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自由と束縛
ずっと死んでると聞かされてた母が、生きてる!
と知って、
精神病院に入院してた母に面会に行った時のこと。
30年以上、会ったことの無かった母は、
全く普通の人だった。
「〇〇〇、大きくなったねー」と言ってくれ、
何故覚えてるのか?分からなかった、私の中にずっとあった歌、(みかんの花)?を、私と一緒に歌ってくれた。
なんの違和感もない、ごくごく自然な時間だった。
でも、
面会時間が終わって、
看護婦さんが母を迎えに来て、
母が病棟へ連れて行かれるのを見送った時、
閉鎖病棟?の中に連れられた途端、
重い鉄格子の扉が、
ガッシャンと閉められた。
直後、母は、しゃがみ込んだ。
なんとも言えない光景だった。
あの無情な音、扉、
鮮明に覚えている。
母とは、それっきり。
その後は、葬儀の時、動かない母に会っただけ。
私は、小学1年で、原家族と別れてから、
母と同じように、囚われの身だった、と分かった。
何度も、何度も、脱出を試みるが、
自分から、囚われに行ってしまうパターンを繰り返してた、と気がついた。