見出し画像

一時帰国中、日本でしか食べられないものを思い出すたび、とにかく可能な限り食べようとしてきた。

そんなある日——
【餃子の王将】の天津飯と餃子を食べようと思い決めた私は、37度の狂った暑さの外に飛び出し、暑苦しく自転車をこいだ。

ただこぐだけというのもアレなので、学生時代のように音楽を流すことにした。

学生時代——
ルサンチマン(というか超自意識過剰による『女の子と…うまく…おしゃべりできない!』に起因する童貞根性的被害妄想)に苛まれていた私は極めて激しい音楽ばかりを聴き狂っていた。そのせいで更にモテない方向に突っ走ったわけだが、またそのおかげで犯罪方面に進まずに済んだのも確かだった。

そんなことに感謝しつつ、私は考えた。

SlayerかConvergeか。
悪くはないが、何かが違う気がした。
そしてひらめいた。
——ギターウルフ!

そして最大音量で耳にぶち込んだ『狼惑星』は、無条件で私をハイにしてくれた。
1曲目の「カワサキZII 750 Rock'n'Roll」からアクセル全開、懐メロでもなんでもなく、ひたすらゴキゲンで、むしろ昔よりもカッコよく聴こえた。
もう、なんだか嬉しくなってしまって、多幸感に包まれた私は爆笑しながら王将目指して自転車をこぎまくった。

家に到着する前の最後の曲は「ハイウェイBABY」に決めていた。

ギラギラするぜ太陽が真上 目の前の空気が沸騰寸前
ハイウェイ ハイウェイ BABY!

もはや言うこともなく、ゴキゲンに笑いながら思った。
——狼は死なず。


いいなと思ったら応援しよう!