『花惑いの女の子』を語る。

自分の書いた物語が本になった。
それは俺の人生で現状最もぶっ飛んでいて、そして最高の思い出だ。

それで?
書く為に悩みに悩んだ後は?
書き上げたものに自信を持てなくなった後は?
この作品を「最高だ」と自分に言い聞かせて世に出した後は?
そうしてこの作品を「好きだ」と言ってくれた人が沢山現れて、本当に最高になれた後は?

その作品について語りたくなるのがオタクの性だよな!?!!?
主語がデカいし、本性表したわね。


というわけで、これまでに出した2つの記事とはかなり毛色が異なりますが、オタク自分語りnote3つめ。やります。

このnoteには自作『花惑いの女の子』についての言及とネタバレとなんやかんやといつも通りの痛い自分語りが含まれています!!!!!
普段以上に気をつけてください!!
「これがハナコの○○だと思います」とか言ってますけど、あくまでも『花惑いの女の子』内の浦和ハナコのことです!!!!
OKか!? OKなら語るぞ!!!!!!!!!!!


1.はじめに。

まず、このタイミングでこのnoteを書こうと思ったきっかけから。
言ってしまえば次のイベントの為です。

この『花惑いの女の子』は俺にとって初めての同人誌で、それ故にレンという一人のオタクの全てを詰め込んだような、もう名刺として使えるような、「初めまして! 俺はこんな人間です!」って言いながらこの本を差し出しても問題ないような作品です。

だからこそ、この作品は完成してからも常に俺の心の中にあって、むしろ完成して色んな人から感想をいただいてから大きくなった気がする。
それはとっても幸せだよな~って思ってて、この作品は大切にしたいです。

でも次の作品を書こうと思った時に、この作品がずっと脳裏にチラつくとなると……まずくね?

ただでさえ「俺は自分の書いた作品を超えられるのかわからない」と思いながら書いてるのに、この作品は壁としてデカすぎるんですよね。

ここで一旦、この作品について言いたいことを言い切ってスッキリしてから執筆するか~~~~~。みたいな気分でnoteを開きました。

まぁ、そのnoteも2回書いて2回ともめちゃくちゃな反響をいただいていてハードルが死ぬほど高いんだけどな!!!!!!!!!!!!!!!!!!
読んでくれてありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!

noteに書かれていることは、全て嘘偽り無い俺の本心です。


2.青空、未だ憎く。

短くも長い冬が終わりを告げて、世界に春が訪れた。
私の心は雪と共に溶けていって、私を守るものはたったひとつとなった。
胸に刺した氷柱の楔は、いとも容易く抜けてしまった。
矛盾し惑う私の脳髄は、とっくに本質を見失っている。
道端に咲いた小さな花は、何のために咲いたのかを覚えてはいない。
この苦悩が青春の証左だというのなら、なんて残酷なのだろう。

『花惑いの女の子』

これがこの作品の始まりです。
どうみても詩ですね。書いた俺が「詩だ……」しか言えなくなるので。

まぁ詩が好きで、この本をひとつの詩にしてやろう。なんて思っていたオタクが書いたので、最適な始まりだなぁと思います。

浦和ハナコを描こう。彼女の感情を描こう。そうして色々と思考を巡らせていく中で自然と出来上がった文章です。この書き出しが最初のページに置かれたのは執筆中盤だったと覚えています。

この始まりに触れるために少しだけ脱線するんですが、今回のハナコ本……かなり序盤が重くて読みにくいです。
後半を軽やかに、駆け抜けるような青春を書きたくて、意図的にそうしました。

だから手に取ってくださった読者に重苦しい序盤をどーにかして乗り越えて欲しい。これからどうなるんだろうな、あれってどういう意味なのかな。
みたいな動機と期待感を与えたい。みたいなことを考えて冒頭にあの詩を置きました。

全部、作中のハナコの心情とリンクするようにしたつもりです。
そして物語の最後の最後に、この詩が最高火力になるよう仕上げました。
いかがでしたでしょうか。

かなりこの冒頭に「良い」ってお言葉をもらっていて、俺としてもお気に入りです。
「短くも長い冬が終わりを告げて、世界に春が訪れた。」なんて、もうどう考えても良い事みたいな雰囲気なのにハナコ当人の心情は最悪ですからね。世界に春が訪れようと、心が冬だったらただ一人取り残されているようなものですし。

そして、この冒頭から始まる『青空、未だ憎く』

一番書くの大変だったのはこの章でした!!!!!!!!

