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母と息子 230『魅惑の魂』第3巻 第3部 第30回
何もかも信頼して心を開いているかと思えば、とつぜんに不信の影が宿って落胆してまうようなこともありました。自分のすべてを差し出したものが、敵対的な態度をみせて近づきにくいこともありました。けれどもぼくだけは、そうした彼の移り変わる気持ちの原因を探っていたんです。彼の近くにはそれを気にするような人は、まったくいませんでした。その人たちには、好きか嫌いかを選ぶだけで良かったんでしょう。だれかを愛する目的を問う時間なんか、ほとんどの人は持とうはしませんから… ぼく自身も最初のころは、それほど気にはしてはいなかった。けれども生きていくために代償を払わされるって経験がぼくにはありました(それはあなたにすでに話したことですね)。ぼく自身の苦い経い経験から、隣人を愛するには自の考えだけで一方的に愛するのではなくて、そときのあるがままのことに感心を向けることが必要なのだと思い願うようになっていました。そして彼のことも、彼を発見しなながら愛さなければならいと思うようになっていました。愛することにも、自分を犠牲にsなければならいことを、ぼくは学んだのした…
彼の性格は、ぼくとはまった逆でした、その外国の青年は… それこそが、ぼくが彼を愛した理由でした!… ぼくには彼が必要だった…
彼の幼いころの教育環境は、彼には残酷なものでした。どの学校も、軍隊的、宗教的、そして田舎風の厳格さで、反社会的階級の異常さで残酷に抑圧されていたのでした。女性的ともいえる彼の性格が、そこでは残酷に扱われたのです。それにうまく対応するには彼は、あまりにも弱く、周りに頼るものいなくて、そこでのいわゆる道徳や思想に屈して耐えるしかなかったのでした。少女たちが強姦されても反抗もできず、周りに従うだけのように、彼も大きな傷を背負って生きて行かなければならなかったのです。