角川三賞贈賞式で
結構時間が経ってしまったんですが、11月下旬に角川三賞の贈賞式がありました。角川三賞というのはKADOKAWAが主催する3つの文学賞の総称でして、具体的には山田風太郎賞・横溝正史ミステリ&ホラー大賞・小説野生時代新人賞の3つです。私はこのうち、小説野性時代新人賞の出身(受賞時は野性時代フロンティア文学賞)です。
今年は山田風太郎賞の受賞者が蝉谷めぐ実さんだったんですが、野性時代新人賞の出身者として初めての山田風太郎賞受賞者でもありました。蝉谷さんはコロナ禍でのデビューだったので、残念ながらこういうパーティーが開かれず、私も直接お祝いすることができなかったんですけれど、今回は山田風太郎賞の受賞者としてお祝いすることができ、個人的にもとても嬉しかったです。
写真は山田風太郎賞2次会で参加者に配られていたお犬様の饅頭です。なぜこれがお土産なのかと言うと、受賞作『万両役者の扇』の中で、犬饅頭がすごく重要なアイテムとして出てくるからです。本当に面白い作品なので、ぜひ読んでください。
また今回、小説野性時代新人賞では受賞者が2人出ています。過去2年は受賞者なしという結果だったことを踏まえると、同時受賞はすごくおめでたい出来事と言えるのではないでしょうか。当日は受賞者の諏訪さん、関さんにも直接ご挨拶ができました。この2つの受賞作『海賊忍者』と『みずもかえでも』も傑作なので、是非。
非常に賑やかなパーティーだったんですけれど、会う編集者や作家の知り合いから、ほぼ口を揃えて「本出してるね~」と言われまして。そこにはいろんなニュアンスが含まれていると思うんですが。たしかに9月から11月で、文庫化も含めて5冊出しましたんで、自分の中でもすごく本を出していた時期ではあります。
僕が書けるだけ小説を書いているのは、「死ぬ時に後悔したくないから」という理由が大きいです(生活のためというのももちろんありますが)。どういうことかというと、僕には常に書きたいモチーフやテーマがたくさんあって、おそらく死ぬまでに全部書ききることは不可能なんです。けれど、1つでも書き残しがないようにしたいんですよね。死ぬ直前、「あれも書けなかった、これも書けなかった」っていう後悔をしたくない。だからできるだけ書いている、というのが一番の理由だと思っています。
とはいえスタミナの問題もあるし、どこかで区切りをつけなきゃいけないなとは思うんです。ではどれぐらいが適正なのかっていうのは難しい問題なんですけど、今後は何を優先していくのかも含めて検討しなきゃいけないなと、賑やかなパーティーの席で考えていました。