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ボリュームを一つ上げる 〜ヨルシカ〜

田舎の実家に数日帰省をすることにした。

最近働いていた店が閉店した事が大きな理由です。

これまでかけた心配、迷惑。
流石に直にあってお礼をせんことには人としての何かが崩れていく気がしたから。

実家は農家をしていて、4月のこの時期はまだそこまで忙しくないので親との時間を沢山作れる。日程を月頭に選んだのは正解だったと思う。


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コロナ禍という環境において仕方ないという言葉をあまり使いたく無いと思った理由の一つに父からの言葉が僕の真髄にあるからなのかもしれない。

「家なんて継がなくてもいい。自分がちゃんとやりたいと思えることをしなさい。」

昔から口すっぱく言われてきた言葉だった。

簡単な言葉に見えてどこか趣のあるその言葉に父の人としての器が全て詰まっている様な気がして、当時学生ながらこんな人間になろうと思ったのを覚えています。

結果として僕は今でも自分がしたいことをするために毎日を生きてる。

自分がしたいと思ったことを、覚悟を決めて進んだんだ。
何かのせいにはできることならしたくないし、父もそんな風にしている僕を見たく無いと思う。


帰省するために使った交通手段は快速列車。
直前まで僕はいつも通り写真や料理の教材を本屋で買って読んだりyoutubeを見て勉強することにした。

ここ最近、自分のためになると確信する時間は多少高くても迷いなく買うようになったことに気づく。

時間だけはお金で買えない。無職の僕が高い快速列車の切符を買ったことに妙に納得して、大人になるっていうのはこういうことなのかな?なんて一丁前に思いを馳せるという恥ずかしい時間を経て出発の時間になる。

改札を通って列車に乗り込み、道中のBGMに僕はヨルシカを選んだ。
アーティスト内の全曲シャッフル。一曲目は「夜行



タイムリーにも曲の中の「大人になったんだね」というワードが頭に流れてきた。 


大人になるっていうのは悲しい言葉にも嬉しい言葉にも捉えられる言葉だと思う。

昔はもっとかっこよくてキラキラしたものに見えていたのに、いざなってみると毎日砂が目に入っては擦っている。目を細めても昔見ていたキラキラは見えないことの方が多い。

でも、多いだけであってたまに見える時もある。
砂利の中にほんの少しだけ混ざっているキラキラした砂が見つかる時が確かにある。

あれだけを集めて砂場に城を建てられたらどれだけ素敵なんだろう。

大人はキラキラした砂を集めることをしない。
その作業はひどく効率が悪いから。汚れを知らない綺麗な砂は他と違う色をしているからかえって扱いにくい。


僕は昔から光る砂の価値を信じて生きてきた非効率な人間だ。そしてそういう自分と似たような人間は少なからず存在することを知っている。

これからも自分の目に入る砂利の中から性懲りも無く光る砂を探すんだと思う。時には手を汚して、足を棒にして、涙を流しながら探すんだと思う。

でもその作業を誰にとやかく言われるつもりはない、自分の目に入った砂ならどうしようと自分の勝手だからだ。

城を作れるほど集められるかどうかはまだわからないけど、たとえ城じゃなかったとしてもそれはきっと僕の宝物になる。


まぁでもそれはひとまず置いておいて、僕はこれから畑の砂を掘り起こそうと思います。

1番大人になったと認めて欲しい人の元へこれから向かう。

今日はいつもよりも目がぱっちりと開いている。

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Shinyα
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