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なぜ組織的資本に投資しないのか?

なぜ組織的資本に投資しないのか?

ズバリ、見えにくいからです。

「人と組織は秘伝のタレ」でも書きましたが、見えにくいことが良いことなのですが、見えにくいと投資もしずらいというジレンマにもなるのです。

じゃ、見えるようにすればいいじゃん!ってことなのですが、

何が見えればいいのでしょうか?

・従業員のやる気?
・従業員の健康度合い?
・従業員の仕事への意欲?
・従業員の会社への忠誠心?
・従業員の幸福度合い?

これまで、このような組織の状態は見えずらかったのですが、構造化されていないデータや、機械学習のような人工知能を活用することで、見えるようになるかもしれません。

現在でも、いくつかの企業が上記のような組織の状態について知るために従業員にアンケートをすることで可視化することがあります。

でも、従業員満足度調査、従業員意識調査、エンゲージメント調査、Great Place To Workなどで調査したら本当に可視化できると思いますか?

できるような、できないような・・・。

多分、完全には可視化できないと思われます。

なぜなら、人には認知バイアスがあるからです。


認知バイアス

アンケートもある程度は有効ですが、実際は、人が思考を使ってアンケートに答える以上、バイアスがかかったり、知らないうちに無意識に嘘をつくことがあります。

パワハラやセクハラをしている当の本人は自分がパワハラやセクハラをしているなんて全く認識していないことがあります。

パワハラをしている人に「あなたはパワハラをしていますか?」と聞いても正しい結果は出てきません。

コミュニケーションができていないけどコミュニケーションは大事だと思っている人に、「あなたはコミュニケーションができていますか?」と聞くと、多分その人は「できている」と答えます。

そもそも、自己認知することはとても難しい作業なのに、それをさらっとしたアンケートで理解しようというのが間違いなのかもしれません。

なので、アンケートをしても必ずしも正しい結果が得られるわけではないということです。

もちろん、全体の傾向を把握することができます。

でも、全体の傾向を把握してどうするんですか?

・20歳代は○○○の傾向がある
・営業部門代は○○○の傾向がある
・管理職は○○○の傾向がある

こんな回答を得て、なんの意味がありますか?

「あー、なるほどね〜」となって終わりじゃ無いですか?


他社と比較する違和感

もっと、変なのは、他の会社と比較することです。

同じ業界、同じ業種、同じような規模と、自社の組織の状態、従業員の状態を比較してなんの意味がありますか?

確かに、他社や平均値と比べて、この要素は当社は平均値より高いけど、この要素は低いからなんとかしなければ・・・。

他社や平均値と比べたくなるのはわかるけど、ほぼ意味が無いと思うんですよね。

なぜって、会社には、歴史、ビジネスモデル、社内にいる人材の種類、組織構造、組織モデル、取引先などなど様々な要素があり、同じ業界同じ業種同じ規模であっても違いは大きいと思います。

人と組織は、ちょっとしたことで大きく違ってしまうのです。


サントリーの創業者である鳥井信治郎が、ことあるごとに口にした言葉が「やってみなはれ」です。チャレンジ精神がサントリーのDNAとして存在していることは、競合他社も十分に知っていると思います。

でも、そのDNAを真似ようとしても真似られないのです。

例え、自社の従業員満足度調査・意識調査とサントリーの従業員満足度調査・意識調査を比べて差異を明らかにして、それを一緒にしてもサントリーとは同じようにならないのです。

それはなぜか?


コンテキストが違う

コンテキストが違う、つまり文脈が異なるのです。

たとえ、歴史、ビジネスモデル、組織構造、組織モデル、業界、業種、規模がほぼ同じであっても従業員がどのような会話をしているか、どのような振る舞いをしているかは、全く見えません。

コンテンツ(内容)も重要ですが、もっと重要なのはコンテキスト(文脈)なのです。そこに文化や風土が横たわっているわけです。


組織の状態を可視化できないのか?

つまり、コンテキストは可視化できないのか?という問いです。

僕はできると思っています。

どうやるのかと言えば、観察して、観察した内容を可視化することです。

とは言え、第三者が組織内に居続けるわけにもいかないし、全ての会議に同席することができないので、代表的な人や平均的な人に対してインタビューをすることで、その組織に流れるコンテキストが見えてきます。

実は、このインタビューを社内でやろうとしても、なかなか難しいのでは無いかと思います。

なぜなら、認知バイアスに気づき、自己認知し、自分と他者との関係を認識し、自分と他者で作る場をメタ認知することはとても難しいからです。

しかし、社外の人間であれば、比較的容易に第三者の人や組織について認識することができます。


まとめ

無知の知(知らないことを自覚する)というのは、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスの言葉です。

自分が知らないことを自覚するのはとても難しいですね。

でも、自分が知らないこと自体を知って、それを他人に委ねるという勇気さえあれば、意外と他人はシンプルに「これだよ」って教えてくれるものです。

事柄によっては「うっそー」「まじでー」となります。

嘘じゃ無いです(笑)

まじです(笑)

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