広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第6話 紅蓮の戦妃様
第6話 紅蓮の戦妃様
「さぁ~て、作るかね」と。
リムの伯母上さま、ライザ閣下は呟くと。
彼女は直ぐに、自身の斜め後ろの移動台の上に置いてあるボールを掴み。
中に入っているお玉を使用して──。
ボールの中にあるメリケン粉を水とおだしとね。
調味料とで味付けながら溶かした我が家……。
そう、我が一族の筆頭奥方である豊穣と美の竜姫さま、エリカ太后陛下こと。
リムの母上さまが。
『美味しくなぁ~れ。美味しくなぁ~れ。もっと美味しくなぁ~れ』
『ウッフン』と真心込めて調合した魔法のレシピ、味付けで調合されたメリケン粉の液を。
〈トン!〉
〈トン!〉と。
ライザ伯母上は心地よい音を出しながら熱い鉄板の上に二つ落とすと──。
素早く、手際よく。
魔法のメリケン粉の液の二つ玉を平らに……。
そう、クレープの薄皮みたいに広げれば。
今度はお玉をボールに戻し、台の上に戻すと。
台の上に置かれた調味料──。
塩、コショウ、ガーリックに魚粉と、を素早く。
クレープ状になった魔法のメリケン粉の、二つの薄皮の上に振りかけていく。
でっ、終われば今度は、ライザ伯母上はね。
隙間の多くあいている、大きなボールに入っている千切りキャベツを。
大きなボールごと掴み──自身の方へと持ってくると。
熱い鉄板の上に置かれた。
二枚の薄皮生地の上にキャベツの千切りを小山のように……じゃなくて。
西日本は鳥取県──。
西の富士だと世に称えられている。
リム達竜の姫巫女達も、パパにドライブで連れていってもらったこと、のある。
霊山、《《大山》》のように、大きく盛りながら二つの山を……。
そう、広島お好み焼きの特徴である。
この大変にボリューム感たっぷりのキャベツの千切りの大山を作ると──。
今度はライザ伯母上はね。
キャベツの千切り大山の上にもやし、青ネギ、天かす、紅ショウガを素早く。
でもリズムよく乗っけると──。
豚バラの薄切りを丁寧に……。
でも素早く、リズムよく。
本当に馴れた手つきで数枚キャベツの大山の上に乗せれば。
その後はまたね、先ほどと一緒だよ。
塩、コショウ、ガーリックに魚粉と、を素早く。
〈サッサ〉と振りかけ。
その後はまたライザ伯母上は、自身の横にある移動用のコロがついた台の上に置いてある。
メリケン粉を溶かした液体の入ったボールを彼女は持ち、握ると。
自身の方へと移動させ。
ライザ伯母上は、自身の利き腕で、ボールの中に浸かっているお玉で。
メリケン粉の駅を掬うと。
〈タラリ~〉
〈タラリ~〉とね。
千切りキャベツの、二つの大山の、山の頂上に。
国道9号線から見える冬の大山の雪化粧のように。
メリケン粉の駅を垂らすと。
慌てて、自身の利き腕で持つお玉をね。
ボールの中へと戻せば。
今度はボールを台の上へと戻し。
そして終えれば。
今度は、ライザ伯母上は、そば麺が一玉ずつ丁寧に並べてある餅箱から。
そば麺を一玉、二玉、三玉と。
熱くなっている作業用の鉄板の上に載せると。
伯母上の場合は、食用油が入った容器で。
そば麺へと。
〈チュ~!〉だ。
〈チュ~!〉とかけると。
その後ライザ伯母上は、冷水の入ったポットを麺へと向け、落とすから。
〈ジュー!〉
〈ジュー! ジュー!〉と。
熱くなっている鉄板から良い音が鳴ると。
ライザ伯母上は冷水の入ったポットカウンターへとまた戻し。
自身の手許にある。
鉄板焼き用の大きなヘラを両手で握ると空中──!
天井へと向けて鉄ヘラを放り投げる。
そう、まるで二刀短剣を空中へと放り投げるようにね。
だからリムやパパ……。
カウンターに座る、ライザ伯母上目当ての常連のお客さま……だけではないよね。
そう、只今皐月の店内にいるお客さま達みなが。
ライザ伯母上が放り投げた鉄ヘラ──。
そう、天上へと向け、熱い視線を送る。
まあ、送ればね。
空中へと放り投げられた鉄ヘラは、自然と落下──。
〈ヒュ~!〉と。
勢い良く落下をするのだけれど。
ライザ伯母上は、二つの鉄ヘラが自身の腕の位置まで落下をすれば。
自身の両腕、掌を使用して──。
勢いよく落下をする鉄ヘラを。
〈シャキン!〉と掴み、握るの。
それも逆方向の物を掴んで魅せるから。
「おぉおおおっ!」と。
皐月の店内は歓喜──!
