年には2枚のEP(「LOVE &VICE」「MINT CONDITION」)がいずれもオリコン初登場30位以内にランクインするなど新人バンドとしては上々の売り上げを記録していた。

そしてこの年の9月にSuchmosにとって大きな転機が訪れる。Hondaの人気車種の一つである「VEZEL(ヴェゼル)」のCMソングに「STAY TUNE」が起用されることになったのだ。
CMソングにこのようなまだ知名度が高くない新人アーティストを起用するのはかなり珍しい。Hondaは昔から安易に知名度や流行に頼らずに自社の製品との融和性を重視したアーティスト起用を取り入れていて非常にセンスが高いと個人的には思う。
そして「STAY TUNE」はクールなシティポップサウンドに印象的なメロディー・フレーズが魅力で都会的な雰囲気を纏った楽曲であり、まさに車のCMソングにはぴったりな楽曲であった。
この「VEZEL」のCMは放送開始直後から大きな反響があり、年末年始にかけて大量に放送されそれに伴ってSuchmosの名が急激に広まっていった。
そして年が明けた2017年1月に「STAY TUN」が収録された2stアルバム「THE KIDS」が発売され、初動売り上げ7.5万枚、累計で約17万枚というインディーズバンドとしては異例の大ヒットを記録した。
Suchmosは音楽番組には出演せずに、口コミとCM効果・テレビでの特集のみで知名度を上げていき爆発的な人気を獲得するという離れ業をやってのけたのである。

メジャーシーンでは特異な音楽性


Suchmosがデビューした当時の主な若手人気バンドは以下の通りである。

・back number
・[Alexandros]
・ゲスの極み乙女
・KANA-BOON
・フレデリック

ほとんどがJ-POP的要素を含んだバンドや高速4つ打ちのライブ受けに特化したバンドで埋め尽くされていた。
そんな音楽シーンに背を向けるかのようにsuchmosはシティポップアシッドジャズ系をメインとする音楽性を有しており、時代の流れとは逆行していた。そしてそうした音楽性のバンドがメジャーシーンで活躍することは当時ほとんど無かった。
それでもSuchmosはこの音楽性を貫いて最終的に大ブレイクを果たした。それまではメジャーシーンで活躍するためには少なからず大衆が求める音楽に寄せなければ通用しなかったのだが、Suchmosはそれをほとんどせず、しかもシティポップという大衆にあまり馴染みのない音楽性で人気を獲得する事に成功した。これは音楽業界にとっては画期的な出来事だったと思う。
Suchmosのブレイク後、バンドシーンは一変してシティポップ系のバンドが急増した。突如としてシティポップブームが発生したのである。
ceronever young beachD.A.NAwesome City Club(当時は5人バンド)などお洒落なサウンドを有したバンドが次々と現れていった。だがやはり大衆受けはしにくいジャンルである事には変わりはなく、未だにこれらのジャンルでSuchmos以上の人気を得たバンドは現れていない。
この事実もSuchmosの凄さ、偉大さを物語っていると思う。

Suchmosのブレイクが後進に与えた影響


Suchmosのブレイクは音楽業界の在り方をも変え、後進のアーティストにも影響を与えた。Suchmosのブレイクから数年後の2019年には2つの若手バンドが大ブレイクを果たした。Official髭男dismKing Gnuである。
2組とも高い演奏・歌唱技術、そして音楽性を有した実力派バンドであり、安易に流行りに乗ったりせず自分達の音楽を追求した結果売れたのである。
特にKing GnuはロックのみならずR&Bやジャズなど多様な音楽を取り入れたミクスチャー系のバンドであり、Sucnmosと同じく大衆に受けにくい音楽性であったにも関わらずブレイクを果たした。
音楽性は異なるが、King Gnuが大ブレイクに至るまでの道程や音楽シーンの変化を期待させるようなあの高揚感はSuchmosがブレイクした時と似ていた。Suchmosという成功例が無ければ2組とももしかしたらもっと大衆に寄せた音楽性に変化しているか、あるいはここまでのブレイクは果たせていなかったかもしれない。
Suchmosのブレイク以降、音楽業界は勿論の事、音楽リスナーのレベルも向上していったと思う。リスナーのレベルが向上した結果、より音楽の多様性が許容されやすい環境になったのではないだろうか。



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