広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第7話 リムも負けません!
「あんた~?」
「何、ライザ?」
「先ほどリムが出前へと行く、行かせないで。二人が揉めていたみたいだけれど。あれならばうちが出前へと行こうか?」と。
ライザ伯母上がね。
自身が焼いた宅配用の広島お好み焼きを。
鉄の大き目なヘラで力強く、半分にカット──。
宅配、お持ち帰り用の丸い発泡スチロールのトレーに入れつつ、パパに訊ねるから。
「う~ん、そうだな」と。
リムや姉上に対して妙に過保護なパパが。
自身の腕を組み、考える人へと変化を始めるから。
『ちょ、ちょっと待ってよ。ライザ伯母上……。頼むからパパが考える人になるようなことは言わないでよね。お願いだから』と。
リムは心の中で、ライザ伯母上へと嘆願……。
『リムだって、ライザ伯母上達と一緒で、パパのお妃の一人なのだから。リムだって偶には、陛下の、お役に立ちたいの。そしてパパの中のリムの株を上げたいの~。だからライザ伯母上は、パパに余計なことはいわないでよね~。おねがいだから~』と。
リムは自身の心中で。
そう、ライザ伯母上には悟られないようにしながら絶叫を上げ──。
パパの様子を窺えば。
〈チラ!〉
〈チラ!〉だよ。
〈チラ、チラ〉
目と目で通じ合う、ではないけれど?
リムと目が合ったパパは。
今度は、ライザ伯母上へと視線を変え──。
「ライザ?」
「何だい、あんた?」
「リムが行く気満々だから。今回はリムに頼む事にするよ」と。
パパがライザ伯母上へと。
何故か、苦笑いを浮かべつつ告げると。
「はいよ。あんた~。わかったよ」と。
ライザ伯母上はパパへと何故か、苦笑いを浮かべ返すと。
今度はリムへと視線を変え。
「リム、気をつけていくんだよ」と。
今度はニコリと優しく微笑みながらリムへと、ライザ伯母上は労いある言葉をくれた。
「はい! ライザ伯母上! お任せあれ!」と。
リムはライザ伯母上へと気合十分なところを見せると。
今度はパパへと視線を変える──。
そう、リムのパパは本当に過保護な王さまだから。
パパのお妃さま、序列最下位のリムのことが未だ心配で仕方がないようだから。
「パパ~、リムのことなら大丈夫だから。そんなに心配をした顔をしなでよ。老け込むのが早くなるから」と。
リムはクスクスと微笑みながらパパへと告げ。
「ほら~、パパ~。おいで~。髪の毛が跳ねているようだから。リムが直してあげる。ほら、ほら」と。
余りにもリムの身体を心配してくれるパパへと。
リムは本来はパパよりも年上……。
そう姉さん女房と言う奴になるのだから心配しないでねと、言わんばかりな態度──振る舞をしながら。
パパの年上お妃さまらしく。
『ヨシヨシ』と、頭を撫でてあげると。
「わっ、はははっ」と。
リムの背──後ろから。
豪快な笑い声が聞こえてくる。
だからリムは、ライザ伯母上へと。
「もう、ライザ伯母上は~。そんなに大きな声で笑わないでください」と不満を漏らせば。
「ああ、悪い。悪かったよ。リム……。あっ、はははっ」と。
ライザ伯母上は、リムへと謝罪をするわりには。
その後も大人ぶったリムを見て高笑いを続けるから。
リムはプンプンと、自身の頬を出発まで膨らませ続ける。
◇◇◇