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しんすけの読書日記 『真夜中の天使 下』
後半になると血の匂いが濃く漂う。
良の気持が自分にもう無いことに気づいた山下国男は、良の殺傷に及ぶ。
良の付き人によって、難は免れるが良は深い傷を負う。
山下に代わって良を教えるのは結城修二となる。
結城修二は資産家の子息であり業界のプリンスである。だから最初は良に対しても優位な姿勢を崩さなかった。
だが時間とともに結城も良の魅力に勝てなくなる。結城は良を滝から奪うために種々の企みを実行していく。
最初は滝が優位に観えていたのだが、人形でしかない良は考えることがない。徐々に滝より甘やかせてくれる結城に親しみを感じだしていた。
滝は結城を尊敬していた。だが良を奪われるのは許せなかった。
少年を奪い合う男たちの葛藤を、良は愉しんでいたのではないだろうか。
結城が作曲した歌で、良はスターダムにのし上がる。
祝賀の中で滝は思う。結城と良を殺すことをことを。その後は自分は自殺するのだと。
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ところが事故を起こすはずの車に乗ったのは結城だけだった。突然の事態で結城はクレーム処理に向かわなければならななかったからだ。
そして結城は死ぬ。
事故後、良は滝の背広から刃が欠けたナイフを見つける。そして気づく。
車に仕掛けたのは滝だったと。
だが、良はそれを誰にも明かさない。
滝はナイフが無くなっていることから、良に気づかれたと察する。
だが良が、口にしないことに怯えだす。滝は良という悪魔に魅入られたのだった。
疲れる読書だった。三十数頁ほど読むと疲労感に襲われる。
閉じて他書に眼を移す。それが読み終わたところで、また気になりだす。
だからまた読み始めるのだが、同じような疲労感に襲われる。
憑かれていたのかもしれない。
黒本薫がぼくに与えた麻薬だったのだろうか。