高知県の須崎までスーパーカブでカツオのたたきを食べに行った時の話(前半)
一週間前に風呂に入りに今治まで行ったのに、懲りずにまたすぐに旅に出ることになってしまった。詳細については前の記事をどうぞ。
ちなみに5月の中旬です。カツオのたたきは後半で出てきます(タイトル詐欺?)
旅に出ると、ついつい外食が多くなってしまい食費がかさむので普段は自重している…のだが。
今年はどうやら梅雨入りが早いらしい。
それに加えて、大学の授業とアルバイトの兼ね合いもあり、下手をすると最低でもひと月、最悪梅雨明けまでまともな旅ができない可能性もある。
スーパーカブでの旅はもはやある種の精神安定剤となりつつある。
あまりにも旅ができない期間が長いと、精神崩壊しかねない…というのはさすがに冗談だが。
「学生のうちに行けるところにはどんどん行こう」というモットーに従ってまた旅をすることにした。
予定としては、二日間休みが取れたので広島県から高知県まで往復するつもりでいる。以前同じような旅をしたことがあるので、距離感はなんとなくわかっていた。
Twitterで時折話題になる多田水産さんの藁焼きカツオのたたきを食べて、ついでにキャンプもしてみようと思っている。
意気揚々と出発したはいいものの、天気はあいにくの曇りだ。
こちらは晴天の生口島。
曇天のメランコリックな感じも嫌いではないが、しまなみ海道の真髄はやはり晴れの日にあると思う。
しまなみ海道は先週も通ったので今回はサッと軽く流した。天気予報によると四国へ渡るころには晴れ間がのぞき始めるらしい。
そういえば雨のしまなみ海道は初めて通る。
心なしかいつもよりも静かで、先週あんなにたくさんいた自転車乗りたちは全く見かけなかった。
たまにパラパラと雨に降られながらも、いつものようにカブを走らせていたらいつの間にか今治に着いていた。
本当に何処にも寄らずにただ走っていたらあっという間に今治に着いてしまった。
先週と違い「じっくり楽しもう」というつもりがないとこんなにあっさりしているのかと少し驚いた。同じ場所でも、天候や気分によって訪れた感想が変わるのが面白い。
半ば衝動的な出発だったためまだ朝食をとっていなかった。今日はファミチキと冷蔵庫の中で眠っていた米の塊だ。
味付けも何もしていない米の塊は、本当にただの養分でしかないのだが、ファミチキをおかずにすることでなかなか満足することができた。
ファミチキ万歳。
カブにまたがって白飯とファミチキを貪っていたら、工場から出てきたおっさんに不思議なものを見るような目で見られた。私にも人並みの羞恥心はあるのでササっと食べて早々に出発した。
次に、ホームセンターに寄った。記事にはしていないが、実は今年の三月ごろに一度見附島でキャンプをしており、その際にペグが歪んでしまったため代替品を探さなければならない。
あの時は風が強すぎてテントが吹き飛ばされたりして大変だった。
隣にテントを張っていたベテランっぽいおじいさんが風の弱い場所を教えてくれ、さらに飛ばないようにガチ仕様のハンマーで地中深くまでペグを差し込んでくれたのだ。ペグは歪んだが、お陰で一晩心安らかに眠れたので感謝している。
初めて来るホームセンターだが、なかなか広くていい感じの店内だった。
ほかの棚も覗いてみたくなったが、ここはこらえてレジへ向かう。
ホームセンターを出たあたりではっきりと晴れ間が見え始めた。やはり晴れると気分が良い。
今治の町外れの道を走る。朝の通勤ラッシュに巻き込まれないか少し心配だったが、さほど混み合うことも無く進むことができた。
愛媛県の、今治近郊には麦畑が所々にあった。広島県では麦畑をあまり見かけないものだから、「日本らしくない風景だな」と思った。
なんとなくドイツとかヨーロッパの、日本よりも寒くて冬が長い国みたいだ。
麦の収穫時期は初夏だが、米の印象が強過ぎて初夏に収穫を迎える穀物のイメージが薄いこともあるのかもしれない。
麦畑と聞くと、どことなく「狼と香辛料」を連想する。そういえばあれも旅をする物語だった。
帰ったら久しぶりに読んでみようかな。
そして、麦畑をぬけて192号線に入る。以前訪れた時はかるく路肩に積雪していて冬の装いだったが、今は青々と木々が繁る山の風景が広がっていて季節の移り変わりを感じた。
寒風山トンネルは5キロもあるトンネルで、スーパーカブ50の場合は10分以上真っ暗闇の中を走ることになる。外は暑いくらいだったが、中に入ると冷たい風が吹き付けてきた。
