母と息子 223『魅惑の魂』第3巻 第3部 第23回
「そして羊の群れが、あなたに続いたんですね?」
「≪パニュルジュの羊≫たちですよ」
「ぼくたちの牧場では、それは無理な話ですね」
「そんなことないって、思うんだけど?」
「もしかしたらあなたの牧場から出てくるんじゃないのかな。アネットの、あなたの子羊なら?」
「わたしの子ども! そんなこと考えたくない! 神様!… そんなこと考えさせないで!」
「お分かりみたいですね! あなたは彼にはけっしてそれを勧めないんでしょうね」
「あの子も… わたしも… 早く戦争がなくなってほしいだけ!」
「主よ、わたしたちに恵みを! けれどもミサを唱えられのはぼくたちじゃない。ぼくたちはそれに答えることだけのことしかできません。血まみれのシオニズムの儀式を求める人がまだ大勢います。だから戦争がまだ終わることは考えられません。けっきょくぼくたちは捕まってしまうんです」
「わたしが捕えられてもしかたないかもしれません、でもあの子はいけないんです、けっして!」
「あなたはフランス、ドイツ、そして永遠の人類ために慈しみ深い母親たちの知恵を学ばれるのでしょうね。彼女たちはドロローサの足元に身を委ねていますから…」