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広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第4話 リムのお家は、広島お好み焼き【皐月】(2)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門

第4話 リムのお家は、広島お好み焼き【皐月】(2)

「えぇ~、レビィアさんは、もう自身の部屋に戻るの」と。

 お客さまの達の中から、こんな悲しく、切ない声がね、リムの耳に……。

 そう、リム達が住み、暮らしている、広島県を代表する郷土料理の一つである《《広島お好み焼き》》を焼いて、お客さま達へと提供し、食してもらう。

 家のお店、【皐月】の。

 それも常連のお客さまの一人から声が漏れるとね。

「俺レビィアさんが店内にいるのを目にしたから。慌てて【皐月】へと入ってきたのに……」

「ああ、俺もだぁ。俺も……。レビィアさんがお水を運んでいる姿を見たから。今日の夕飯を急遽お好み焼きに変えたのに……」

「俺はレビィアさんがテイクアウトとコーナーに立って、たこ焼きを焼いているのを見たから慌てて……」と。

 リムの姉上……。

 そう、このお尻デッカチのプリプルしているJK少女ではなくてね。(笑)

 漆黒の髪色、紅玉の瞳を持つ。

 とても17歳のJK少女には見えない妖艶かつ麗しい美少女である。

 リムの姉上の容姿を。

 自身の顔を緩め、目尻を下げ、鼻の下を伸ばし。

『えっ、へへへっ』、『デレデレ』と。

 ストーカーの如く見て堪能したいと。

 姉上ファンの常連のお客さま達から声が多々あがりだしたから。

 リムも困ったな、と思っていると。

「お前らなぁ~」と。

 リム達竜姫の主であるパパの顔が一瞬で怪訝な表情へと移り変わり、呻るように声を漏らし始めるから。

 パパの真横立つ母上が、慌ててお好み焼きを焼く時に使用をするステンレスの鉄ヘラを熱い。

 そう、作業用の大きな鉄板の上に置き、自身の両耳を指先で押さえ始めるから。

 リムも、姉上も慌てて、自身の両耳を押さえ始めるの。

 そうしないと大変なことになるからね、と。

 リムはみなさんへと説明をしながら、自身の両耳の穴を指先押さえると。

「何がぁあああっ! 他人の物が見たいだとぉおおおっ! いい加減にしろぉおおおっ! レビィアは俺の物だぁあああっ!」と。

 家の大黒柱のパパこと、竜神さま海斗はね。

 今にも自身の口からブレスを吐き! 放ち!

 そうな、勢いで、常連のお客さま達へと。

 他人の大事な物を卑猥、いやらしい目で見るなと吠え。

 本当に咆哮を放つから。

 リム達のお店【皐月】にいるお客さま達は一斉に。

 自身の耳が「キィーン!」さよ。

〈キィーン!〉と耳鳴りが鳴る。

 鳴り続けるから。

「マスタ~が、また大きな罵声を吐くから、耳鳴りが止まらないよ~」と。

 常連のお客さまの一人がね。

 リム達のパパへと嘆くように呟くと。

「もう、本当だよ。マスター……。大きな声を出しすぎ」

「ああ、儂の耳も駄目だ、こりゃ、使い物にならん」

「僕の耳だって駄目だね……。耳の中がキィーン! キィーン! 言っているよ」と。

 常連のお客さま達がね。

 リムのパパの咆哮……。

 そう竜の雄叫び! 一喝! と言う奴を受けたから。

 自分達の耳の聴きが悪くなったと不満を漏らすの。

 まあ、お客さま達。

 自分自身の耳が聞こえなくなったと言うわりには。

 自身の周りの人達と顔を見合わせながら。

『ねぇ』、『ねぇ~』と頷きあっているから。

 本当にお客さま達の耳は聞こえなくなっちゃったの?

