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浅倉秋成さんと対談しました

先日、浅倉さんが光文社から 『まず良識をみじん切りにします』という短編集を刊行された記念に、浅倉さんと対談をさせていただきました。

私も昨年末に同社から『暗い引力』という独立短編集を刊行したんですけれども、そこに収録されている短編はいずれも初出が光文社の雑誌『ジャーロ』に掲載されていたものなんですね。私は隔号で短編を書かせてもらったんですが、私の作品が掲載されていないほうの号では、実は浅倉さんの短編が掲載されていたんです。つまり、浅倉岩井浅倉岩井、という形で交互に短編が載っていた時期があったんですね。そして各々、その短編が1冊の本にまとまったということで、そういった縁もあり対談させていただきました。

対談の中でも話しているんですけれど、元々浅倉さんとはたまに飲む機会があって、それなりに知った仲ではありました。ただ、今まではほとんど小説のことを話したことがなくて、だいたい本当にくだらない話で終始していたんですけれども。今回初めて、がっつり浅倉さんの創作論に触れられてすごく楽しかったです。

『まず良識をみじん切りにします』には5つの短編が収録されていて、どれも傑作なんですけれども、僕が一番気に入っているのは「ファーストが裏切った」という小説です。理由について、詳しくは対談を読んでいただきたいんですが……この小説は実在の野球ノンフィクション(例えば『Number』の特集記事)を模した文体で、その技術的なところももちろんすごいんですが、導かれる結論が非常に鮮やかなんですね。もしかすると、なかには説明不足だと思う人もいるかもしれないんですが、僕はこれで十二分に説明が終わっているし、きれいに幕引きがされた小説だなと感じました。年間ベスト級の短編だと思います。

『暗い引力』について浅倉さんから色々と言及してもらったのも嬉しかったですね。同じ小説家の方から感想をいただくことって意外なほど少ないので、同業者としての視点もあって勉強になりました。

浅倉さんも話していますが、今回『ジャーロ』で色々と短編を書かせてもらって、小説の幅みたいなものが広げられたなと思っています。光文社ではこの間、『小説宝石』でも読み切りに1本書かせてもらいまして。そんなに数は多くないかもしれないですけれど、今後も継続的に短編は書いていきたいなと思います。

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