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新刊『夜更けより静かな場所』公式発売日です

今日、10月23日は新刊『夜更けより静かな場所』(幻冬舎)の公式発売日です。

あらすじは以下の通りです。

大学三年生の吉乃は夏休みのある日、伯父が営む古書店を訪れた。「何か、私に合う一冊を」吉乃のリクエストに伯父は、愛と人生を描いた長編海外小説を薦める。あまりの分厚さに気乗りしない吉乃だったが、試しに読み始めると、抱えている「悩み」に通じるものを感じ、ページをめくる手が止まらず、寝食も忘れて物語に没頭する。そして読了後、「誰かにこの想いを語りたい」と、古書店で深夜に開かれた、不思議な読書会に参加するのだった……。

というわけで、読書会をテーマにした連作短編集です。収録されているのは全6編で、各編は読書会の参加者たちが語り手となります。参加者たちは年齢も性別も経歴もバラバラですが、それぞれに生活があり、当然ながら悩みや葛藤もあります。彼ら彼女らが「読書」という行為を通じて、おのおのの生活に向き合い直していく、というのが本書の趣旨になるでしょうか。

毎回のことですが、自分の小説を解説するのはあんまり得意ではありません。要約すると、なんだか伝えたかったことがこぼれ落ちてしまうような感じがして……とはいえ、要約しないと伝わらないですよね。

この小説を書こうと思ったきっかけは、コロナ禍で読書をふくめた娯楽が「不要不急」とされたことなんですね。そうはいっても、本当に読書が不要不急なのか、生活に必須でない行為なのか、ぼくにとっては疑問でした。そうした情勢に加えて、オンラインでの読書会が盛んになっているという背景が加わり、この小説の骨子ができあがっていきました。

本書刊行にあわせてつくらせてもらった色紙にも、「私なりの「読書」へのラブレターです」と書かせてもらいました。サイン本もつくらせてもらったので、一部の書店では店頭に並んでいると思います。

ここまで直球で、真正面から「読書」に向き合って小説を書いたのは初めてで、もしかしたら今後もないかもしれません。素敵な装幀はbookwallさんのお仕事です。また、カバー写真に用いられているオブジェは「穀雨」さんのものです。刊行記念に、穀雨さんからはオブジェ「旅の本屋」の実物をいただいてしまいました。(しかも刊行日の刻印入り)

本を読む方もそうでない方も、手に取っていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

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