58人の子供たちの前で笑いをとれ!
放課後子供教室の仕事を始めて一か月、
「それじゃあ次回は、前に出て子供たちに説明してみますか?」
と言われ
「え、いいんですか!?」
思わず声が上ずってしまいました。
つい2か月前までは学童保育で働いていて、そこでは40人の子供を前に声を発するなんて夢のまた夢。それどころか、10人の前で「いただきます」さえ言わせてもらえず、ずっと不満を感じていました。
それをいきなり58人を前に「説明していい」と言われて、
うそ、こんなにあっさり叶っちゃう!?
さっそくドキドキしながらリビングで予行演習。
子供達を想定しながら声を出し、ゆっくり話す練習をして。
狭い部屋の中で紙コップのブーメランを飛ばしまくり。
ほんとに、どういうシステムなのかはわかりませんが不思議です。
職を変えるたびに、やりたかったことが実現するというか。
前の職場で叶ったことは、
・ずっとやりたかったパソコンを使った「お便りづくり」ができたこと
・コロナのステイホームで夢中になったプラバンを作る機会があったこと
買いすぎた材料も役に立ったし、自前のトースターを持ち込み楽しくやりました。
それを見た現場責任者が「短時間パートが好き勝手やる」と上に報告していたそうで、そういうネガティブとはさらりとおさらば。
職をかえたら、さっそく「子供たちに指導すること」が実現しそうです。
特に強く願ったわけでもなく、記憶の底の方でやれたらいいなあ、くらいに思っていただけなんですが、そのくらいの方が形になるのでしょうか?
加えて今の職場は地域が違うので、子供たちのカラーも違います。
地元が多いせいか、みんな素直でおだやか。
ボランティアのお年寄りも、ふだんから小学校で草むしりをしたり通学路に立っているので顔見知り。
不機嫌だったり、怒りをぶつけてくる子もなく、話しかければ当たり前に答えてくれます。
やっぱり、このくらいの距離感がいいなあ~
そしていよいよ当日になり。
先輩講師のアドバイスを聞きながら、体育館に集まった子供たちの前に立ちました。
「みなさん、こんにちは!今日は紙コップブーメランを作って遊びます」
学童も含め58人の子供たちが、声を発することもなく静かに注目しています。
おおっ、すごい。
なんていい子たちなんだ!
ちゃんと話をきいてもらえるなんて嬉しすぎるっ
そのままスムーズに説明も終わり、次はいよいよコップ飛ばしの実演です。
紙コップにゴムをかけて勢いよく引っ張り「えいっ」と飛ばしたはいいけれど、ブーメランのように戻ってくるはずが、
「ちょっと待って~」
とんでもない方向に飛んでいく紙コップにドッと笑いがおきました。
キャッチした男の子がニコニコしながら渡してくれて、
「ありがとう」
慌ててとりつくろいながら、
「難しいから、いっぱい練習してね」
こんな触れ合いもいつまで続けられることやら。
かつては負担に感じていたことが今や貴重な時間です。
大人とは上手に付き合えないけど子供の中には溶け込める私。
くたくたになるまで彼らと一緒に紙コップをとばしまくったのでした。