広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第15話 老兵の涙! (1)
「よいしょぉっと……」と。
母上さまが独り言を漏らしつつ。
椅子から立ち上がるので。
リムは(……ん? あれ?)と思いつつ。
顔を上げ母上の様子を窺えば。
「ん? エリカどうかしたのか?」と。
椅子から立ち上がった母上を見上げるように見詰めながらパパが。
自身の首を傾げながら問えば。
「陛下~、わらわは。ラフィーネお姉さまが持ってきてくださったお花を花瓶へと受けてきますね」と。
母上が微笑みながら言葉を返すと。
「エリカ陛下様、ここで皆様とお待ちください。私メが行って参りますから」と。
執事長の爺やが、母上へと。
自分がラフィーネ伯母上さまは、桃源郷にある宮殿で手塩に掛けて育てた花を花瓶へと受けてきますからと告げると。
「いいですよ。セバス……。さきほどから貴方は病院の中を行ったりきたりと忙しくされていたから。少しは休憩をとりなさい。いいですか、セバス」と。
母上さまが、自分やお母さまの代わりに。
病院中を行ったり来たりしながら入院手続きや備品、寝間着、タオルなどのレンタルや足りない物の購入。
保険会社に電話を入れてくれたりと。
休みなく動き、働いてくれている爺やに、ゆっくりとくつろぐように。
メ! と諫めるのだが。
それでも爺やは。
「エリカ陛下様、これが私メの仕事ですから」と。
爺やは宮殿の執事長らしく振る舞いながら母上へと、自分がするのだと告げてくる。
だからここは、パパの一番若いお妃であるリムががんばらないといけないかな? と。
リムは瞬時に思い。
「爺やも母上も休んでいてください。ここは一番若いリムが。ラフィーネ伯母上さまが、お父さまのために持ってきた花を花瓶へと受けてきますから」と。
リムは母上と爺やに微笑みながら告げると。
「うふっ、じゃ、リムにお願いしようかしら」と。
リムの母上、エリカ太后陛下さまが、優しくリムへと微笑みながら下知をだすから。
「そうですか、リム姫様が私の代わりに行ってくださるのですか。じゃ、よろしくお願いします」と。
爺やリムへと頭を下げながらよろしくおねがいしますと告げてきた。
「うん、爺や。リムがんばってくるね」と。
リムは爺やに告げると。
「爺やもいつまでも立っていないで座って休んでいてよ」と。
先ほどラフィーネ伯母上さまが購入してきたコーヒーやアンマンも立ったままで素早く食べ。
その後もリム達を見守るように立ったままでいる爺やへとリムは。
椅子に腰かけるようにと労いの言葉をかける。
でも爺やも中々の頑固者と言うか?
自身の仕事。
執事道に誇りを持っている老兵さんだからね。
直ぐに首を縦に振らないとリムは知っているから。
爺やに再度座りなさいと労いの言葉をかけようとすれば。
「ほら、セバスここへと座れ」と。
ライザ伯母上さまが、爺やへと豪快に告げると。
椅子の座るスペースをポンポンと叩きながら爺やを急かし始めるから。