広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第9話 リムは岡山市の上空で困惑…… (2)
第9話 リムは岡山市の上空で困惑…… (2)
「(はぁ、リム! 何を、溜息を漏らしているのだよ。溜息を漏らしたいのは俺だぞ。リム)」と。
一族同士のテレパシーみたいな感じの。
脳内同士の通信の最中だと。
脳内で考えることだけでなく。
自身が口にだしたことも、リンクしている相手に全部悟られてしまうことをリムは忘れ。
大きな溜息をつけば。
直ぐにパパに悟られてこの通りだよ。
プンプンとパパに叱られちゃったよ。
でもね、家のパパ、竜神さまの、リムへのお叱りはね。
これだけで終焉を迎える訳でもなく。
「リム~、帰宅をしたら覚悟をしておけよ。俺自ら、お尻叩きの刑にしてやるからな。自身のお尻が真っ赤になることは覚悟しておけよ)」と。
『フン! フン!』と。
家のパパはドラゴンさまだから、大変に鼻息荒く、リムへと不満を告げてくる。
だからリムはパパに。
(そんなぁ~。パパ~。許してよ。お願いだから。もう二度とパパに逆らうようなことはしません。素直な妃になるからお尻叩きの刑は許してお願い。パパ~)と。
リムは嘆願をしたの。
でもね、家のパパは広島から。
「(いいや、駄目だ。リム。家に帰ったら、御仕置だべぇ~。わかったなぁ~)」と。
ケラケラと意地悪く笑いながら、自身の首を振るの。
だからリムが、(そんなぁ~)と嘆くように呟くと。
「(あんたぁ~、リムはもう子供じゃないのだから。いくらなんでも。お尻叩きの刑は可哀想だよ)」と。
リムの悲しい声音での嘆き声を聴いて。
ライザ伯母上が幼児にするような体罰である。
お尻叩きの刑は可哀想だからやめてやって欲しいと、我が家の主さまへと口添えしてくれた。
「うぅ~ん、やぁ~、駄目だぁっ! ライザ! リムは一族の長、主へと逆らい、楯突いたのだから。それ相応の体罰を受けてもらうつもりだ。もしもライザ。お前も俺に逆らうのならば。リムと同じくライザ、お前もお尻叩きの刑だ!)」と。
姪であるリムのことを庇う。
ライザ伯母上に対してパパは。
これ以上自分の意に背くのならば。
リムだけではなく、ライザ伯母上のお尻も。
お尻叩きの刑にすると言い始めだした。
だからリムはパパへと。
(ちょっとパパやめて! 伯母上には関係のないことだから。お尻を叩くのはリムだけにしてお願い。お願いします)と。
リムは慌ててパパへと嘆願を……。
ライザ伯母上のお尻を叩かないで欲しいと願う。
でもね、リムの嘆願は竜神さまには、聞き入れてもらえそうもないの。
だってリムがライザ伯母上の助命嘆願をしても。
〈バチン! バチン!〉と手荒な音が。
リムの脳内へと直接響くように聞こえてくる。
だからリムも「あう、あう」と。
岡山市の上空で声を漏らすの。
それもリムの可愛いお尻を両手で押さえつつ。
ライザ伯母上、パパにお尻を叩かれているから痛いのだろうなぁ? と。
リムが思っていると。
「(ライザ! これでどうだ! 少しは反省したか?)」と。
パパの大変に荒々しい声が、リムの脳から耳の鼓膜を刺激して聞こえくる。
だからリムはパパへと、もうライザ伯母上のことを叱らないで、お願いだよ。
リムは今後良い娘になるからお願いだよ、と。
リムがパパへと嘆願をしようとすれば。
「(うわぁ~、うわぁ~、ん。あんたぁ~、もううちに酷い事をしないでおくれぇ~。お願いだよぉ~。うちのお尻はあんたに沢山叩かれたから。真っ赤に腫れあがり。大きくなってしまったよぉ~。だからぁ~、あんたぁ~。頼むからぁ~。もう、うちのことを許してぇ~。そしてうちを解放してよぉ~。お願いだからぁ~」と。
ライザ伯母上はパパからDV行為……。
ドメスティック・バイオレンスと言う奴を受け、乙女のように泣き叫びだした。
だからリムは再度パパへと嘆願をするの。
(ごめんなさい。ごめんなさい。もう二度とリムはパパに心配をかけるようなことはしませんから。ライザ伯母上に対して、もう酷い行為をしないでください。おねがいします)とね。
それもリムは、『エンエン』と泣きながらパパへと助命嘆願をした。
「(……じゃ、リム。もう二度と行為的に俺達へと報告を遅らせてみたり。無視をしたりするような悪態行為をして、家族を心配させるような事はしないか?)」と。
パパ、竜神さまがね。
リムの脳内へと訊ねてきたから。
リムは、(うん)と涙をしくしくと流しつつ頷くと。
(もう、二度とリムは家族に心配をかけるようなことはしません。だからパパ、ライザ伯母上に酷いことをしないでください。おねがいします」と。
リムはまたパパへと嘆願をした。
「(よ~し! リム! 今回はかなり反省をしたようだから。うちからのお尻ペンペンの刑も許そう~)」と。
パパからリムへとお許しの言葉……ではなく。
ライザ伯母上から、リムへとお許しの言葉……
そう、今の今まで、パパに自身のお尻を叩かれて、
『痛い。痛いよ。あんた許しておくれよ』と。
パパに許しを乞うていたはずの、ライザ伯母上が、ケラケラと笑い声をだしながら。
リム達竜の姫巫女の主である竜神さまへと。
悪態をついたリムのことを許すと告げてきたから。
(ライザ伯母上、どう言うこと?)
リムは唖然としながらライザ伯母上へと訊ねると。
「(わっ、はははっ)」と。
パパの、竜神さまの高笑いが、リムの脳へ伝わり、耳の奥の鼓膜を刺激するから。
リムの目から竜の涙が落ちるのが止まると。
次はリムの顔が真っ赤に染まっていくのがわかると。
(うぅ、うううっ。パパ~! リムを騙したわねぇ~!)と。
リムの呻りながらの咆哮が吐かれるから。
リムの真下の地面が、震度一ぐらいの地揺れを起こす。
だからリムの真下を歩く人や。
自転車を走らせる人達は慌てて、自身の足を止め──。
天や地面を眺めつつ。
「雨がやめば、今度は地震か?」
「今日は雨が降るとは言っていなかったのに。雨が降ったから通り雨かな?」
「……ん? あれ? スマートフォンの画面を見て確認をしても岡山県に地震速報なんて出ないな?」
「う~ん、今日は本当に可笑しな日だな……」と。
リムの涙を浴びた人達や。
リムの怒声のために地揺れを体感した人々……。
各自各々が自身の首を傾げるけれど。
家の竜神さまと紅蓮の竜妃さま、御二人の高笑いが止まらない限り。
リムの怒りはまだ収まりそうもないので。
その後も、リムの真下では、地震速報のない揺れを人々は体感しつつ。
自身の首を傾げ続けるのだった。
◇◇◇