ある高校での出来事
ある高校で本当にあったお話です。
(ふちりんさんの写真を使いましたが、この学校のお話しではありません)
1月になると、3年生の大半は進路が決まり、受験を控えた生徒は塾や予備校で過ごす為か欠席が増えていました。
例年通り風景でしたが、今年も3年生だけの「学年集会」が急遽開かれる事になり、3年生は体育館へ移動しました。
学年主任の先生は、マイクが必要ない程の大きな声で話し始めます。
「最近の3年生の欠席率が異常に高い!
しかも病欠ではなく、体調不良という生徒が殆どです。」
そしてこう続けたのです。
「確かにこれから受験の人もいる、進路が決まった人もいる!
本当に体調不良なら自己管理出来てませんし、
言い訳として体調不良と言っているだけなら、
弛み過ぎではありませんか?
これで今後の社会生活で通用すると思ったら甘いのではないですか?」
参加者のある生徒は思ったそうです。
「確かに先生の言う通りだ!」しかし、何故か違和感を感じます。
長時間にわたる学年主任の熱弁を聞き終え、司会役の先生から生徒の意見を聞きたいと促されます。
すると、真っ先に進学先が決まった(真面目一徹な)生徒が挙手し、発言したのです。
「確かに先生のおっしゃる通りです。
しかし、今日、今の時点で欠席していない私達を集めて話す内容ではないと思います!」
他の生徒も続きます
「ちゃんと学校に来ている僕たちに話すのではなく、
休んでいる生徒に話してください!伝えて下さい!」
違和感を感じた生徒は皆納得した様です。
「お門違い」なのです!
それまで静かに聴いていた生徒たちが急に熱気を帯びます。
司会役の先生が答えに窮していると、そのマイクを取って学年主任が話し始めます。
「確かにそうかも知れない!
しかし先生(私)が言いたかったのは、そうした弛んだ雰囲気を作らない様、皆で取り組んで行こうという事であり・・・云々」
もはや回答とはなっておらず、有耶無耶な言い訳を聞かされ学年集会は閉会しました。
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後日ある生徒からこの話を聞いた際、その生徒は次の様に言いました。
「『忖度しろ』ってことですよね?
忖度の意味がイマイチ分かりませんけど・・・
ひょっとして『和を以て貴しとなす』ってヤツですかねぇ?」
私は怖くなりました。
高校で生活指導の名を借りた不合理な教育が行われている様に感じたからです。
繰り返される政治での裏金問題やら、品質偽装問題、日々ニュースになる問題の根源はそうした「組織を盲信する」指導にある様に思えてならないのです。
だとしたら、そうした生徒が社会に出続けているのですから、何時までも問題は繰り返されるでしょう。
日本の将来は真っ暗でしょうか?
いいえ私はそうは思いません。
何故ならちゃんと「おかしい!」と発言した生徒がいましたし、
他に多数の生徒も違和感を感じていたからです。
そうした生徒は皆、真っ直ぐ育って欲しいと思います。
ひょっとしたら途中で心折れたり、妥協する人もいるでしょう。
しかし、まずはそうした出来事を覚えているだけで充分です。
そして心折れた一人の生徒が、ふと思い出して何処かに投稿するかも知れませんから。