さっきも言ったんですけど、わざと序盤を重苦しくして、思考が堂々巡りになるハナコを書けるように……しようとしたところまでは良かったんですけど。
そのせいで表現がおかしくなるわ、読んでる最中に手が止まるわ……シンプルに執筆最難関は序盤にあり。でした。

結局、この話は浦和ハナコが悩むお話です。
レンってオタクは「悩む」という行為が大好きなんですよね。
正確に言えば悩みに悩んで、それでも前を向こうとする美しさに惹かれる質で。
そして、悩みに悩む姿をどう表現しようと悩んだ時に出た答えが。
「もうめちゃくちゃに心情を書きまくってやろう」でした。いつも通りじゃねぇのか?

悩んでる時って思考が堂々巡りになって、言い方を変えたりしてるだけで結局一つのことに囚われている~みたいなことってあるよね。って思っていて、その感覚をフル活用したのが『青空、未だ憎く』でした。

最悪な気分。『自分はこのままでいいのか』という焦燥。テセウスの船。醜さを見出してしまう自分。そして青空を憎む感情。
それら全ては結局、単純な悩みが生み出したものに過ぎないわけです。

青空が見下すこの世界は、空より綺麗とは言い難い。
強い雨でも降れば良い。鈍い灰色になってしまえば、私達の世界と同じだ。
それなのに、どうしてその美しさを私達に見せつけてくるのか。

この章を語る上で最後にお気に入りの箇所を一つ切り抜きました。
憧憬と怒りを一緒くたにしたような文章で、この章を代表する文章だと思っています。
いくら憎んで嫌っても青空はいつも美しくて、それを好きになれない自分も嫌いになるのかなと。


3. 花びら、雨に流れて。

『青空、未だ憎く』から続く『花びら、雨に流れて』。
恐らく、一番”浦和ハナコらしさ”みたいなものを意識して書いた章だと思います。

もう、どれだけつまらなそうにしているハナコを書くか。ってことばっかり考えていて(最悪なオタク)制服を脱ぐシーンなんてそれの最たる例ですよね。
普段のハナコならあんな脱ぎ方はしないでしょう。もっとこう、仮にアニメーションなら変な効果音が何処からか流れてくるような脱ぎ方をしてくれるはずです。

けどそうじゃなくて、どれだけ明るい人だって部屋で一人になれば真顔になる瞬間がやってくると思います。

この作品では寮暮らしと仮定して書いていますが、本当に一人になった彼女を書くなら、その時にしか出せないような『弱さ』を書いてやろう。

そしてもうひとつ。初稿を書き上げる段階になるまで、作中のハナコの恋心をどうするかというのは大きな問題でした。
今回の話は恋物語にする予定ではなかったから、言及なしでも差し支えないなぁ。と思っていたんですけど。

「ここで彼女が恋に対して崇高性を持っていたら、弱さが際立って良いんじゃね?」と心の中の悪鬼羅刹がささやきまくってきたので、そんな描写を入れました。ナイス悪鬼。

貴方は私の免罪符で、貴方がいるのなら私は間違えてもいいと思えた。赦しを求めるのではなく、ただ理由を求めていた。

告知にも使ったこの文章が、雨の降りそうな世界で一人震える彼女の全てだったと思います。
どこまで賢くても、強くても、彼女は『生徒』である。そんな感情でキーボードを叩き続けていた章でした。

そうして雨が降って、崩れ落ちていく彼女が、全て呑まれて消えてしまえと願う。それでも彼女はたった一言「嫌ですね」と呟く。
俺はこのシーンが大好きです。

誰しもが日々悩みを抱えていて、それがどれだけ小さなものだったとしてもいつかは溢れ出てくる。そんな経験が俺にもあって、それを描いたこのシーンは、どうしても辛いものだったというのも事実だったわけですけれど。


4.空は晴れ、君は何処。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
急激な場面と視点転換!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
それとコハル登場!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
これやっていいのか!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!
わからん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
やろう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

はい、これがこの章の全てです。

……すみません、嘘です。

この物語は『問題を全て解決させよう』と思って書いていません。
寧ろ『全てが解決しなくて良いじゃないか』と思って書いていました。

それでもハナコの導き手と救い手は必要だよなと考えていて(一人じゃどうしようもない深淵へと沈んでいきそう)その役目に抜擢されたのが先生とコハルでした。
できるだけ人数を絞りたいと思っていたし、終盤にいきなり登場させると温度差で物語が壊れるよな……と思ったので、ちょっとこの章はチャレンジというか、ほぼ博打って気分で視点転換を行いました。
結果的には成功……だったかな?

