「時間は逆行する」~マクスウェルの悪魔~
皆さん、「マクスウェルの悪魔」という話をご存知でしょうか?
これは一種のパラドックスで、時間の逆行や、永久機関の存在を証明する考えです。
まず、時間というものについて考えていきましょう。
私たちは、時間は過去から未来へ流れていくと考えていますよね。
ところが、量子力学の分野においては、時間の逆行というものが実証されているのです。
そこで語られるのが、今回ご紹介する「マクスウェルの悪魔」です。
まず、最初に「エントロピー増大の法則」についてお話していきましょう。
「エントロピー」というのは、物事の無秩序な状態や、物事の乱雑さを表す概念です。
コーヒーと牛乳を別々の容器に用意します。
これはコーヒーと牛乳が、それぞれに秩序のある状態なので、「エントロピーの低い状態」と言えます。
次に、コーヒーと牛乳を混ぜます。
すると、双方が混ざり合って、無秩序な状態になるので、これを「エントロピーの高い状態」と言います。
「エントロピー増大の法則」とは、時間が経つにつれて、エントロピーは必ず増大するという法則で、これは時間が逆戻りしない、ということの証拠となっています。
これにより、必ず時間は過去から未来へと流れる、と言われているのです。
この概念を破壊したのが、「マクスウェルの悪魔」なのです。
二つの部屋がある容器を想像してください。
この中には、粒子が運動しながら存在しています。
粒子は運動速度が速いほど、熱量が高く、逆に運動速度が遅いほど、熱量は低くなります。
つまり、速い粒子は熱く、遅い粒子は冷たい、ということになります。
さて、二つの部屋の真ん中に仕切りと扉を設けて、そこにマクスウェルの悪魔を配置します。
ここで、マクスウェルの悪魔が、速い粒子を右の部屋に通すようにして、遅い粒子を左の部屋に通すようにすると、どうなるでしょう?
それを繰り返すと、やがて右の部屋には速い粒子だけとなり、左の部屋には遅い粒子だけとなります。
これはどうでしょう?
「エントロピーの低い状態」ですよね?
つまり、時間が経過したにもかかわらず、エントロピーが減少してしまったという訳です。
これにより、「時間の逆行」が証明されました。
時間は未来から過去へ流れることもあるのです。
どうでしょう?
私たちが普段、常識や普通と思っていることなど、簡単に覆されてしまうということがわかりますよね。
私たちは、普段当たり前と思っている常識や普通について、今一度考えてみる必要があるのかもしれませんね。