歓声──!
「パチ、パチ」と拍手の音が鳴り響きだせば。
「流石、ライザ様!-! お見事ー!」
「本当に素晴らしい!」
「いつ見ても凄いなー!」
「惚れ惚れしちゃう」と。
皐月での、テレビ撮影の時でも大変に話題になった。
ライザ伯母上が、二刀剣や二刀短剣の要領で。
二つの鉄ヘラを素早く、リズムよく使用しながら、《《広島お好み焼き》》を焼く様子を魅せる!
そう、広島お好み焼きの醍醐味は、食べるのもそうなのだが。
お店の店主さんや女将さんが、ボリューム感たっぷりの。
広島お好み焼きを焼く。
焼き上げる様子をお客さま達への食欲そそるように魅せながら焼くのを見るのが。
リムは一番の醍醐味だと思うの。
だからライザ伯母上の、サーカスのような演技を魅せながら。
広島お好み焼きを焼く、姿が見たいからと。
ライザ伯母上が女将として皐月の店内に立つ日を狙って見にこられる。
常連のお客さまも多いいのよ。
だからライザ伯母上の演技を見てお客さま達は絶賛! 拍手! 歓喜! 喝采! を上げるのだ。
だからライザ伯母上は。
「ありがとう!」、
「ありがとう!」、
「皆、サンキュー! サンキュー!」と。
お客さま達へとお礼を告げつつ。
三っのそば麺を痛め、蒸し焼きにする。
でっ、終われば。
ライザ伯母上はね。
蒸し焼きにしたそば麺を二つの千切りキャベツの大山の上に。
そば麺のシングル、ダブルと、を振り分け、載せると。
今度は大きなボールの中に沢山ある。
この世界の鳥。
鶏の卵を作業用の鉄板の角に。
〈コン、コン〉と当てて──。
〈ピリ、ピリ〉と。
卵の殻に亀裂が入れば。
ライザ伯母上のしなやかな手で、器用よく片手でね。
〈パリッ〉と。
心地良い音を出しながら割ると。
熱くなっている鉄板の上に卵の中身を落とすと。
卵の殻を近くに置いてある。
卵の殻を捨てるための大きなボールへとライザ伯母上は。
〈ヒョイ!〉と。
卵の殻を投げ込み──終えれば。
また鉄板焼き用の大きな鉄ヘラを両手で持ち、握れば。
千切りキャベツの大山の底へと。
両端、左右から、鉄ヘラを底へと入れ込み、持ち上げると──。
横で半熟仕様で焼けている卵の上へと。
千切りキャベツの大山をひっくり返すように載せる。
でっ、載せ終えれば。
〈ポン! ポン!〉と。
鉄ヘラを使用して、片手でリズムよく叩き。
その後は鉄ヘラ二つを使用して──。
〈ギュッ! ギュッ!〉と押さえ。
千切りキャベツの水分を少し蒸発させると。
また二つの鉄ヘラを使用し、出来上がりかけている。
広島お好み焼きの底へと──。
先ほどと一緒で、左右から鉄ヘラ二つを底へと入れ──くるりとひっくり返すと。
鉄ヘラ二つを鉄板の上へと置き。
広島御自慢のお好み焼きソースが入ったステンレス製の入れ物を。
ライザ伯母上は左手で掴み、握ると。
中にある刷毛で、お好み焼きの表面──。
ふわふわ、卵の上へと。
自身の右手を使用しながらリズムよく。
広島お好み焼きの表面、お顔へと。
お好みソースがついた刷毛で、お化粧を入れていくの。
「ふん、ふふん。ふん、ふん」と。
ライザ伯母上は、鼻歌交じりで、リズムよく。
広島お好み焼きの表面へとお好みソースでお化粧を入れ終えると。
その後は塩、胡椒、ガーリックに魚粉……。
そして最後に青のりをパラパラとかけると。
「できたよ。あんた~。それとリム」と。
なんかパパとは違い。
ライザ伯母上は、リムの名前は獲ってつけたような、言い方だな? と。
リムは思うのだが
ここは我慢と言うか?
気にしても仕方がないから。
「ライザ伯母上、トレーを二つ用意をするね」と、
リムが告げると。
「あいよ~!」と。
ライザ伯母上から威勢のよい声があがるから。
リムは自身の脳裏で。
(ここはお寿司屋さんではなくてお好み焼き屋なのだけれど)と。
リムは思いつつ。
慌ててお持ち帰り用のトレーを用意するのだった。
◇◇◇
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