俺自身がコハルに惹かれてブルアカを始めたオタクだったのでこう……コハルと見ているとハナコも見る。みたいな事が結構起きたんですね。
これは百合とかCPとかそういうことでもあったり、なかったり。
まぁ良いコンビだなってやつです。

エデンでここぞという時に真っ直ぐと美しくいられるコハルに惚れて、彼女ならハナコにも何かを伝えられるかも知らん……。
そう思ってこの物語に連れてきました。
後は単純に最推しを物語に出したい欲がありました。

コハルと一緒にいる時のハナコって本当に楽しそうで、見ている俺も安心する~。ってところがあります。

ここでアレな事実なんですけど、この作品で最もリテイクが発生したのはコハルの描写関連です。力入れすぎちゃった。

初稿完成までに何回書き直したか覚えてない。恐ろしや。

もちろん先生も重要で。ここでしっかり『大人の考え』みたいなのを差し込んでおくことでこの作品の優しさみたいなものが伝わるかなぁと。これは本当に体感的な言い方になるんですけど。


5.花泳ぐ、逃避行。

ここからアクセルを思いっきり踏み始めました。
前半からずっと下準備をしてきて、こっからは「レンの全力文章を書くぞ!!!!!!」とかアホほど調子に乗ったことを叫びながら書いてたので。そのぶん超楽しかった……。

ようやく、『花言葉』というこの作品における大きなテーマに触れることができた章です。表紙絵でハナコがユリを持っていた理由がここで判明するわけですね。

花言葉のお話はまた後で。一旦それ以外のことについて語ります。

えー。まず皆さんにお聞きしたいんですけど。

……ふらっと電車に乗って、知らん駅で降りて、ちょっとした冒険をして現実逃避した経験。ありません?????

俺はあります。

その時の経験フル活用~! って章です。旅でも家出でも散歩でもなくて、ただそれは逃避に過ぎない。それでも思い返すとあの一日はなんか良かったな。って思えてしまう。そんな一日が記憶にあります。

そんな一日ってなんか不思議な経験みたいで、某ジブリ映画みたいな気分なんです。それこそ十字路を曲がる前に振り返ってしまえば、さっきまで自分が居た店は跡形もなくなっているような。

だから、あの花屋は実在していたのか。
ハナコと先生の深呼吸の回数が一致していたことに意味があったのか。
そういった小さな不思議と、どこか懐かしい気持ちになるような『何か』をたくさん詰め込んだ章です。最もヨルシカ的と言えるかもしれない。

モブキャラとして登場した店主もだいぶお気に入りだったりします。
ああいうキャラが好きなんですよね。どうしても。

この章を書くにあたって何度も近所の花屋に通っていたのですが、あの空間は本当に異世界です。少し暗くて冷たくて、それでも色鮮やかで甘い香りがする。世界一綺麗な異世界への入り口かもしれないな。なんて考えています。

ただ、現実だとユリの花を咲いた状態で店に置くことは少ないんですよね……咲いてる期間が短いから、花開く前の状態で販売することが多いみたいで。
まぁ、不思議な花屋のユリはきっと長く咲けるんでしょう。恐らく。

花屋を出てから再度空を眺めて悩みの原点に戻ることで、この惑いは本当に堂々巡りなんだってことを確定づけることが出来たかなと思います。

そうして遠くから聞こえる幼子の「またね」という言葉。俺は「さよなら」と言うのが苦手です。寂しい言葉だなと思うので。
「またね」って言葉はすっごく温かくて大好きで、本当に優しいと思います。

そしてそんな幼子に「どうか無事に帰って」と願うハナコ。
きっと彼女なら、自分が苦しんだ逃避と苦悩の一日が終わりかける夕暮れでも、そんな優しい願いを込めることができるんだろうなと思っていて、これは書き手の我儘な願いですよね。

余談ですがブルアカ最終編で流れた『優しさの記憶』の歌詞。
「さよなら」じゃなく「また明日ね」って言って
この歌詞が流れた瞬間に自分で書いたこのシーンを思い出して泣きました。
「そうだよな、また明日だよな」って。
本当に、それだけの事が幸せなんだと思います。

最後に、一気に物語を終わりに加速させる先生とのやり取り。
『直ぐに行くよ』と書きながら、「答えを出そう」そう呟いたのを覚えています。


6.空を見上げて、愛しき日々を。

よ う や く ア ク セ ル 全 開 で す 。

おまたせしました。マジでこれが全力100000%文章です。
そんな気分で書いていました。
この作品、後半に向かえば向かうほどリテイクが少なくなっていて、この章に至ってはほぼゼロです。

