ジムニーファン事件「メーカーとファン雑誌の棲み分け」
最新の商標判決を紹介します!
スズキのオフロードカー「ジムニー」の改造等について取り扱う自動車雑誌「ジムニーファン」のタイトルに関する事件です。
スズキ ジムニーとは
スズキのジムニーとは、軽自動車のジムニーと、少し大きい普通車ジムニーシエラのコンパクトな本格オフロードカーのシリーズで、長年人気を誇っています。
スズキは以下のフォントで商標を使用し、また車だけでなく印刷物を指定商品として商標登録もしています。
雑誌 ジムニーファン(Jimny Fan)とは
これに対してジムニーファンとは、ジムニー関係の本をメインで扱う、しかしスズキとは無関係の「エスエスシー出版有限会社(以下SSC出版)」の雑誌です。
タイトルのフォントも、スズキのフォントのままですね!
2012年の創刊から大体毎年発行していて、昨年2023年までの12年間で13号も続いているということで、仮にスズキに文句を言われていないのであれば関係は良好なのでしょう。
RV4によるJIMNY F『U』N(ジムニーファン)の商標登録出願
この雑誌を出版するSSCは、二階堂裕さんが代表取締役社長で神奈川県厚木市田村町11-18 井上企画ビル2Fにあります。
そして同じく二階堂裕さんが代表取締役社長で神奈川県厚木市田村町11-18 井上企画ビル2Fにある、「アールブイフォーワイルドグース株式会社(以下RV4社)」が、2022年に以下の商標登録出願を行いました。
指定商品は雑誌(16類)ではなく、当初はより広範だったものの指定役務「ステッカーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業(35類)」としている点も不思議ですし、なぜ雑誌のタイトル「Jimny Fan」から少し離して「JIMNY FUN」としたのかも不明です。
結局、特許庁はこの出願商標が、
・商標法4条1項11号(すでに登録されているスズキの登録商標「ジムニー」との類似している)と
・商標法4条1項15号(著名な自動車の商標「ジムニー」と類似し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある)
に該当するとして拒絶理由通知を行いました。
同時に打たれた3条1項柱書対応の指定役務補正のみが行われ、指定役務の補正は行ったのになぜか意見書の提出はせずに、拒絶査定が確定しました。
(令和5(2023)年 5月 26日拒絶査定発送、その後取消審判なし)
Jimny F『a』n(ジムニーファン)の商標登録出願
このRV4社のJIMNY FUN出願の拒絶理由通知が行われた令和4(2022)年 12月 15日の約1か月後の令和5(2023)年 1月 17日に、もう一方の会社であるSSC出版が以下の商標を出願しました。
今度は指定商品は16類の印刷物です。
これに対して、特許庁が「ジムニーファン」は
・商標法4条1項11号(すでに登録されているスズキの登録商標「ジムニー」との類似している)と
・商標法4条1項15号(著名な自動車の商標「ジムニー」と類似し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある)
に該当するとして拒絶理由通知を出し、SSC出版は指定商品を「オフロード車の改造に用いる部品及び附属品に関する情報雑誌」に補正し、意見書も提出しました。
しかし審査官は判断を変えずに拒絶査定をし、これが拒絶査定不服審判でも覆らずに(拒絶2023-012344 )、この度いよいよ知的財産高等裁判所の判断が下されました。
知財高裁の判決紹介
時間の都合上、高裁判決の紹介は明日に回します。よろしくお願いします。
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