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詩の言葉たち
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記事一覧

【詩】 Black Water

海の底 私は泳いでいる 最も暗い光の中で 黒い水 私の目は何も見たことがない 巨大な黒い目は、暗闇以外何も見ない けれど、私は感じる 海の感覚を通じて触れるものを 地上へと声を響かせることさえできる 赤ん坊の泣き声 鳥たちのさえずり 風が泣く音 光が肌に触れる刹那 黒い水が全てを運んでくる 時に、ウミガメが語ってくれる 聞いたことのない物語を 「ねえ、少女よ 君はこの世界で一番孤独かもしれない だけど、涙を流さないで 私はずっと君といる たとえ君が一人だと感じても

【詩】11時11分

あたたかいね 今ここに広がる世界の全てを いっぺんにぎゅーっと抱きしめたい 命からがら走り抜けた鹿も 追いかけたライオンも 踏みつぶされた花も 真っ直ぐに伸びる杉の木も 都市に住む人も 田畑をたがやす人も 何もかもを超えて いま私は抱きしめる 宇宙の始まりの 光も終わりの闇も 全ての全てに宿る鮮やかな奇跡を どこまでも顕微鏡で覗き込んで あらわれる これ以上分割できないようにみえる それの中に またしても無限に連なる ミクロコスモスの一雫 はやがて、こちらを振り返っ

【詩】 H A J I M A R I

始まりは、5月の朝、都市のビルに切り取られた青空にも無限があることを思った。 誰しもの中に尊い命の脈動が存在することへの親しみと敬意が溢れた。 ほんの数分の中に、世界を揺るがす己が響き、新しい夢がこの地球に降り注ぐ。 祈りのひととき。 歌は、幸運の透明な羽として、ゆらゆらと空気中を舞った。 詩人であり、音楽家である青年がそこに座っていた。 彼の心の響きが、一瞬、その羽を見えるものとした。 彼はすかさずその陰影を、言葉に写し取った。 始まりは5月の朝。 都市のビルの狭間

【詩】いくつもの奇跡

いくつもの奇跡を 満ちゆく気配に いま 僕らは耳を澄ましてる 空の青さに気づいてる You know How beautiful the world is The sunshine kissing you Every time you touch the sky light いくつもの夢を見てた 光り輝く時の中で 名も知らぬ花々に囲まれた 幼き頃の真っ白な記憶 道を歩いていく 出会うことになる あの懐かしい微笑みに 僕らの歌を 聴いてもらうのさ Poetry by

詩 - そう、それは本当に果てしない煌めきだったんだ。

そう、それは本当に果てしない煌めきだったんだ。 太陽からやってきた光が、川の水面に跳ね返って、僕の瞳に飛び込んでくる。 動く川と、見えない光たちの流れの先に、僕は立っていた。 彼らからは、一体僕はどんなふうに見えているんだろう。 無数の複雑な分子構造の塊が、流動し、量子的な振る舞いで、この世界とあの世界を繋いでいる。 光の流れは、震えながら、僕の瞳のなかの宇宙に飛び込んで、 そうして、どこへ行ってしまうんだろう。 目を開けていても、閉じていても、僕に注ぎ込まれ続け

詩 - 時間の外側から

途方もないね。 途方もなくって仕方がないや。 今日ぼくは、見たんだ。 瞼の裏に映る銀河に。 あるひとの一生の姿が虹のようにかかるのを。 それは、それは、綺麗な彗星のようだった。 卵からそして、幾つもの細胞を産みながら 赤子になって、空気にふれ 泣き笑い、立ち、歩いていった。 その一つの人の時間ですら、途方もないのに あっちもこっちも、数えきれない程に、 人々が彗星の如く煌めいていく様が見えた。 ああ、思ったよね。僕には手に負えないって。 僕一人には到