 リムはお客さま達に聴きたい。

 訊ねたい。

 衝動に駆られるのだけれど。

 お客さまは神さま達よりも偉大で、大事なお得意さまだから。

 家のパパが悪いとは思うのだけれど。

 家のパパは竜神さまだと言っても。

 このようにまだ幼子のような殿方だからね。

「陛下~」

「国王さま~」

わたくし達の耳もキィーン! キィーン! します」

「うぅ、うううっ。陛下~。耳が、耳が痛くて仕方がないです~」と。

 地上と空の狭間にある桃源郷……。

 その中の妖怪達が住む世界……。

 パパの代理で母上が太后陛下として伯母上さま達と収め、政をしているのだけれど。

 その国で母上や伯母上さま達の政務を手伝っている高級官僚の文官のおじさま達は。

 人間の人達よりも耳がいいから。

 国王陛下のパパに。

 急に大きな声を出さないで欲しいと。

 おじさま達は涙目でパパに訴えるのだが。

 我が家の主竜神さまは、一度へそを曲げると、中々『うん』と頷いてくれない頑固者だから。

「煩い! 煩い! 皆煩い!」と。

 家のパパはお客さまや重臣のおじさま達の、自分への不満に対して逆切れなの。

 それもいつの如き振る舞いで。

 子供のようにプンプンと不満を漏らすの。

 だからリムや母上、姉上も、本当に困ってしまう。

 でもね、我が家の竜神さまの御怒りは、これだけでは収まらないのよ。

 リム達と比べてもパパは未だ幼いドラゴンだからね。

 本当に子供みたいに暴れん坊さんなの。

 だからリムのパパは更に自身の口を開いてね。

「お前らが俺のレビィアをいやらしい目で見詰めながら。邪な妄想を抱きつつ。自身の鼻の下を伸ばしながらレビィアの尻ばかりを追っかけるからいけないんだろうが」と。

 家のパパはよくこんな感じ……。

 リム達、竜の姫巫女達の件……。

 俺の女房のことを拝む、奉るのならばよいが。

 俺の大事な女房達を邪な目、いやらしい目で見るなと。

 小さな子供のように罵声を吐きながら口論、口喧嘩を始めるから。

 本当に困ったものでね。

 母上もパパの横に立ちながら。

「あらら」と困った声音を漏らすぐらいなの。

 う~ん、でもね?

 当の本人……。

 そう、自身のお尻を殿方を誘うようにフリフリと妖艶にモンローウォークをするものだから。

 お客さま達……。

 殿方さまたちが、自身の顔を緩め、目尻を下げ、鼻の下を伸ばし。

『でっ、へへへっ』と。

 姉上のことをいやらしく目で追うから。

 パパが!

 龍神さまが!

 自身のお口からブレスを吐き、放ちそうなぐらい。

 御怒りにさせる原因を作った張本人さまは。

『いや~ん、旦那さま~。私のことで。そんなにも他人に対して御怒りになってくれるなんて。レビィアは歓喜! 感無量です!』とでも言いたい顔──。

 そう、リムの姉上さまは。

 乙女のように自身の顔を桜色に染めつつ。

 自身の頬へと華奢な両手を当てながら。

 パパがお客さま達と言い争いをしている様子を。

 リムの姉上は、自身の紅玉の瞳を艶やかに潤わせ、うっとりとしながら見詰めているだけ。

 だからリムは、(こりゃ、だめだぁ)と、自身の脳裏で呟き。

「はぁ~」と大きな嘆息を漏らしつつ、呆れると。

「パパもお客さま達も気がすんだかな?」と訊ねる。

「ん? 何が?」

「ん? 何だい、リムちゃん?」

「どうかしたのかい、リムちゃん?」

「気が済むって、何の事かな、リムちゃん?」と。

 リムのパパやお客さま達が。

 リムの問いかけに対して、自身の首を傾げながら問いかけてくる。

 でもリムは、そんな言葉に対して、素知らぬ振りをしつつ。

「母上~」

 パパの横で愛かわず。

『あらあら、どうしましょうかね?』とでも言いたい顔で微笑みながら。

 パパやお客さま達の様子を窺っている母上へと声をかける。

「……ん? なにかしら、リム?」

 リムの母上はいつもの調子、振る舞い。

 そして、あの独特な口調……。

 そう、異性……。

 世の殿方さま達の脳を蕩けさせ、虜にするような緩く、淡く、甘い口調……声のトーンで。

 リムへと言葉を返してきた。

 だからリムは母上へと微笑みかけながら。

「母上、そろそろお願いします」と言葉を返す。

「……ん? ああ~、わかりましたリム~。じゃ、いつものように、わらわがいきますね~」

 母上がリムへと微笑みながら告げると。

「陛下~、よろしいですね~?」

 母上が自身の真横で、相変わらず不機嫌極まりない顔──。

 怪訝な表情で『ぐる、るるる』と唸るパパへと。

『よろしいですか?』と訊ねると。

 我が家の我儘、暴れん坊の竜神さまは母上へと。

「好きにしろ」と告げ。

 プイ! と幼子のようにそっぽ向くから。

「ふっ、ふふふっ、陛下~。わらわの好きなようにさせてもらいますね~」と。

 母上が妖艶に微笑を浮かべながらパパへと言葉を返すものだから。

「えっ、何々、エリカさん?」

「エリカさん、どうかしたの?」

「エリカさん、今から一体何をするのかな?」と。

 今まで家のパパと姉上の件で言い争いをしていた常連のお客さま達は。

 リムの母上がパパに対して余りにも妖艶……。

 そして意味深に微笑みかけ、問うものだから。

 パパと言い争いをするどころではなくなり。

 彼らは鼻息荒く。

『フンガ! フンガ!』と母上に訊ねるものだから。

(カクヨム)
(11)

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