落水 雲

執筆家。思想と生活。

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  • エッセイ

    エッセイはフランス語のessayerが語源にあり、その意味は「試みる」だそうです。ここでは色々な文章を試みとして載せています

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    ものぐさ人間の生活史です。

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鶴見俊輔『思想をつむぐ人たち 鶴見俊輔コレクション1』

鶴見俊輔を読む。今の若者たちのどれくらいが知っているのだろうか。 生涯と思想の背景 鶴見俊輔はアメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジで生まれ、父親は外交官の鶴見祐輔、母親は鶴見和子です。彼は幼少期をアメリカで過ごし、英語と日本語の両方に堪能。その後、ハーバード大学で哲学を学び、ウィリアム・ジェームズやジョン・デューイといったアメリカのプラグマティズムの思想に強く影響を受けた。 戦後日本での活動 第二次世界大戦後、鶴見は日本に帰国し、戦後の日本における思想的リーダ

    • 人はなぜ矛盾し、葛藤せざるを得ないのか。

      人間は基本的に葛藤を抱えて生きている。朝起きた時、もっと寝ていたいけど仕事に行くためには起き上がらないといけない。これが葛藤。 それで今日ぼんやりと「なんで葛藤が生まれるのか」、について考えていた。そこで思いついたことは、人は心の中でいろいろなことを同時に考えられるけど、実際にする行動は一つだけしか出来ない。そのために葛藤が生じるんじゃないかと思いついた。 少し詳しく説明する。 朝目が覚めると思考が動き出す。 「朝だ。起きないと」「寒いな」「あと10分は寝てられるな」「早

      • 他者。それは人が電車でぶつかった時の反応に現れる。

        あなたは電車でぶつかった時に謝りますか? 謝るのがいいとかの話じゃないので、あなたが謝ろうが謝らなかろうが、それはどっちでもいい話である。 ただ、「他者に対する意識の向け方」というのは人によって全く異なっているということを言いたいだけなんだ。 この「他者に対する意識の向け方」というのは、無意識的にしている、極めて個別性の高い事柄だから、普通なかなか自分じゃ気がつかない。他人なんていないものとして扱う人っていうのが世の中に結構いる。この手の人間を「他者いない人間」としよう。

        • 人間の自由とはどこにあるのか

          フランスの詩人ポールヴァレリーによれば、人の自由というのは意識の作用である。 わたしたちの考えている「自由」とはなんであろうか。 朝が目が覚める。これは自由か。布団から立ち上がる。これは自由か。 誰かと話す。スマホをいじる。テレビを観る。ご飯を食べる。これは自由か。 ヴァレリーは人の自由を考える上で、「刺激」と「要求」、それに対する「応答」という関係から考えた。 生体がなんらかの刺激を受ける。すると、生体はその要求を満たすための応答を行う。刺激S=要求Dという関係だ。

        鶴見俊輔『思想をつむぐ人たち 鶴見俊輔コレクション1』

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        記事

          どのように服を買うべきか。

          服を買うときに考えるべきこと。 それは、どの程度その服を着るか、である。 季節ごとに服装は変わるので、季節にあった服を着るのはみんな同じことだ。 日本の気候は四季なんて言われるけど、実際は夏と冬の二極化が進んでる。 季節を服に当てはめて考えるとこうなる。 夏服4ヶ月 冬服4ヶ月 春秋服4ヶ月 春と秋はほぼないと言ってもいい。 とりあえず、夏服と冬服について考えてみよう。 夏と冬は120日ずつある。 あなたが私服を着る機会はこの日数のうち何日だろうか。 土日しか着な

          どのように服を買うべきか。

          髪型の哲学

          髪型はむずかしい。 似合う、似合わない、かっこいい、かわいい、変、ダサい。 色々あるけれど髪型で何が大事になるかって「品」だと思う。 最近、男の子が美容にこだわり始めて、色々凝った髪型も出てきた。 ただ自分の心情として、キメすぎなスタイリングはダサいと思ってる。 別に人がどんな髪型でも構わないけど、相手をびっくりさせるようなスタイルは大人じゃないなと思う。 たまにキメまくりな髪型の人に合うと、「この人はコーム当てて、ワックス使って、鏡で入念にチェックしたんだろうな

          髪型の哲学

          「ふつうの暮らし」を美学する-家から考える「日常美学」入門

          これは軽い読み物だと思って手に取って驚かされた。 「日常美学」という聞きなれない言葉には何が表されているのか。 「日常美学」とは、1970年代の「環境美学」の分野から発展している。 人間の手によらない自然を美的鑑賞として議論してきた。 ここでいう「自然」とはどの範囲なのか。 結論から言うと、人口と自然が融合した都市や家も「日常美学」として取り扱うようになっている。 はじめに、日常美学の考え方が2通り示される。 正反対の立場だが日常の中のどこに注目するかは実はその

          「ふつうの暮らし」を美学する-家から考える「日常美学」入門

          ふつうのお気に入り、Cornierのコート

          今年のコートは何を買おうか。 アウターを買うときは一世一代のバンジージャンプな感じがするのはなぜなんだろう。 ワクワクとドキドキの混ざりもの。 そんなことを思って色々とインターネットを漁っていると、このCornierというブランドを見つけた。 このブランドはいわゆるファクトリー系で、生地メーカーへの値引き交渉をしないことで、原価率を極限まで下げて服作りをしているブランドだ。 日本は世界でトップレベルの素材、加工技術を持っているにもかかわらず、それを支えてる職人さんに

