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誰かが体験した奇談。其四 『心霊写真』

友人が語る『心霊写真』

いまさらいう事でもないけど、僕は写真が趣味だ。沼っていう言葉があるけれど、まさにそれだ。若いころから、ボディだなんだと言い出して、レンズにまで凝るようになっちゃうと本当に金食い虫だよ。
昔は、フイルムでの撮影が主だったからお金がかかったね。リバーサルフイルムというのがあって、スライドで見れるから気に入った奴だけ焼いて何とかや安く済まそうと涙ぐましい努力をしてたよ。

そうそう、心霊写真。今はもうデジタルの時代だから枚数を気にせずにとっているけれど、一度も写した事がないんだよね。
一枚だけこれはっていうのがあった。暗い建物の窓のところで、友人を映した一枚。後ろは小さな庭があって、その向こうは道路だったから、車のライトの加減で庭に顔が見えるんだよね。
うん。そういう間違い。すぐにわかる。

そもそも心霊写真は、カメラそのものか、写した人によるなんて言われているから、僕にはそういう才能はないのかもね。
まぁ、プロは撮れないなんて話も聞くけど。

でも、ちょっと面白かった心霊写真があるんだよ。
ある会社の待合室に、でっかい風景写真が飾ってあるんだ。日本家屋と池。山の見える風景。
仕事で行くとよく待たされているから、何気なく見ていたんだ。
たぶん、プロの写真。大判のフイルムで撮影された物だと思うよ。それを全紙というか、大きく引き伸ばしてあるんだ。
写真の全紙じゃなくて、印刷用。1mはあるかな。
ある日気が付いたんだけれど、池のところに何かが見えるのね。近寄ってみると、小さなどくろが写っている。
池と草むらの間にね、頭蓋骨が見えるんだ。近寄ってみないと気が付かない。離れると緑の中に溶け込んでしまう。
たぶん、撮ったプロも分からなかったと思う。大きく引き伸ばして、やっと見えるくらいだもの。
どきどきしたね。
お金を出して買う写真が実は心霊写真。それを何気なく、いつもたくさんの人が見ているんだよ。

何気なく撮った写真の中に、そんなものが実は紛れ込んでいるのかもしれないな。僕のカメラじゃ解像度が足りないから、分からないだけかもしれないけど。

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