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広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第11話 【皐月】へと帰宅をしてみれば (2)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門

 第11話 【皐月】へと帰宅をしてみれば (2)

 リムは、自身の首を傾げるの。

 まあ、当たり前のことだけれど。

「あのね、リム?」

 そんな様子のリムに姉上がまた声をかけてくる。

 だからリムは、「うん」と頷くと。

 姉上の麗しい顔は、更に悲痛な表情へと移り変わり。

「お父様が! お父様が倒れたの! そして市民病院へと救急車で運ばれたみたいなの!」と。

 リムが「えっ!」と驚嘆を漏らし。

『姉上~。そんな大事なことは早く言ってよねぇ~。そんなにゆっくりと話すことじゃないでしょう。いい加減にしてよ。姉上~!』と。

 リムが本気で罵声を吐きたくなることを姉上は告げてくる。

 でもリムは、姉上へと荒々しい口調で不満を告げなかったの。

 だって姉上自身がお父さま……。

 そうパパのお父さま。

 リム達竜の姫巫女の義父が倒れ。

 救急車で運ばれたことに関して、動揺が収まらないみたいで。

 いつまで経っても姉上の青ざめた顔色に、赤みが戻らない様子だから。

 今は何を言っても無駄と言うか?

 これ以上姉上が動揺するようなことを言えば。

 姉上はパニック状態へと陥ってしまうと思うから。

 リムは取り敢えず姉上へと。

「リムならば、もういつでもでかけられるよ」と。

 微笑みながら告げ。

 姉上の混乱をしている気持ちを落ち着かせようと試みる。

「そ、そう。じゃ、出かけようかしら?」

 姉上はリムのいつでもでかけられる。

 出発オッケーだよ、の、台詞を聴き。

 少し落ち着いた表情を見せる。

 だからリムもホッ! と安堵するから。

「姉上?」と優しく声をかける。

「ん? 何、リム?」

 すると姉上は、更に落ち着いた表情……。

 自身の青ざめていた顔の方も、赤みが大分戻ってきた状態でリムへと言葉を返してくる。

 だからリムは先ほどよりも更に安心をした顔と様子でね。

「さきほどまで、パパとライザ伯母上が、お店にいたはずなのだけれど。姉上、二人はどうしたの?」

 リムがまた首を傾げ、姉上へと問えば。

「旦那様とライザ伯母様……。そしてお母様や、その他の伯母様達も、執事長のセバスチャンの運転で。もう既に車で、市民病院へと向かわれたわよ。でっ、私は、お母様や伯母様達に。リムを待ってから一緒に病院へと来るようにと指示を受けたから。いままで待っていただけなの」と。

 姉上がリムへと告げてくれた。

 だからリムは「そうなんだ」と姉上へと言葉を返すと。

「じゃ、リムの準備はいつでもオッケーだから姉上。病院へと向かおうか……」と、告げると。

「メルとミル、お店の方はお願いね。もしもリム達が閉店時間までに帰宅ができなければ。お店の方は閉店時間で閉めてくれるかな? おねがい」と。

 リムは宮殿のメイド長であるメルとメイドのミルの二人へと嘆願をした」

「はい。リム様かしこまりました」と。

 メイド長のメルからいつものような、畏まった台詞が返ると。

「リム様、レビィア様。後はわたくしとメイド長のメルさんにお任せください。そして二人は大旦那様の許へと早くいかれてください」と。

 ミルがいつもの調子……。

 大変に明るい声色で。

 自分達二人にお任せくださいと告げてくれた。

 だからリムはメルとミルの二人へと。

「二人ともありがとう。後はまかせるね」と、告げると。

 姉上と二人で慌てて、【皐月】の勝手口ではなく。

 屋敷の方の玄関へと向かう。

 ◇◇◇

(カクヨム)
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