          ふつうのお気に入り、Cornierのコート

          ものぐさ生活史 2024

          10日 本を読んで気に入ったことばをコツコツ集めて記録してる。 別に何かに使うわけじゃなく、ただの趣味。 基本的に貧乏性だから本を読んだら何か記録しておきたい欲望に負ける。 今日、目についた文章たちがこちら。 だからなんだって話。 まあ、こういう言葉を集めてWordに記録してプリントアウトしたものを眺めるのが好きなんだ。 寺山修司に「ポケットに名言を」っていう本があったけど、あれと似たようなもので、言葉を集めたがる変態志向が俺にはある。 12日 他者の目をどの程度気

          ものぐさ生活史 2024

          ものぐさ生活史 2024

          今日は一日ダラダラ。 なんでダラダラした日の夕方ってちょっぴり後悔するのかな。この感覚は子どもの時にはなかった。 大人の味だ。 パンクした自転車を直しに自転車屋に行った。 そこの自転車屋は、小学生の頃からお世話になっていて、いつも変わらない佇まいで安心する。 ずっと前からの店員さんに、知的障害のある人がいる。結構障害が重くて、その人が接客してくれるとお客さんは不安になるほど。 話が通じてるのか分からないんだよな。 言ったこと伝わってるのかな?ってなる。 だけど、その店員さ

          ものぐさ生活史 2024

          ものぐさ生活史 2024

          1月26日 今日はめちゃくちゃ寒い。寒すぎる。 駅のホームに人が震えてた。寒さに震える人を見るのは久しぶりだな。 こういう時に雪山で遭難したらこんな感じなんかなって想像する。痩せてる奴から死んでいくんだろうな。熱計算のジュールってやつを昔、理科の時間で覚えさせられたっけ。人間も生き物だから熱を身体に保ってないといけないんだ。恒温動物の宿命。変温動物だったら寒いのとかへっちゃらなんかな。ヘビとか。ヘビが震えてるって全然想像できないもんな。 家までの帰り道。寒い中、マフラーに

          ものぐさ生活史 2024

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          1月16日 『Good Will Hunting』をNetflixで観る。 たぶん4回目くらい。何度観てもいい話だ。 カットの画も、セリフがなくて登場人物が表情だけで、立ち姿だけで語るシーンも綺麗。映画を観て思ったことは、人は死ぬし、自分のほんとうにやりたいこと、目を奪われるものを見つけたのなら、わき目を振らずにそのものを追いかけることの大切さだ。1人の人を愛することとその記憶は人生を豊かにすること。 映画の中では惚れた女の子に身体全体でぶつかっていくことを「その子を確

          ものぐさ生活史 2024

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          1.12 仕事をした。 帰宅して「にがにが日記」を読みながらチョコレートを食べる。チョコはいつも甘くてうまい。 本を読むとすぐに集中できなくなる。switchを手に取ってみるけど、それにもすぐに飽きる。 飽き性なんだな。仕方なく部屋を見渡してみる。なんの変化もない。また、読書に戻る。 1.15 今日は休み。朝から歯医者に行った。なぜ歯医者に行く前はあんなにも憂鬱なのか。滅多に不機嫌にならないが、歯医者さんに対してはかなり不機嫌な態度を見せている気がする。申し訳ないけど。 歯

          ものぐさ生活史 2024

          ネガティヴ・ケイパビリティについて

          箒木蓬生『ネガティヴ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力』を読んだ。 とてもいい本。 めちゃくちゃ良くて2回読んでしまった。 詩人キーツが兄に宛てた手紙にある一文がある。 人って矛盾に耐えられないから何かしらの答えをひねり出す。どっちつかずってのが一番嫌な生き物なんだ。 昔付き合ってた彼女に中途半端が嫌いだ、と言われたことを思い出す(完全にこちらが悪かった) キーツの生き様は劇的(父母は幼い時に病死、本人は25才で死んでる!)だけど、長生きしていたらどうなって

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          1月8日 最近ちょっと読みかじったものを紹介。 『星の王子さま』を書いた有名な作家サン=テグジュペリの言葉に「交換」というものがある。これは、人間は何かの仕事に打ち込んで、自分のすべてをそれに捧げることで、自分の命とそれを交換するという思想らしい。 交換の思想のもとで生きた人について、サン=テグジュペリはこう思ってた。 詩的でいいな。星いっぱいで死ぬ人生を自分も歩んでみたい。 我を失うほどに没頭して何かをすることが人間の幸福の一つであることは、仏教でも言われてた。うじう

          ものぐさ生活史 2024

          映画「パターソン」-過ぎゆく日常の揺らぎを見つめて-

          ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」を観て 詩人のバス運転手、パターソンの1週間を描いた作品。 同じ時間に起きて、同じ朝食を食べて、 同じ仕事で同じルートを運転し、恋人とご飯を食べる。犬の散歩、行きつけのBarでお馴染みの顔と会話を交わす。 寝る前に地下室でその日にあった印象的な出来事を詩に書き連ねる。 そんな何も事件が起きない映画だけど、その日常を詩人の目は色鮮やかに捉えていく。 パターソンは寡黙でほとんど自己主張もしない人だけど、その内面にはどんな小さな出来事で

          映画「パターソン」-過ぎゆく日常の揺らぎを見つめて-