冬に訪れた時はトンネルの中は逆に暖かかったので、変な感覚だ。外気と隔離されているトンネル内は年間を通して気温の変化が乏しいのだろう。
トンネル内が異世界に通じている、と怪談で言われたりするが、トンネルの中が既に異世界なのではないかという気さえしてくる。
外の気候に合わせて薄着でトンネルに突入してしまったため、段々と体温が奪われてゆき後半2キロはひたすら「早く終われ早く終われ」と考えていた。
トンネル出口の光を追いかけるようにして外に飛び出すと、ムワッとした熱気とともに眩しい光が視界に飛び込んできた。茂る木々の緑すら光を反射していて眩しい。眩しすぎる。
目を守るためサングラスをかけた。幾分かマシになったが、5月中旬でこれだと夏はどうなるのか心配だ。
しばらく進むと、道の駅の看板が見えてきた。ハイペースで進んできたおかげで時間にはまだ余裕があるので、少し寄ってみることにした。
道の駅は平日にもかかわらず、人がたくさんいて活気にあふれていた。ここ木の香は温泉の名所でもあり、宿泊することもできるらしい。
温泉に少し惹かれたが、さすがにそこまでの時間は無いので自重することにする。
雉料理を前面に押し出したレストランが併設されていた。こういう道の駅系のレストランはご当地のグルメが安く食べられることが多くかなり好きだ。また、地方にたまにある常連さんの圧が強いお店とは違って観光客歓迎!と言った感じで軽く入店できるのもいい。また機会があったら雉の味を知るために訪れてみようと思う。
面白いものがないかと建物をうろついていたら、おおよそ日本とは思えない張り紙を見つけた。
日本でここまでコンビニが少ない道路は中々ないのではないだろうか。こうして実際に数字で見ると凄まじい。
愛媛県側のファミマから高知県側のファミマまで実に53キロもの区間、全くコンビニがないのだ。
コンビニ不毛の道路である。探せばもっとコンビニが無い道もありそうだが、私は旅初心者なのであまりの秘境っぷりに少しおののいた。
川沿いにはあまり人がおらず、風景も相まってとても落ち着く雰囲気だった。
日差しが少しきついが、標高のおかげかそこまで気温は高くない。
道の駅の前の川では、マスを放流しているらしく祝日のみ釣りが楽しめるということだった。
残念ながら平日なのでお預けだ。というか休日はアルバイトがあるので学生でいるうちはここで釣りをするのは無理かもしれない、と少し悲しくなった。
川を覗いていると、2、3匹魚が泳いでいるのが見えた。水が透明で見通しやすいのだがさすがに上流に生息している川魚は隠れるのが上手い。
すぐに見失ってしまった。
日差しが思ったよりきついので、日焼け止めを塗り直してから出発した。あとは山を下るだけだ。
スピードが出過ぎないように適度にエンジンブレーキをかけながら進んでいく。
途中で、192号線(桂浜方面)から右の方の道に逸れて須崎方面に向かった。途中までは綺麗な道路が続いていて走りやすかったが、192号の本線とは異なり、やたらと狭い区間がいくつかあって怖かった。
そういう区間に限って崖に張り出しており、さらに後ろの車が詰めてくるので狭い道が得意なカブでもかなり神経を遣った。
追い越しに難儀しつつ仁淀川沿いを下っていくと、段々と田園風景が見えるようになってきた。
本州の海沿いの田舎は、近年はコンビニやチェーン店が少しはあるものなのだが、ここら辺は田んぼや民家はあってもそういうお店が一切見当たらないため、よりいっそう田舎感を強く感じた。
ここの人達はどんな生活をしているのだろうと気になる。1週間ほど滞在してみたいという気持ちが浮かんできた。山で虫取りをしたり、川で軽く釣りをしてみたり、花火をしてみたり…。
ああ、私の夏休みはもう戻ってこないのだろうか。戻らないからこそ尊いものもあるのかもしれない。そう自分に言い聞かせる。
そうして山と田んぼが入り交じる風景を走っていくと、いきなり目の前に港が現れた。
なんとなく鉄腕DASHの無人島の船着き場に似ている。
深緑の山が静かな内湾のギリギリまで迫っており、砂浜のような緩衝地帯がほとんどなかった。
山と海が直接繋がっているような風景だ。
トンネルを抜けると、道の駅が見えてきた。ここが今回の旅の目的地、道の駅すさきだ。
今回の記事はここまでにする。少し長くなってしまいそうなのでここで区切ろうと思う。
次は多田水産さんのカツオを食べ、桂浜でキャンプをしたことについて書こうと思う。まともなキャンプは私史上2回目、全くの初心者なので見ていて突っ込みたくなることもたくさんあるだろうが、そんなところも楽しんで貰えたら嬉しいな…と思っている。