たんぽぽの憧れ①
【去年
新見南吉さんのオマージュ作品として
書いて応募して没になった作品です。
元々の作品は新見南吉さんの「花を埋める」です。】
たんぽぽはいつも思っていました。
「桜の花はどうしてあんなに美しいのだろう。
僕なんてちっともかなわない。」
たんぽぽの前をせっせと食べ物を運ぶ蟻たちは言います。」
「君の黄色も、お日さまみたいでかっこいいじゃないか。自慢の友達だよ。」
たんぽぽは、空を見上げました。
けれど、空は桜のピンク色で覆われて、お日さまは見えません。
向こうから、ガヤガヤと賑やかな音が近づいてきます。
「桜が咲いて、春がやってきた。」
「春と言えば、桜ですからねえ。」
と、嬉しそうに、桜に見とれる人間達。
たんぽぽは面白くありません。だって、春に咲くのは、たんぽぽも同じですから。
あれ、桜に見向きもしない人間がいます。
つづく。
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