見出し画像

傍に。

父、7日に在宅へ切り替えが決定。
そのための医療、介護チームを
組んでもらい、
介護ベッドの搬入なども
随時されることになった。

いつ、急変があるか
わからない現状のなかで
家族の想いを聴き、
最善を尽くしてもらえることに
ただ、感謝する。

父はほとんど眠っているが、
呼びかけに頷く。
お水、という掠れた声を
連日、面会に行く母が
キャッチした。
ストローから吸うチカラは弱く、
ベッドを起こして
吸い飲みでふたくちほど。
嚥下できたことにホッとする。


お医者さんも看護師さんも
状況をいちばん把握されていながら
自宅に帰ることを
それは無理です、と
いちどもおっしゃらなかった。
家族が
気持ちの整理をするための時間は
あるようで、ない。
その事実を
知っておられるからだろうか。
その時間を埋めるように
母と私がそれぞれに
嗚咽するのを
静かに受け止めてくださった。

父の細くなった腕と足を
さすりながら
ポンコツのひとり娘のままで
お父さんの傍に居ようと思った。








いいなと思ったら応援しよう!