自分で言うな!!! の極地なんですけど、この章の文章強すぎて今でも読むとにやにやします。最強。

さて、この章で物語は終わります。
遂にハナコが悩みを吐き出すってところなんですけど、問題はハナコ当人が何を話せば良いのかわかっていない。というところにありました。
実際、書き手の俺は作中のハナコの悩みを把握して書いてるんですけど、当人はぐちゃぐちゃとした感情のままだったわけです。

それを俺は『泥』と言いました。

心にあるものは多すぎる。けど、手に取れるものは少なすぎるのだ。底にある泥をすくい上げようとしても重くて持ち上げられないし、持ち上げられるものを私の考えだとするには薄っぺらで、どうにも納得できなかった。

正直、作中最強の文章を抜き出せ。と言われたら俺はこれを選ぶかもしれません。それくらい良いものが書けた自信があります。

後は彼女が泥の中から何かを見つけるだけだったんです。

そして、一度言葉が出たのなら、もう止まらない感情の濁流になるんだろうなと。

あとがきでも言ったんですけど、本当にハナコが全てを言うシーンはすらすらと書きました。本当に、俺も何かを見つけたんだと思います。
この章は物語の最後であり、これまでの章でハナコが抱えてきた悩みと対面する章です。だからってわけじゃないんですけど、俺もこの章を書くのは最後にしようと考えていて。
だから、『花泳ぐ、逃避行』を書き終わって、『空を見上げて、愛しき日々を』に向かうって時に「答えを出そう」と呟いたんですよね。

ハナコの言葉は、この物語を書いている俺の答えでもありました。
同時に、俺の叫びでもあったのだと思います。

人は生きる限り悩み続ける。

青春を生きるハナコにその言葉を叩きつけたいお話でもありました。

また同時に。

悩むことは全てを捨てたいと思うことではない。

それも間違いないんだって気づいて欲しいな。と思って書いたお話でした。

そして君にも帰る場所があるんだよ、ハナコ。そう伝える役目をコハルにお願いしました。
もうここまでくると「コハル! お前にしかできない……ッ!」って気分です。
大人として導く役目を先生に、純粋な優しさで救う役目をコハルに。人数はマジで絞りましたが、ハナコが明日を愛せるようになるにはこの二人が居ないとな……って感じでした。


7.女の子ですよ。

……え? まだ続くの? ……って?
ここからが本番だが?

というわけでさっき軽く触れるだけにした花言葉への言及とか、作品のテーマとかタイトル、そういったところに限界まで触れていこうと思います。

では花言葉のお話と、簡単なテーマとタイトル云々から。

この作品のテーマは『過去の自分に囚われながらも、今と明日の自分を愛することができるのか』と『本当の自分って何なんだろう』ということになるんだと思います。

簡単に答えが出ることじゃないのは確かで、故に悩む。
でも青春期に一度は考えることなんじゃないかなとも思う。

そこで一つ補助として、またもう一人の主人公のような気分で。
『黄色いユリの花』を登場させました。
そこでテーマはほぼ完成したなぁ。と思っていたんですけど問題はタイトルでした。実は初稿段階では今と違うタイトルで、最後の最後まで悩んでいたので。
それで一回、凄く凄く短く簡単にこの物語のあらすじを以下のように書いてみました。

ハナコが自己の抱える悩みと共にふらりと逃避行紛いの一日を過ごし、『偽り』という花言葉の花を見つけ、それを片手に携えながら、大切な人達のおかげで明日の群青を愛するだけの何かを見つける。

『花惑い』という単語がここで自然と浮かんできました。

そうです。ヨルシカです。『夕凪、某、花惑い』です。またかよ。

恐らく俺の知っている限りではガチガチの造語なんですけど、造語だからこそ良いなって思えて。
ここで下手に意味がある単語をタイトルに入れてしまうと、後述する花言葉云々が薄れちゃうかな。なんて思っていて悩んでいたので『花惑い』という単語を使うことにしました。

といっても、流石に造語だけだとなんかな……

う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。



絆ストタイトル。

あ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
これにしよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

って感じでタイトルは『花惑いの女の子』になりました。
個人的に『雨の中の女の子』が大好きで、作中でもこの絆ストについての言及がいくつかあります。

なんか、本当にハナコの絆ストに『女の子』って単語が使われていることが良いんですよね。
さっきはあまり意味性がある単語をタイトルに使いたくないと言いましたが、浦和ハナコが女の子であることって間違いがないと思うんですよね。

美しい容姿とめちゃくちゃな奇行と聡明さと抱える闇と……彼女を構成する要素ってたくさんあって複雑で、「浦和ハナコ書くの難しくね?」って言われるのも納得だよなって感じなんですけど。

だからこそ、そんな彼女の絆ストが「○○女の子」で統一されていることが本当に大切なことのように思えるんです。
彼女からの「私だって一人の少女だ」というささやかなアピールのようにも感じ取れてしまって、このタイトルたちを見ると胸が痛くなる日もあります。

公式の用意したタイトルに乗っかる行為なんでかなり躊躇ったんですけど、でもこれ以上のタイトルは俺に用意できない。って思ったので、これでいこう!となりました。
どうでしょう。このタイトル、良いですかね。


8.そんな意味蹴飛ばそうよ。

さて、次は花言葉です!!!!
物語の根幹の一つなのにここまで話さなかった!!!!

