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いじめに悩む貴方へ

私は小学校高学年~高校3年まで、男子からバイ菌扱いされるいじめを受けていました。死ね、とも言われたこともあります。
庇ってくれたのは部活仲間と数少ない女友達だけ。大多数の男子にバイ菌扱いされてるのを同調して、私を避ける女子もいました。
学校に行くのが苦痛な程の酷いいじめではありませんでしたが、ただ息苦しく、窮屈で、私の10代の思い出はろくなものじゃありませんでした。

卒業式も泣けはしませんでした。ようやくこいつらとお別れできる、という嬉しさと清々しさまでありました。
ただ、式が済み、体育館を出た時に、体育担当の初老の先生に
「良かったな○○(私の本名)!これから自由に生きるんやで!!」
と、わざわざ歩み寄り、両手を握り、私に声を掛けてくれた時は、泣きそうになりました。
きっと私の事を知っていて、ただそんな深刻な問題でもなく、私自身が超然としていた(ように振る舞っていた)から、ただ様子を窺うしかなかったんだと思います。先生に泣きつけばまた違ったのかも知れませんが、所詮、多勢に無勢です。先生も私も分かっていました。だから私は、あらゆる事を無視する、という態度で高校生活を過ごしました。

私はバスケ部でしたが、体力と運動神経がなく、はっきりいってお荷物でした。男子バスケ部にもいじめを受けてました。後輩もいるし、何度も部活を辞めようと思いましたが、中学の頃から同じバスケ部で活動してた仲間に引き留められて、引退まで残りました。
高2の冬、私と同じようにバスケ部を辞めたいと言っていた仲間がいたのですが、それを聞いた同じクラスの男子に
「あと少しなんだから頑張れよ。○○(私の本名)も頑張ってるやろ」
と返されたそうです。それを仲間から聞いた時、バイ菌扱いしない、そうじゃない男子もいるんや、と驚きました。

多分いじめた方は忘れてるでしょう。個人的には内心恥ずかしさでのたうち回って欲しいんですが。いじめられた私も、傷はとっくに癒えてましたが、10代の思い出が暗い過去だったという事実は消えません。

そして、今、いじめに悩む貴方。
もし暴力や恐喝などの、命の危険に関わるものなら頼れる大人に相談して下さい。両親に言って転校を考えてもいいし、緊急事態なら警察に駆け込んで下さい。多勢に無勢でいじめをしてる方が圧倒的に恥ずべき存在ですから、勇気を出して、こいつら最悪なんですけど、と事実を伝えて下さい。
よく、いじめられる方に問題があるんじゃないんですか~?とほざくアホがいますが、無視です。そもそも、いじめという汚い行為に、権利なんてないんです。なに市民権得た面しとんじゃこら、と一蹴し、問題解決に向けて下さい。今は不登校児の為の施設だってあります。学校を卒業すれば世界は広く、学校内の事などちっぽけなものだと分かります。一瞬のアホの為に自らの命を落とさないで下さい。よく見ればそのアホも小さい塊でしかありません。まずは、どんな形であれ、その日常の外の世界に足を踏み出して下さい。

さて、そして、暴力を受けてるわけでもなく、命の危険に晒されてるわけでもない、しょうもないレベルのいじめを受けてる貴方。
無視しましょう。
いじめを受けることであなたの尊厳が失われてしまった、と傷つくでしょうが、多勢に無勢な連中はいじめという行為によって自分から尊厳捨ててるアホです。アホに失われる尊厳なんてないんです。そしてアホだから何を言っても無駄です。貴方は貴方らしく、超然と生きてください。

