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映画「ルックバック」を観て
< この取り組みについて >
動画勉強の一環として、
週一本映画を見て、
好きなシーンを3つ挙げる取り組みを始めました。
< 好きなシーン3選 >
・藤野が京本の絵を見てショックを受けるシーン
確かに藤野の画力は京本よりも明らかに劣っていましたが、漫画に必要なのは面白いかどうかであり、絵が上手いかではありません。
私には京本がその辺りを理解していたように思えました。
京本が不登校になった理由には、早い段階で人よりも様々なことに気づくことができてしまっていたことも多分にあるのではないかと思います。
藤野が持つ「漫画力」「継続力」の他、「自分のやりたいことをやれる力」を、藤野が描く漫画を通して感じ、その部分に憧れを頂いていたのだと思います。もしそうでないなら、画力を比較対象の軸に捉え、対抗意識があってもおかしくはないように思えますし、子供ならその傾向は強いように感じます。少なくとも私は藤野タイプで、クラスに自分より絵が上手い子がいると対抗意識を燃やしていました。
なんとなくこのシーンに共感・自分なりの解釈を広げていけたので好きなシーンなのだと思いました。
・藤野キョウとして初めて受賞を知るシーン
この段階まで見ていたら、もう2人の受賞を願っている自分が形成されており、良かったなぁと感情移入ができた部分が大きかったです。
特に私も大学時代、漫画の持ち込みをした経験もあるので、
そういう自分とリンクさせていたのかもしれません。
・京本が自分のファンだったことを藤野が知り、喜びを抑えきれずに帰宅するシーン
喜びを簡単に表現すると「やったー」「手を広げる」などが誰にでも思いつくと思います。俳句とか小説とかもそうだと思うのですが、想像できる姿や心情をどこまで人に解像度高く伝えられるかが、「面白い」という部分に繋がってくるのではないかと私は考えています。
そのため、藤野が京本に持っていた直接出会う以前までの感情と、実際に出会ったときに感じた印象や認められたという喜びを、徐々に受け入れていく感じが上手に描写されているように思えました。こういう熱(エネルギー)を感じるキャラクターが描ける藤本タツキ先生は、やっぱり漫画家として凄いなと思うと同時に、短い時間の中で藤野の性格を上手に伝えられているなぁと思い、好きなシーンに加えました。
< 感想 >
僕は大学生時代、漫画家を目指し、持ち込みなどを行なっていたこともあり、「ルックバック」「バクマン」といった漫画を目指すストーリーにはかなり共感できてしまうところがあります。
そのため、物語がストレートに自分に入ってくるというより、目指していたときに思ったことなど、私の勝手な思想部分まで織り交ぜてしまうところがあるため、少し偏った感想になるかもしれません。
原作は随分前に読んでいたので、ストーリーは知った状態で観ました。
そのため新鮮味はありませんでしたが、今回映画を観て初めて気付いたことがあります。それは「藤野の才能」という部分です。
何を目指すにおいても行動力は必要で、その先にはいかにして人を巻き込んでいけるかという力も必要になってくると思います。(現に今そこを悩んでいる自分がいる)
創作は1人でコツコツやるものと、創作をする側の人間は思ってしまっている部分が多少あると思うのですが、藤野は中学生からすでに人と物作りをしている。しかもしっかり漫画を描き上げている。一年もかかっているのに、しっかりゴールテープを切っている。
そのため漫画で読んだときは、なぜ京本が藤野を「先生」と慕っていたのか、少し疑問に感じていた部分があったのですが、おそらく京本は上記のことを理解していたんだろうなと思いました。だから藤野と漫画を描き続けることができ、その藤野のようになりたいと思ったため、美術大学に進学する夢が持てたんだろうなと思うと、藤野に「漫画力」「継続力」「行動力」があったがゆえに、初めからずっと一緒に漫画を描き続けられる運命ではなかったように感じ、二回目に観た時は切なくなりました。