即興詩 - Riverside

「紫陽花の記憶」 雲が影をつかって語りかけた(雲が影を落として語る 夢の中で見えていた景色 今思い出す 思い出す 紫陽花の記憶とともに 思い出す 静けさ中で 何も言葉は出ない 僕は立ちすくんで 空を見上げた 青と白と透明な歌 空中から糸をたぐるように ミュージックはいつもここで 生まれては立ち去る (風のように) 大地は草木を抱きしめて 虫の音を 茹だるような夏の空気の灯火の中に 虫たちの声はささやかな旅路を描いて 僕らに伝えようとした この星の産声から続く歌を 歌を

詩集 - こどもたち

Preface 2016年の始まりのころに書き留めた詩を集めた。 僕は、それまで詩を書いたことはなかった。 けれども、とにかく、試みずにはいられなくて、毎朝目が覚めると、iPadに向かって文字を打ち込むようになった。 そのころ、たくさんの夢をみて、自分に次々と心当たりのない感情や記憶がないまぜとなって、浮かび上がってきたのを思い出す。 そうした体験は、僕にとって大切な財産となった。自分自身の中へ沈思し、その声に耳をすますことは、この世界がどれほど美しく儚いものであるか、

詩 - 昼下がりの詩

小さな時には、忘れてた うすい言葉の塊が 私の肌を駆け抜けて そのまま世界となったこと 果てしなく広がる海の向こうには もう求めないと歌った 日のことを 心の木陰にしまって 今日の日の朝日を眺める時 私は、小さな奇跡を目の当たりにする 千年、万年の時の易々と超える 魔法のとき 太陽の光 青葉の踊り written by Shinta 2020.5.29

詩 - 新しい人

新しい人、おいでなさい(Sunrise) ここに、おいでなさい(Sunflower) 私は空を抱くようにして君をだく 新しい人、おいでなさい 私達は、見限らない 空の青さを広さを、無限に広がる私たちの可能性を 育ちなさい、自らの心臓の鼓動に、合わせて踊りなさい 自ずと歌がうまれることよ さすれば、夜も暗闇も、業魔の所業も恐れるにたらん 新しい人、おいでなさい わたしたちは、いつだってここにある 時空を超えた、愛と信頼の輪の中で いつでも、君とたっている

Morning Note&Piano 2019.4.24

Dream 酒本信太 2019.4.24 (水) 夢が連れてくる、質感。 妙に淡々として、神秘劇を見ているような感覚。 時折、そのような夢に出会うと、朝の光がいつもより幾分どんよりとして 含み笑いを浮かべているように感じられる。 そして大抵、雲が空を覆っている。灰色の空。 こういうとき、水を飲むと、自分が思った以上にのどが渇いていることに気づく。 そして、断片的な夢の記憶を思い出しながら、あれは一体どういうことなんだろうと、考えてみる。 今朝、私の夢に現れた、列車の窓の

Morning Note 2019.4.19

Butterfly Dance 酒本信太 2019.4.19 (金) 朝 チョウが舞い、蜂が飛ぶ 小さな虫のような胞子のような 何かが、ちらちらと空気中に浮かんでいる ベランダに出ると、身をあたためる 太陽の光 私は、窓を開けて、ノートを開く 言葉は自らの場所をもとめて 鉛筆の先から、躍り出る くらしの中で、密かに待ち受けている こうした、一時を、私は愛でる 味わう 遠く過去と思い込んでいた心持ちや 記憶も、ゆったりとして、窓際のソファーに座って 私と一時をすごす。 私が個

Morning Note 2019.4.18

With Birds 酒本信太 2019.4.18 (木) 朝 君は一人の人間だ それで十分だ 鳥の姿をみよ 今日も朝から歌い 自らつばさを広げ 風にのって 狩りにでかけたではないか どうして私たちが、今、自ら求めるものを、 今すぐに得ることができないといえようか About Morning Note 酒本信太が、毎朝書きつける言葉たちです。 HPからもご覧いただけます。 →https://www.8thmay.com/morningnote