例えばの話ですが、想像してみて下さい。
貴方はいじめを受けました。苦痛の日々を何とか乗り越えて学校を卒業し、社会に出て、会社員として安定した生活を送っていたとします。
そういや私の事をいじめてた男子、今頃何をしてるんだろう。
風の噂で聞きました。ギャンブルにはまって闇金に手を出し、追いかけられてるそうです。私に散々「ブス」と罵った気に食わないあの女子は、ホストに狂って風俗に売り飛ばされたとか。
笑っちゃいません?10代なんて人生の序盤も序盤、どこで逆転劇があるか分かりません。10代で自分の価値をちっぽけなものだと判断するのはあまりに早すぎます。
仮に、いい大学を出て政治家になったとしてもそれはそれで構いません。
自分の人生に関係なかったら、放っておけばいいんです。まあご立派になられたことで、と鼻で笑ってやりましょう。

残念ながら、いじめは無くなりません。
人間なんて所詮、生存競争を生きる動物のひとつです。そして動物と違って人間には知能があるので、いじめという行為に走る愚かな生き物なんです。いじめをしないと生きていけない人間なんて、すごく愚かだと思いませんか?だってそんなことしなくたって、知恵や文化があるから生きていけるんですから。

いじめられる人間が善人である必要はありません。腹の中で笑えばいいんです。見下せばいいんです。可哀想と思えばいいんです。思うだけならタダです。現実逃避と言われようと、放っておけばいいんです。それが貴方の処世術ならば。

この考えは山田詠美の小説から頂きました。高校の頃に出会ってからずっと大好きな作家です。

「蝶々の纏足 風葬の教室」 山田詠美 (新潮社)
山田詠美 『蝶々の纏足・風葬の教室』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)

是非読んでみて下さい。貴方の見ていた世界が、もしかしたら、少し変わるかもしれません。

青春真っ盛りの貴方。良かったらこちらも読んでみて下さい。

「ぼくは勉強ができない」 山田詠美 (新潮社)
山田詠美 『ぼくは勉強ができない』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)

こんなクールで格好良い秀美くんみたいな高校生なんていねえよ、と思うかもしれません。
ただ、絶対にいないとは言い切れない。ここまで格好良くなくても、もしかしたら近くに秀美くん予備軍がいるかもしれません。

10代の子がいじめを苦に自殺した、というニュースを観る度に、悲しい気持ちになります。そこから逃げることができれば、人生は逆転するかもしれないというのに。いつもそう思います。だって私がそうだったから。

私は大学に入ってから親友と呼べる女友達が出来、毎日のように遊んでました。夜中に散歩して24時間営業のうどん屋に入ってうどん食べたり。
お互いの彼氏の愚痴を言って「別れろよそんな奴」と笑いながら罵り合ったり。楽しい大学生活を送れました。
社会に出てからも、いい先輩に恵まれて、こうした方が良いよとアドバイスを貰ったり、嫌な上司のかわし方を徐々に学び自分なりの処世術を身に着け、経験値を得て、大分図太い性格に育ちました。
大人になってまでいじめを受けたって、それまでの経験値で何とかこなせます。人事部に「○○さんにいじめられてるんです」と泣き真似でもしながら訴えても良いし、駄目だなこの会社、と思えば転職したっていいんです。何なら貴方がキャリアを積んで仕事が出来る様になって、見返してやればいいんです。度胸があれば「今、何て言った?」て言い返してもいいでしょう。何とでもなります。

どうか頼むから、狭い世界の中で、自分の価値を見失って、自ら命を落とす事はしないで下さい。少しでも、誰かがいじめを克服して幸せになってくれればいいな、と願っております。

「自殺なんてよくないよ!生きてればいいことあるよ!」なんて綺麗事は言いません。なんなら私もうつで毎日死にたいと思っていた時期があるんですから。悩みに悩んで、死んだ方がマシだ、と決心する人もいるでしょう。
私は他人の貴方ではないから、貴方の苦しみを100%理解できるわけではありません。こんな環境で生き地獄を見るくらいなら自殺する!と堅く決心する人に、私は止める術がありません。だって貴方が決めたのですから。

ただ、ほんの少しでも「生きたい」と思うのなら、頑張って生き延びて欲しい。貴方の人生は貴方に決定権があるのです。他の誰にも侵すことのできない、侵す権利もない、貴方の命を、どうか大切にして下さい。








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