【おとなりさん便り】こどものためのおとなの授業レポート(地域の居場所での大人の“居方(いかた)”)
「おとな」が「こども」とのかかわりについて学ぶことができる講座『こどものためのおとなの授業』、第3回目を開催しました
年3回の学びを通じて、こどものために自分ができることを考えていく授業。8月に実施した第1回目、12月に実施した第2回に続き、最終回は、北九州市立大学文学部准教授であり、こどもの居場所「きんしゃいきゃんぱす」の代表である山下智也さん(以下、山下さん)より「地域の居場所での大人の“居方(いかた)”」をテーマに学びました。
第1回目、第2回目の授業についても、是非読んでみてください。
通年で進めてきた授業も最終回。これまでの学びを通して「第3回でこれまでの学びと繋がりました」という意見がありました。
地域の私たちは ”専門家” ではなく "市民" としてこどもとかかわる上で、「こどもの権利」や「こどもの声の聴き方」について学んできました。しかし、知識を得たからこそ、実践の場面で踏みとどまってしまうことがあるかもしれません。そこで、今回では、敢えて「かかわる=doing」ではなく「居る=being」ことについて、教えていただくことにしました。
地域の私たちはナナメの関係が作れる
山下さんご自身が、大学の頃から続けてこられた「きんしゃいきゃんぱす」は、場所を移しながら約20年間続いているそう。こどもたちが、その場所を自分のものにしていく過程が「たまらなく良い!」とリアルな様子を話していただきました。昔はこどもの居場所に大人はいなかったけれど、誰にでも居場所があるように、と大人によって居場所づくりが進められている社会になっている。しかし、こどもにも気持ちや視点があるため、こどもを「こっちにおいで」とお客さんのように区別せずに、自らにかかわってもらうことが大事なのだそう。第1回の重永さんから学んだ、こどもに権利について再確認するような内容に触れていました。
続いて、地域の大人の居方について。親や先生は上下の関係(=タテの関係)、友だちは対等な関係(=ヨコの関係)だけれど、地域の私たちたちは、名前は知らないけれど顔は知っている…!という、ナナメの関係をつくることができます。「お!」と目が合った時に、ちょっとだけ親しいリアクションをしてくれる感覚。どのような表情で、振る舞いで立っているがが重要です。
しかし、意気込みすぎて近すぎると、こどもは萎縮してしまって声が出せなくなってしまうことがあります。そこで気をつけたいのがパーソナルスペースです。物理的にも少し「ナナメ」にすることによって緊張感がグッと下がるんだとか。
こどもを丸ごと受け止める
参加者の皆さんの中には、「それでも注意したくなることもある」「教えなくちゃいけないし…」のように、地域の大人としての居方に悩んでいる声もありました。そこで、山下さんがお伝えくださったのが「こどもを丸ごと受け止める」ということです。こどもには、大人から見て”良い子モード”の時と”悪いモード”の時、両側面があるかもしれないけれど、分断して”悪い子モード”の面を否定するのではなく、どちらも「あなたが感じたことなんだよね」として受け止めることが大切であることを教えていただきました。
第2回の岡田さんから学んだ、相手を「肯定をしていく」ことが、ここで改めて活かされてきます。
こどもの「世界を広げる」居方
こどもたちは、私たちが思っている以上に小さな世界の中で生きています。だからこそ、近くにいる大人の掛ける言葉が、そのこどもにとって意外なものとして世界を広げるきっかけになります。山下さんは、それを地域は「別世界への覗き穴」と表現していました。こどもの「今」生きることを大事にしていきたいですね。
参加者のアンケート、感想をご紹介します。
これまでの、学びを吸収し、それぞれが自分なりの居方を模索していかれると思います。「ねえ、聞いて」とこどもが言った時に「なあに」と言える私たちでいれるように。今回の授業が、皆さんにとって安心してこどもの側にいるための指針や糧になっていれば嬉しいです。
一人ひとりの市民性が広がっていくことが、より良い地域づくりに繋がっていくことを確信しています。こどもをまんなかに、ほっとできる瞬間がそばにある社会を皆んなで緩やかにつくっていきませんか。
佐賀県にいる「こどもたちのおとなりさん」をInstagram、noteで発信しています。応援の気持ちを込めて、ぜひ覗いてみてください。
▶︎アカウントはこちら https://www.instagram.com/kodomo.otonarisan/
編集・書き手・写真 : 草田彩夏(佐賀県こども家庭課 地域おこし協力隊)
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