あとがきでも話したんですけど、俺は花言葉が大好きです。
ロマンティックだし、美しいし、優しい願いが大半だと思います。(まぁ恨み辛みもかなりの数ありますが)

だからこそ、一回は蹴っ飛ばしてやろうかなって思いました。

冷静に考えてみてください。
あなたは黄色いユリの花として咲いていました。
ある日知らない人があなたを指差しこう言うのです。
「お前の意味は、今日から偽りとする」と。
そうして、世界中の人々が、あなたを偽りの象徴として扱うようになるんです。
別にこれ、ネガティブな意味じゃなくても同じだと思います。
愛だろうが、幸せだろうが、嫌いだろうが、呪いだろうが、破滅だろうが、希望だろうが、明日だろうが、絶望だろうが……。
誰かに意味を押し付けれられて、花はそれを背負っています。

それを、俺は浦和ハナコと重ねました。

期待も、花言葉も、願ってもないのに勝手に背負わされた側はたまったもんじゃない。そう考えるかもしれない。

もしかしたら、登場させる花は黄色いユリじゃなくても良かったのかもしれません。ハナコってクローバーの意匠がそこいらに施されていたりするから、そっちでも良かったかもですね。
意味を背負わされる花と、期待を背負わされるハナコ。

この構図を思いついた瞬間が、この話を書こうと決めた瞬間でした。

そんな感じで、花屋の店主のこの一言が俺のお気に入りだったりします。

「その花は、あなたと出会えて心から喜んでいるように思えますよ」

あの店主なら、押しつけではなく本当に花が喜んでいるとわかったはずですから。
花は喜んでいたんです。それは同じような境遇の人が手に取ってくれたからなのか、初めて自分の背負う意味にふさわしい人に出逢えたからなのか。
その辺りは皆さんのご想像におまかせします。
花が好きであるのなら、きっと花の気持ちがわかると思いますので。


『本当の自分って何なんだろう』
『過去の自分に囚われながらも、今と明日の自分を愛することができるのか』
これがテーマでした。

そうして作中のハナコは、同じように意味を背負わされたユリの花と一緒に笑って、初めて自分たちで望んだ意味を名付けたんです。

「青春」という言葉を、軽やかに背負ったんです。

意味を見つけたハナコはきっと、明日を愛せるようになる。

この物語を描いた俺はそう確信して、また願っています。


9.この世の全部は主観なんだから。

そうして、浦和ハナコの主観によって描かれた物語が、『花惑いの女の子』でした。

この物語は彼女の主観であり、レンの主観でもあります。

二次創作ではありますが、全力で書き上げました。

どうだったでしょうか。

俺は彼女の世界を美しいと思いました。

皆さんも、浦和ハナコの青春の一つの可能性を、美しいと思っていただいたなら幸いです。


そして蛇足かもしれないですが最後にひとつ。

皆さんは俺の好きな小説をご存知でしょうか。

まぁ正直初見で俺のこと知らなくて、ここまで読む人居ないやろって思うんでアレなんですけど一応。

著:夢野久作
『少女地獄』
その中の1つの短編。『何んでも無い』

それが俺の世界で一番好きな小説です。

姫草ユリ子という可憐な看護師が、自ら作り上げた虚構によって破滅していく物語。

ユリの嘘。 俺からの1つのアンサーでもありました。

そんな小さないたずらも、この本には含まれています。


本当に、俺の全てで書いた物語でした。
これを本にできたこと、世に残せたこと。
沢山の人に読んでいただいたこと。
全てに感謝しかありません。

まだまだまだ!! この本で語りたいことはあるんですけど。
インターネットに残せる限界はここかなって感じなので、聞きたい人はいつかこっそり聞いてください。(いるの?)


たくさん語ってスッキリしました。

これで次の本も書けそうです。多分。

俺はまだまだ駆け抜けます。
どうか皆様が、明日の群青を愛することができますように。

それでは。

レン



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