freeeの自動登録ルールとプログラミング教育の未来
AIが自分の仕事を奪うと考えるのか、自分の仕事が変わると考えるのか。僕は「考え方」が重要だと考えている。
先日ツイートしたのだけれど、freeeの「自動登録ルール」は今まで手入力で仕訳を入れていた経理さんに最初話したとき、すこぶる評判が悪い。
僕はfreeeを勧める理由は、この自動登録ルールがあるからというのが一番だ。
最初は僕も「何だこれ」と思っていたけれど、一人入力担当者が入ってきたと考えたらいいなと思い、ルールを教えてあげる(設定)をすると、自分の思考の流れがスムーズになるようになった。そして、自動登録ルールを最大限活用しようと思うと、データの読み込み方も大事になってくる。それらがうまくできれば、後は今までの会計ソフトに比べてものすごく楽に回るようになる。
freeeが発信する情報を見ていると、正しいテクノロジーの使い方だと思う。現状はまだまだな部分もある。しかし、取引を起点にすべての処理が行われ、CFOがAI化するという未来は、既に想像できる未来だ。
freeeを使う上で大事なことは「入力」ではなく「データの整理」と「ルール設定」。この考え方を理解しないで、今までの会計ソフトと同じ使い方をしていると、まったくfreeeは使えないソフトだと思う。ソフトが使えないのではなく、使う人の考え方が合っていないというのが、多くの場合の問題。会計事務所に不人気なのも、多くの会計事務所はそうしたデータの取り扱いに対する考え方が苦手だから。
なぜ苦手なのか。
それは不幸にも税務会計とコンピュータの相性がよく、早くからシステムが完成されており、それ以後大きな進化がなかったからではないかと思っている。少なくとも僕がこの業界に入った15年前からでも、基本的なシステムに大きな変化はない。それで問題なく仕事ができた。
僕がExcelの使い方を税理士向けに研修をした際も、「業務をする中でExcelを使うことがない」という方がかなりの割合でいた。業界のシステムの完成度が高く、依存しすぎてきたことがITに対する意識の二極化を生み出している。そして圧倒的に多いのは業界のシステムITなど意識をしてこなかった人たち。
この業界を批判しているのでは決してない。ITが使えなくても素晴らしい知識と経験をもつ人たちが多いし、とても尊敬している。だけど、ITに対応できないという理由で、そうした本来注目されるべき税務会計の価値がないがしろにされてしまうことに、相当な危機感をもっている。
数年後、この業界の様子も大きく変わっているはずだ。プログラミング教育が2020年から始まる予定で、賛否両論あるのだけれど、Scratch開発者のミッチェル・レズニック氏が話していることを聞けば、幼少期にプログラミングを学ぶ目的は明確だし異論はない。
プログラミング教育の本質は、コードを書くことなどではなく、プログラミングをするための考え方だ。
プログラミングは、読み書きと同様に、自らを表現するための方法だ。表現する能力を持てば、ほかの授業に使うことができる
そうした考え方を子供達が自然と身に着けて社会に出てくる。10年後だとしても、僕はまだ46歳でその子供達がビジネスでのパートナーとなり、ライバルになる。
その影響は、「非エンジニア」の分野でとても大きいのではないか。プログラミング教育の「手法」は最初うまくいかないこともあるだろう。本質を見ず批判をしたい人は批判すればいいが、日本でも模範となるプログラミング教育の事例が生まれれば、公教育でも数年で改善される。僕たちが耳障りのいい情報に安堵している間に、圧倒的なスピードで社会は変わっていく。そのことにもっと危機感を覚えよう。
紙に印刷された販売データをみて仕訳を入力してね、という仕事をするためにプログラミング教育を受けてきたわけではない。そんな業界に良い人材など集まってこない。
ということを自分に戒めて、新しい技術にもっと積極的に関心を持ち続けたい。
あー、勉強しよ。