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在宅介護の『介護日誌』をつけませんか
自宅用の「介護日誌」(書き込み式)をオンデマンド印刷で作ってみました。
母の在宅介護の始めから記録はつけていますが、意外に家庭用の記録簿は市販されていません。エクセルで作って印刷し、ファイルしていましたが、だんだん面倒に……。
ついに、「えーい、製本してしまえ!」とDTPして製本屋さんに入稿。以来、版を重ねるごとに改良してきました。
高齢者施設で働いた経験から、一般的に必要そうな記録内容を盛り込んでいます。
バイタルサインや排泄量を記入する欄と、時系列で食事量・水分摂取量・服薬の確認・体調・イベントなどを記入する欄に分けました。介護度が上がって必要な項目が変わっても使えるよう網羅したつもりです。
(詳しく見たい方、最後にリンクを貼っておきます)
記録を始めた目的は、「ちゃんと介護している」確証を見える化しておくこと。続けてみると、他にもいいことがたくさんありました。
体調のパターンがわかるようになる
母の平熱は36.5~6℃。記録を続けるうち、朝それより高いと、午後熱が上がって感染症に発展することがある、とわかりました。
以後、36.7℃以上のときは日中何度か体温測定。早めにかかりつけ医にかかれば、「救急病院へ」と慌てずに済みます。
下剤をどんなタイミングで、どのくらいの量を飲ませればよいかもわかりました。-2日(便の出ない日が2日続く)で、某市販薬を3錠飲ませるのがベスト。
しかも、就寝前だとなかなか効かず、夕食前に飲ませると、翌日朝食後に出るように。そうわかったのも、試行錯誤しながら記録していたおかげです。
すべきことの実施もれを防げる
日誌は1ページが1日分。介護内容を時系列で並べてあり、終わると数値や✓を書き込む仕様です。そのため、「あ、アレ忘れた!」ということが滅多にありません。
口腔ケアとか、ポータブルトイレの処理とか、介護する人は千手観音。細々した内容の実施を、日誌が手順書となり導いてくれます。
特に、服薬ミスは最もあってはならないこと。施設で働いていたときは始末書ものでした。そんな重大ミスの予防にも役立ちます。
「申し送り」として使える
私は兄と共同で介護しています。役割分担していることもありますが、内容によっては、手が空いている方がやることも。日誌を見れば、兄がどこまで実施してくれたかわかります。
留守にした時も、不在中の母の様子を知ることができます。
備忘録になる
通院など「前回はいつ行ったっけ?」と思ったとき、介護日誌で調べることができます。
在宅介護は、かかりつけ医の他にも連れていくところがいっぱい。歯医者・補聴器屋・美容院など、定期的なメンテナンスは、「イベント・外出欄」に記録しておくと便利です。
体調についても、どんな症状の時、どんな対処をし、どんな経緯を経て治ったのか。記録をたどれば、次に同じ症状がでたとき参考になります。
在宅介護の頑張りを見える化できる
どんなに一生懸命介護しても、いつか亡くなったら「もっとしてあげられることがあったのでは」との後悔はやってくる気がします。そんなとき、介護日誌は「こんなに頑張ったじゃないか」と自己満足を支えるものになってくれるはず。
終わってしまったら形の残らない「介護」という大変な勤め。記録を残すことで「やりきった」充実感を少しでも感じられたらいいと思います。
記入例
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水分摂取量は総計しやすいよう欄を色付け
不要な項目は訂正線で消す、外出は丸囲み、訪問系は【】など、記入時に工夫
項目:
【バイタル】血圧、脈拍数、酸素飽和度、体温、体重
【排泄】尿量、排便量、ポータブルトイレ使用状況
【時系列】食事量、水分摂取量、パット等交換、服薬、口腔ケア、体調、イベント(その他、自分で書き足せます)
【その他】起床時間、就寝時間、補聴器電池交換日
何を記録するか
バイタルサインや排泄の記録は、どなたにも役立つと思います。
そのほか必要な記録は、介護度や持病などにより千差万別。しっかり食べているなら食事の記録はいらないし、尿バッグを使っているなら尿量の記入も必要でしょう。
それほど必要でなくても、介護者がこだわっていることは、ぜひ記録項目に含めてください。記録を続けたくなります。
負担にならぬよう最低限の項目を決め、あとは介護者の日記のような形でもOK。ちなみに私はもともとメモ魔。何から何まで記録したい派です。
気分の上がるノートを買って、気軽に始めませんか。項目を書くのが面倒なら、拙作もお分けしていますので、ご検討ください。
日誌をつけることが、介護者の「負担」ではなく、「ささやかな励み」になるよう願っています。
(拙作はこちら。B5判36ページ。安価でお分けしています。複数冊発注の方、カスタマイズの相談承ります)