『子どもの主体性を育む 言葉がけの作法』 読了
宗實直樹先生の著書。
この本、東井義雄氏や菊池省三氏らの考え方がたくさん盛り込まれており、とてもいい。理論的なところまで追求されており、ただ単なる言葉かけの例だけで終わることがなかったのも、とてもありがたかった。
・「自主性」と「主体性」について
「自主」は、外的要因による影響が多い。一方で「主体」には、自らの意志が含まれる。
とすると、主体>自主という関係になる。私たちは、子どもたちが自分からこれは大切だという価値に気付き、進んで実践していこうとする主体的な姿になるように関わっていく必要があるのではないかと思った。
「主体的学習」について
「自己調整型」と「人生型」の主体的学習についてなるほどなと思った。
今、子どもたちに求められている「主体的な学び」には、「自己調整力」と「粘り強さ」の側面があると思う。
自己調整型についていうと、子どもたちが自身の学びを振り返り、目標設定し、実践し、また振り返り・・・という反省的実践を繰り返すことが必要である。
人生型についていうと、1時間の授業で、知識や技能を教えるというイメージから、「学び方」「生き方」を1時間の授業で育んでいくイメージに変えていくことだと感じた。
「子どもはどの子も星」
本書では、この考え方が何度も使われている。すべての子どもは光輝く星である。やんちゃな子の光、おとなしい子の光、それぞれの光を輝かせたい。
この東井氏の考え方を常に胸に置いておきたい。子どもの内側にある輝きを発見し、伝えることという「ほめる」「励ます」をするにも、まずは、子どもをよく見ることであると思う。
自分は、本当の意味で子どもたちを見ることができていたか。一人一人の内面にまでよく目を向け、一人一人の内面に届く言葉かけや関わりができるようにしていきたい。
「チーム」として成長すること
学級は一つのチームだということ。チームとは、目標とモチベーションと情報を共有し、お互い協力し、助け合う体制ができていることだという。
目標の共有はするとは思うが、それに向かうモチベーションは共有されていただろうかと振り返る。学級にはすごく一生懸命な子がいる。このままではいけないと感じるような子もいるだろう。一方で、やる気がない、安心感や自信がないといった子はいないだろうか。
東井は、「子どもたち同士がつながりあい、自分の存在が認められ、力が発揮できる状態にあって初めて本気で伸びていこうという気持ちになる」と述べている。
このことからも、やる気が高まっている有機的な集団をつくることがその子をその気にさせ、成長させる手立てなのかもしれないと考える。
人は人の中で引っ張り合いながら成長する。とすれば、私たちの役割は、子どもたちがつなが合い、互いに「育ての心」をもった有機的な集団を創ることだなと思う。
『子どもの内面に響く言葉がけは教師の「心構え」にあった!』というキャッチコピーに惹かれて読んだが、まさにその心構えを創るきっかけとなる本だと思う。心構えによって言葉の重みや関わりが変わる。
改めて「子どもたち一人ひとりの良さを引き出し、さらに伸ばしたい」という自身の構えを意識した言葉がけや関わりを続けていきたい。