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★これからクリニック新規開業するのは、大変だ★ 〜自信があるならいいけれど〜

カイツマが見聞きした話と、約20年の医院経験による、個人的な意見です。
開業条件、地域性、時代背景によっては、カイツマの話とは異なることがあるかもしれません。
最終的には、ご自身の目と耳ででお調べいただくことを、強くおすすめします。
あくまでも、ご参考程度にお読みいただけますと幸いです。


今後の新規開業は大変だなと、思う理由

新規開業規制

現在、我が国では、増えすぎたクリニックを減らそうと、新規開業を規制する動きがあります。
例えば、その地域にとってどんな役割をするのか、明確な意思表示が必要(認められたら開業できる)とか、自院以外の役割も担う必要があるとか、都市部と僻地の診療報酬に差をつけるとか。
どうもそこら辺は、今のところザルっぽいので、開業意欲満々の方にとっては、取るに足らないものかもしれませんが、いつどんな規制が入るやら。

診療報酬の減額

年々、何かにつけ、診療報酬が減らされております。
正規の診療報酬改定は2年毎ですが、結構イタイ減らされ方をします。
真綿で首を絞めるかのように、じわじわと…。

例えば、
単純に、点数を減らす(今までと同じ診療内容なのに、もらえる金額が減る)
これをやらないと、診療報酬はもらえないという条件付け(業務量の増加)
など。
*診療科によって、内容は違います*

診療報酬が減っていくわけですから、収入が減ります。
なのに、人件費は上がる、薬剤や消耗品の価格も上がる、診療報酬を増やすことはできないのに、経費は増えていく。
年々、開業医の経営は、厳しくなっていきます。

初期費用、維持費が高い

新規開業のために契約する、コンサル業者、電子カルテ業者、システム業者、キャッシュレス決済業者、建築業者、看板屋さん、広告チラシ代(デザイナー含む)など、初期費用がかかります。

コンサルから様々な業者の紹介をされると思いますが、電カルなどのシステム構築は、開業以降、月額サブスクになるので、コンサルに言われるがままではなく、複数の見積もりを取って、比較検討してもらいたいものです。

開業までにスタッフをそろえなければならず、患者が来ない状態が続いても、しっかり人件費はかかります。

患者ゼロスタートから、軌道に乗れるのか不明

当院が開業したての頃は、まだ周辺にクリニックが乱立していなかったのですが、それでも、経営面での安全圏に入ったと思えるまで、2〜3年はかかりました。
その後、周辺に次々とクリニックが乱立していき、患者さんの取り合い状態となっておりますが、なんとか持ち堪えています。
乱立前に開業していて良かったなと思います。
これからの準備だったら、きっと開業していなかったと思います。

当院は、前勤務先の患者さんを連れて行こうとしなかったので、スタートは悪かったかもしれません。(それでも、自分の意思で付いて来られた方もいましたが)
もし、連れて行く患者さんが多ければ、ゼロスタートではない分、気は楽かな?とは思いますが、患者さんが想定通りに動くとも限りませんし、前勤務先に対して不義理を働いたら、後々、何らかの問題が生じるかもしれませんので、その辺は、よく考えて行動していただきたいです。

既存クリニックとの、患者さんの奪い合い

前勤務先から患者さんを連れて行くとしても、ゆくゆくは、その地域で患者さんを増やしていかなければなりません。
クリニック飽和状態で、すでに既存のクリニックが取り合っている患者さんを、まだ認知度の低い新規クリニックが奪わなければならない、それだけで難しいと思いませんか。

その地域に存在しない診療科なら、ありかなと思いますが、似たような患者層のクリニックが乱立している地域は、無謀だと思います。

診療科によっては、経費負担が大きすぎる

重装開業は、厳しいでしょうね。
高額の機械を自院に置いておかなければならない診療科。
購入時も高いけど、定期メンテナンスも、最新機器への更新もあるので、買って終わりではありません。
リースにしても、最終的に支払う金額は、購入よりも高いです。

