【短編小説】K地区にて④|交差点
その交差点はありきたりで、どこにでもある交差点だ。
俺が通ることはもう二度とないだろうが。
田んぼに囲まれた大規模農道をつなぐ見通しのいい十字路交差点は、正規の配達コースではなかったが、近道としてたまに俺も通っていた。
交通量は少なめで走りやすいし、夏は風がとても気持ちよかった。
信号待ちをしていると、よくカエルやカマキリなんかがぺしゃんこに潰れていた。
この仕事は一分のロスでも惜しい。ショートカットできる便利なこの道を通る回数は段々と増えていった。
信号待ちをしていると