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日本のヘイトスピーチ

ヘイトスピーチという言葉、皆さん聞いたことがありますか?僕は高校生までは言葉だけは知っていて、人種差別のことかな?ってくらいしか知識がありませんでした。この間ヘイトスピーチについて考える機会があったので、今回は日本におけるヘイトスピーチとはなんなのか、どのような事件が起こったのか、法律との関係、問題点について話していきたいと思います。
(人種や民族・法律に対するトピックを扱います。自分はそこまで詳しくないので細かい表現など不適切な部分があるかもしれません。ご了承ください。)

ヘイトスピーチとは

まず、ヘイトスピーチとは「特定の人種や民族、宗教などの少数者に対して暴力や差別をあおったりする発言を行うこと」です。具体的には大人数で「日本から出て行け」などの暴言をはきながら街を行進するといったこと、ネットである人種や民族に対して差別的な言葉を発することなどが挙げられます。ここでヘイトスピーチの特徴として、これらの暴言はだれか「特定の個人」を指すのではなく、民族や人種といった不特定の人たちに向けられたものであるということです。そしてヘイトスピーチの一番厄介な点なのですが、もしも僕が仮に、(全然思っていませんが、)「長崎人は野蛮でバカな人種だ。日本から出て行け。」(まったく思っていません)などと街中でスピーチをしたとしても、日本の法律では罰せられることはありません。

もし誰かが僕に対して、「しんたろうは野蛮でバカな人間だ。日本から出て行け。」などと街中でスピーチした場合は、名誉毀損罪や侮辱罪で訴えられて(僕に)、有罪になってしまいます。この法律関係がヘイトスピーチを語る上で大事になってくるので後から詳しく説明したいと思います。以上が大まかなヘイトスピーチの説明です。

ヘイトスピーチが起こした事件

ここで、ヘイトスピーチに関する事件を見ていきましょう。
2009年に起こった在特会の朝鮮学校襲撃事件です。

日本には、「朝鮮学校」という学校があって朝鮮半島にルーツのある子供たちが通うための学校があります。この朝鮮学校の果たす役割としては、在日韓国・朝鮮人の子供達が自らの在日韓国人・朝鮮人としてのアイデンティティーを確立するため・韓国、朝鮮の文化を学ぶため・在日コミュニティーを獲得するため、など重要な役割を果たしています。

その朝鮮学校を在特会(在日特権を許さない市民の会)の活動家が襲撃したという事件があります。子供たちが学校にいる時間帯に、拡声器を持って校門の前で、「スパイの子供」「ここはもともと日本の土地だ」などと怒号をあびせたという事件です。

https://youtu.be/7u3Nr8xyfkk(その様子が記されています。かなりひどい様子です。)
https://ja.wikipedia.org/wiki/京都朝鮮学校公園占用抗議事件
(この事件の詳しい説明です)


この事件において裁判所は、人種差別撤廃条約などと照らし合わせ、抗議街宣を行った者に対して侮辱罪・器物損壊罪などの判決を言い渡しました。

このようなヘイトスピーチによって、在日韓国人・朝鮮人の方々、特に子供は自分が韓国人・朝鮮人であることに対して否定的な感情を持ってしまい、自分の存在を認められなくなってしまうといったことが起こってしまいます。今回の事件では、子供たちは罵声を浴びせる大人たちに怯えて泣きじゃくり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまった子もいたそうです。
この話に関連して、ある在日韓国人の男の子が七夕のお願い事に「日本人になりたい」と書いていたという悲しい話もあります。在日韓国人・朝鮮人というだけで肩身の狭い思いをして生きている人がいます。ヘイトスピーチは彼らのような人々の不安をあおる決して許されない行為です。

日本のヘイトスピーチの取り締まりについて

次に、ヘイトスピーチの取り締まりに関する日本の法律について見ていきましょう。これがとても重要です。
はっきり結論から言うと現在の日本にはヘイトスピーチをその場でやめさせることができる法律は存在しません。もう少し具体的に説明すると、先程の事件のように、ヘイトスピーチを行った人に罪が与えられることはあります。しかし、それは名誉毀損罪や侮辱罪として有罪になっていて、ヘイトスピーチを行ったことに直接罪が与えられているわけではないのです。また、これらの名誉毀損や侮辱罪は、「親告罪」といって被害者側からの訴えがなければ事件として取り上げることができません。したがって、上のyoutubeの映像のように、明らかに差別的な発言を行っていたとしても、警察がやめさせることができないのです。

それなら早くヘイトスピーチを禁止する法律を作ればいいじゃないかと考えると思います。しかし、実際はそうはいきません。その理由として、日本国憲法の「表現の自由」というものがあります。

表現の自由

日本国憲法の第二十一条に表現の自由に関する条文が記されています。

表現の自由「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」

ヘイトスピーチに関する法律を作ろうとすると、この表現の自由が関わってきます。これがとても問題なのです。これがわかると日本のヘイトスピーチの現状について少し理解が深まると思います。

日本は民主主義の国であり、憲法・法律は国民の参政権によって変えることができます。しかし、ヘイトスピーチを取り締まるために、「表現の自由」などの「精神的自由権」の制約を行うことは他の法律を変えることに比べて極めて慎重にならなければなりません。このことがヘイトスピーチの制約をできない理由の一つになっています。

この「表現の自由」に制約を与えることがなぜ特別慎重に行われなければならないかの説明をしたいと思います。まず、大前提として法律とは私たちの自由に対して制限を与えるものです。そして日本のような民主主義の国では、何か私たちの自由を不当に制限する法律ができた場合には参政権を利用してその法律を正すための活動を行うことができます。しかし、表現の自由に対して制約が与えられる場合は話が違ってきます。表現の自由以外を制限する法律ができた場合は、表現の自由が行使されて出回った正しい情報をもとに、不当な法律を正すための活動ができます。しかし、もしも表現の自由が制約されてしまった場合、マスコミや市民運動、ネットなどでの自由な情報の流通が阻止されてしまい、正しい情報に基づく国民の参政が行われなくなり、民主主義の政治がうまく行われなくなるという、民主主義の根幹に関わる問題が生まれてしまいます。これが、表現の自由を簡単に制約できない理由です。

このような経緯があって、今の日本では直接ヘイトスピーチを禁止する法律は存在していません。しかし、近年は世界的にもヘイトスピーチをとりしまろうという動きが活発になってきたこともあり、日本でも平成二十八年にヘイトスピーチ解消法という法律ができました。(これはあくまで理念法といって、直接禁止することができる法律ではありません。)


まとめ

このように、ヘイトスピーチは人権を脅かす許されてはならない行為です。日本でも、世界的にもヘイトスピーチを無くそうという動きは活発になってきています。自分は大学に行くまでヘイトスピーチについて全然知りませんでした。このことをきっかけに、ほかにも世界に存在している様々な問題に対して情報のアンテナをはってみようと思いました。
ヘイトスピーチに限らず、人権・差別問題を解決に近づけるためにはまず多くの人に問題を認知してもらうことが大切だと思っています。この記事を読んでくれた人が少しでもヘイトスピーチ問題に興味を持ってくれたら幸いです。

長い文章でしたが、ご精読ありがとうございました!





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