元手がふんだんにあり、借金なし、もしくは最小限で開業でき、患者さんが付くまでの数年間の人件費を含む経費を準備できているのなら、安全かもしれません。
(毎月の診療報酬を含めての、数年分と考えてください)
長い間、閑古鳥が鳴き続ける可能性もあるので、準備しておくに越したことはないです。

スタッフが集まらない(特に医療事務)

斜陽の医療業界、人件費の問題もありますが、医療事務が、まず集まりません。

受付に、有資格者の医療事務を、複数人雇おうと思っていませんか?
レセプトも全部任せようと思っていませんか?
医療事務、いませんよ。
仮に、優秀な医療事務が入っても、ずっといてくれるとは限りませんよ。
院長が一通りできないと、締め切りに間に合わないし、返戻だらけになりますよ。
優秀な人員確保は、こちらの努力でどうにかなるものではないので、最悪、全部を自分がやる覚悟で臨んで下さい。

業者から切り捨てられる側になった

以前、医療業の衰退により、クリニックは業者を選ぶ側ではなく、選ばれる側になったと書きました。

今では、銀行も、その流れのようです。
医療業界には希望を見出せないのでしょう。(わかります)

先日、小耳に挟んだのですが、開業意欲もあり準備もしていたのに、最終段階で、銀行に融資を断られたクリニックがあったそうです。
どちらのクリニックなのかは聞いていませんので(聞くのは野暮というもの)、その後、無事に開業されたのかどうかも不明です。
事業計画に無理があったのか、本人とは関係のない何かがあったのか…。
銀行が味方になってくれるとは限らないことも、念頭に置いておいて下さい。

開業させたい側からの、甘い言葉にご注意を

なぜ、彼らは医師に開業させたいのか

現在の状況を、客観的に見ると、
開業規制によって、今後は開業すること自体が難しくなるので、何としても今のうちに!と突き進む人がいると思えば、クリニックをテナントとして入れたいのに、一向に入らない空きテナントなんかも点在する、カオス状態だと感じます。
カイツマの地域だけでしょうか。
クリニック開業の需要と供給のバランスが、おかしい。

なぜ、空いているクリニック用テナントがたくさんあるのか。
なぜ、他職種ではなく、クリニックを入れたいのか。
それは、
クリニックを入れると、儲かる側がいるからです。

一般的に、クリニックを入れると、建物の価値が上がると聞いたことがあります。
例えば、上層階に住居、下層階にクリニックを入れると、賃貸物件としての価値が上がるとか…。本当かどうかはわかりませんが。

ビル内のクリニックが出す処方箋を総取りするために、薬局がクリニックを誘致するパターンもあります。薬局は、処方箋もらえてナンボですから。
クリニックが入る前に、薬局だけが決まっていたり。
大体は、クリニックビルの1階に薬局がありますよね。
1階でなくても、どこかに薬局が入っている。
流れで、処方箋を持ってきてもらえるからです。

ちなみに、クリニックが特別な理由もなく、特定の薬局のみに患者を誘導するのは癒着を疑われるので、絶対にダメです!
誘導されることなく、動線上に薬局があるのが、薬局にとってはベストなのです。

開業支援サイト、コンサル業者は、後がどうなろうと開業させてナンボなので、甘い言葉を囁きつつ、しっかり開業に誘導してきます。

クリニックを開業させたい側は、
「先生なら大丈夫です」「先生は優秀ですから」「先生の人柄がいいから」などと、おだてて、乗せて、その気にさせるでしょう。
でも、そこは冷静に、本当に大丈夫なのか、事業計画に無理はないか、心から信頼できる他者の意見も聞きながら、判断すべきです。

逆に、開業を持ちかけた時に、厳しい意見を言ってくれるコンサルがいたとしたら、信頼できるかもしれません。

★彼らはそれが仕事なので、決して、非難しているわけではありません★
ただ、リップサービスを言葉そのままに受け取らず、客観的に、冷静に判断した方が良いことを、伝えたいだけですので、あしからず★

上記を理解した上で、自分ならできる!という、確固とした自信があれば、開業すれば良いと思います。

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